【オーストラリアからの報告】
デニス・ドーハティーさん(オーストラリア反基地キャンペーン連合[AABCC])


「在オーストラリア米軍基地の現状」

第二次世界大戦後、オーストラリアの政治指導者たちは―保守主義者であるか社会民主主義者であるかを問わず―侵略されることへの不安を悪用し、アメリカに対し、その外交目標に組み込まれることに感謝の意を表したのである。その最たるものは一九五一年に調印されたANZUS条約[編集注:オーストラリア、ニュージーランド、米国間の三国家安全保障条約で、五二年に発効。ただし、ニュージーランドが非核政策をとったことから、八六年以来、米国は対ニュージーランド防衛義務を停止中]である。

 冷戦がはじまるとともにオーストラリアはアメリカ合衆国の核の傘のもとに入り、電気通信網とスパイの基地を提供し、オーストラリアの領土内で核搭載可能な軍艦と航空機を使用することを認めた。

 ANZUS条約はこの領域における領土侵害行為をカバーするものになる。そこには、アメリカが有事の際にオーストラリアを支援するというはっきりとした責務も、いかなる保障も記されていない。

 現在の保守派政権は、過去のどの政権よりもアメリカよりである。ジョン・ハワード首相は、アメリカの利益に資することに積極的になるように世論を変えるための全面攻勢をかけた。ジョージ・ブッシュの昼食会に招かれ、そこで大変光栄であると語ったことが彼の政策を有効たらしめているのだ。

 

オーストラリアの軍事化

ハワード政権は、オーストラリア社会の軍事化を加速させている。

 なによりもオーストラリアのセキュリティを危機にさらしているのは現行の、また目下計画中の戦力である。これによってオーストラリアは、アメリカの外交政策目標に牽引される「有志連合」型の、すなわちわれわれの土地から全くかけはなれたところで交戦するようになる。オーストラリアは、主に中国に向けたアメリカの先制予防攻撃の一角を占める国土からの侵略と占領のための準備に携わっている。

 ハワード政権は、アフガニスタンに対するブッシュ政権の違法な軍事侵攻に対して軍事的政治的支持を与え、イラク侵攻と占領のために陸海軍を提供した。四〇〇人以上の部隊が、最近日本のエンジニアを防護するために送り込まれている。

 アメリカの地球規模の軍事計画における前線での協力者を名乗ることで、ハワード政権は全オーストラリア人を危険にさらしたのである。アメリカへの従属はオーストラリアを安全にするのではなくよりぜい弱にするのだ。二〇〇三年一一月、オーストラリアの国防大臣ロバート・ヒルは、合同演習その他の政策は、アメリカ合衆国とオーストラリアの軍との間の「継ぎ目のない相互連結性」を確保するためになされると、ワシントンで表明した。「相互連結性」とは、オーストラリア国防軍が事実上アメリカ軍に漸次統合されるというプロセスである。

 現在の政府の軍事支出は、年次可処分財政収益のほぼ一割を占め、それをもっと大胆に増やせと言う声があがっている。オーストラリア軍の支出は一日につき6,000万豪ドルで、国民総生産のおよそ二.一%にあたる。オーストラリアと同規模の他の国でこれほどの支出をしている国は少ない。例えばスウェーデンの支出は国民総生産の一.四%である。二〇〇六年-〇七年会計で軍事費の占める割合は、教育予算の総計を上回り、オーストラリアの財政支出のなかで三番目に重要な地位を占めるようになった。この水準の支出は福祉、教育、医療の抑制によって達成された。オーストラリアは先進国のなかで最も貧困な福祉供給国のひとつである。

 オーストラリアの資本主義的戦略利益を増大させるためのアメリカとの軍事同盟へのますますの依存に加えて、ハワード政権は、いくつかのオーストラリア系の軍事サプライヤーがペンタゴンと契約を結ぶことで、また自由貿易によって、商業利益を得ようとしている。

 オーストラリアの支配層はまた、アジア太平洋地域でのオーストラリアの作戦行動をアメリカが支持することを望んでいる。ソロモン諸島や東ティモールの占領を一九九九年にアメリカが是認したようにであり、それによりティモール海の石油・ガス田へのオーストラリア企業の支配権が確保された。

 

「古い」軍事基地、とりわけパイン・ギャップについて

 オーストラリア中部のアリス・スプリングから二〇キロ南東にあるパイン・ギャップは、最も大きく、かつアメリカの戦争遂行上、また諜報基地として世界的に重要なところである。そこは衛星の地上管制地点だ。そこは数十年にわたるスター・ウォーズの重要なユニットである。そこでは一〇〇〇人以上のアメリカ人とオーストラリア人が雇用されている。

 一九六八年に設置されたそれは、現在、偵察や信号傍受といったさまざまな衛星のプログラムの衛星受信地点として機能する二〇のレーダードームに囲まれて成り立っている。

 アメリカ全軍の出張所のみならず、国家偵察局、国家安全保障局、またCIAがパイン・ギャップに駐留している。 

 パイン・ギャップの最も重要な役割は、衛星によって収集された情報の処理、また、情報をアメリカに移送することである。衛星は戦略的に重要な世界の三分の一である、中国全域、南ロシア、また中東石油地帯をカバーする。このコンファレンスに参加している人びとの地域に関していえば、衛星の電網捕捉領域は北太平洋、中央、南太平洋と中国の大半におよぶ。 パイン・ギャップが衛星から受信しアメリカに送るもののなかには様々な情報があり、そこにはミサイル発射の早期警戒、監視、天候、写真や戦闘地域での指揮と統制のためのコンピューター回線が含まれる。戦争遂行上のコンピューターの使用は、アメリカが、本土に司令部をおいて仮想戦場をつくりあげることを可能にした。司令官は、手持ちのコンピューターデバイスで、戦場司令官たちの戦闘を統合・調整することができる。

 またパイン・ギャップはアメリカのスター・ウォーズシステムの最前線基地に転換している。それはミサイル早期発見の役割を引き継ぎ、そしてかなり旧式のDSP(防衛支援プログラム)からミサイル防衛上重要な位置を占める宇宙基地赤外線システム(SBIRS)への転換上重要な位置を占めた。

 

その他の軍事基地

  オーストラリアは三〇以上の施設をアメリカに供与している、そこには、地震観測所、気候/大気実験施設、そしてエシュロンシステムのための諜報傍受基地がふくまれる。

 前労働党政権は、アメリカに、ペンタゴンが必要とみなした際にオーストラリア軍の施設を使用すること、とりわけ海空軍基地を使用することを認める協定に署名した。また「リ

リパット(睡蓮)」とよばれる基地がオーストラリア北部にあり、それはアメリカが必要とあらば使用可能である。

 

新しい軍事基地

 二〇〇四年七月、ワシントンでの米豪年次協議(AUSMIN)で、オーストラリアはアメリカとともに三つの新しい「訓練基地」を設置することに合意した。

 オーストラリアとアメリカは、合同統合訓練センターを発展させることに合意した。それには、司令官がリアルタイムで訓練を監督し、兵員に命令を下しミッションを再生することを可能にする、最先端の技術がふくまれることになる。

 この構想のもとでは、クイーンズランドのショウルウォーター湾訓練地帯と北部地域のブラッドショウ訓練地帯とデラメア空兵射撃場の施設の費用は数千万ドルにのぼる。(反基地キャンペーンが二〇〇五年六月にショウルウォーター湾訓練地帯のゲート前でデモを敢行した)

 三つの施設はアメリカの特定の基地とリンクし、そしてそれはハワイにある太平洋地域戦争遂行センターを支点にして、相互リンクすることになる。

 重厚で巨大な固定的冷戦様式から、より小規模で、より軽快で、よりフレキシブルでより急速に部隊展開するという米軍の再編、すなわちラムズフェルドの「トランスフォーメーション」政策に歩調をあわせて、これら前哨基地は軽武装の駐屯地になる。だがそれは[有事の際の]アメリカの軍事力の大規模な殺到に対応する能力をもつ。

 またハワード政権は、(北海岸の)ダーウィンの新しい戦車基地設置に合意した、それ

はアメリカ軍が活用するさらなる施設を提供することになる。

 オーストラリアは、アメリカからエイブラハム戦車を購入した、この地域には全く不適当なものであるにもかかわらずである。というのも、サイズと重量が大きいからである(最大六八トン)。だがこの重い戦車はアメリカと一体の広範囲に及ぶ作戦にはぴったりである。二〇〇六年、オーストラリア政府は、エイブラハム戦車を輸送するために四機の巨大なグローブマスター輸送機を数十億ドルで購入した。

 この基地はとても重要である、というのも、ダーウィンは戦略的ティモール水域(Timor Gap)海軍運行と、アメリカの中国封じ込め計画のうえで理想的な港町だからである。アメリカ副大統領ディック・チェイニーの企業ハリバートンは最近(パイン・ギャップ近郊)アリス・スプリングからダーウィンへの戦略的鉄道を建設した。

 二〇〇二年暮れ、イラク侵攻が着々と準備されるなかで、ハワード政権はシー・スワップ、すなわちペルシャ湾とインド洋で作戦をしているアメリカ艦船の交替要員のために、(西オーストラリアの)フレマントルを米軍が使えるようにするプログラムを開始した。艦船はフレマントルに寄航し、米国に帰港するまえに、乗組員はアメリカから来た新しい乗組員と完全に交替する。

 このプログラムは乗員交替の時間を短縮する。この短縮がアメリカにとって重要なのは、アジア太平洋地域やペルシャ湾での先制予防攻撃の際に、米艦艇の即時の行動が可能になるからである。

 それは艦船をより長い期間駐留させ、アメリカに帰還するまでの期間を軽減するという燃料と資金の確保をも意図している。

 これら新しい基地は全て、オーストラリアの内政および外交問題へのアメリカの介入が量的に飛躍することを示している。これまでオーストラリアの基地はアメリカに電子通信施設を提供していた。今度はアメリカの軍事要員がオーストラリアに駐留することになる。

 

ミサイル防衛

 二〇〇三年一一月、ハワード政権はアメリカ合衆国の「ミサイル防衛」プログラムに参加することを発表した。

 ミサイル防衛はグローバリゼーションの軍事的ウィングである。アメリカは軍事化を、商業的搾取を、また宇宙支配を狙っている。宇宙の支配者になることを、また新しい、より恐るべき規模の企業グローバリゼーションをすすめようとしている。

 宇宙ベースの兵器はこの計画の重要な一環である。アメリカの軍事プランは、宇宙兵器を建設し、地上から宇宙を管理し、支配するというものである。

 スター・ウォーズに加わる利益はオーストラリア人には全くない。我々は経済的に悩まされるだろうし、セキュリティは危険にさらされるだろうし、貿易や外交は滅茶苦茶にされ、隣人との関係は損なわれ主権は侵害されるだろう。

 スター・ウォーズが意味するのは、アメリカの為政者、米軍とアメリカ多国籍企業がオーストラリアを支配することで一国の独立が失われることである。オーストラリアの議会はパイン・ギャップで起こっていることについてわかっていない。

 加えて、オーストラリアの国際的評価や威信は、かかる攻撃的なプランにハワード政権がこびへつらい、全面的に支持したことで損なわれた。

 またオーストラリア政府はアメリカの戦域ミサイル防衛に関与した。それは三つの新しい駆逐艦を建造し、米軍が勝手に使える「視界外の」レーダー網を設置するというものだ。

 これは四隻のイージス艦の機能を向上させ、基地のレーダー網、指令管制システムを建設するという日本のプランと生き写しである。飛来するミサイルを追尾するために、日本はアメリカの衛星の情報に頼ることになるのだ。

 

イージス艦

 アメリカは、中国の包囲と「封じ込め」支援のために、日本、韓国、台湾とオーストラリアを対ミサイルシステムで急速にカバーし、イージス対ミサイルシステムを構築することを計画している。

 イージス(「イージス」はギリシャ語で「盾」を意味する)とは地対空統合兵器の土台であり、それはコンピューターベースの指揮決定システムとして機能し、防空、対艦、対潜攻撃を同時的に遂行する能力をもつ。

 ハワード政権は、オーストラリア沿岸外域の長距離対ミサイルイージス機能をもつ三隻の対空戦駆逐艦をもつことになる。日本の金剛級駆逐艦はイージスシステムを搭載し、また米海軍は日本海にイージス搭載の駆逐艦を展開している。

 アメリカはオーストラリアに太平洋戦略上の「南の警察」になることを、日本に「北の警察」になることを求める。

 イージス対空駆逐艦とパイン・ギャップのアメリカの衛星管制基地にくわえて、オーストラリアのレーダー網はアメリカのスター・ウォーズ系悪の重要な構成要素になる。

 ミサイル防衛がターゲットの探知をできるようにするための視界外レーダーを、オーストラリアのジンダリーに設置することをめぐる裁判が、二〇〇四年におこされた。

 

オーストラリアの反基地運動

 一九八七年以前、オーストラリアには米軍基地に対するいくつかの有力なデモが存在した。一九八七年、オーストラリア反基地キャンペーン同盟(AABCC)が、オーストラリアの米軍基地を閉鎖するための一致した確固たる努力を調整し、支えるために結成された。

このAABCCは、可能な限り広範で包括的たることを目指した。

 事務局がシドニーに置かれ、大規模な反米軍基地のデモが年に二三回行なわれることが定例化した。デモの間に、このグループはロビー活動を行ない、米軍基地についての教宣活動を行ない、アメリカ-オーストラリア同盟に反対したのである。

 AABCCが結成されてまもなく、三カ国-オーストラリア、ニュージーランド、フィリピン-共同の米軍基地反対デモを企画することができた。日本やその他の国を加えて、再びそれをおこなうことは十分可能である。

 近年我々は、タリスマン・サーベル(守護刀)と呼ばれるアメリカ-オーストラリアの戦争ゲームに対して、戦車の車列を数時間止めるなどの、有力な抵抗をつくりあげることができた。我々は2007年に「タリスマン・サーベル」の軍事演習が再びなされた際の大規模デモを計画中である。2007年6月16日か23日にの我々のデモ週間を開始する予定である。このコンファレンスにいる人たちには参加をしてほしい、さもなくば連帯のメッセージを送ってほしい。

 オーストラリアの軍事基地への反対を組織するうえでは様々な困難がある。二大政党と圧倒的多数のメディアは、全く無批判にこれらの基地と米豪同盟を支持する。他にもかなりの遠方にあること(例えばシドニー-パイン・ギャップ間はバスで四三時間もかかる)、資金が足りないなどの問題がある。

 AABCCは現在も季刊の会報を発行し、ウェブサイトと事務所をもっている。我々はオーストラリアで動いている数少ない全国的平和団体のひとつである。我々は地域の反基地グループを立ち上げること、また彼らがデモを展開するのを支援すること、またオーストラリアの人びとがこの問題についての関心を絶やさないようにすることに努めている。

 我々はより大きな影響力をもてるようになることを切に望んでいるが、我々の抗議行動が大きな関心を引き起こすのも事実だ。というのも、彼らは、ある時には米軍基地への抗議行動に軍隊を送り込んでくるし、アメリカ政府は我々を調査するために米空軍の諜報機関を送り込んでくるからだ。時に我々は、彼らに動揺を与えているのだ!

 

この十二ヶ月間の展開

 南太平洋地域におけるオーストラリアの役割はより明確に、より攻撃的になっている。アメリカは、オーストラリアに南太平洋地域で自由に作戦展開する特権を与えたようだ。オーストラリア政府は「不安定の弧」と呼ばれるこの地域での不安をせっせと煽り立てている。この数か月の間にオーストラリアはソロモン諸島、パプアニューギニア、フィジーに介入した。これらの国の指導者の大半は、オーストラリアの蛮行に声高に不満を述べている。この行動は新植民地主義を課すことのお膳立てになるだろう。

 またオーストラリアは、我々が「東ティモールのクーデター」と呼ぶことの原因になっている。というのも、東ティモールの選挙された政府は、戦略的ティモール水域の石油資源に対するオーストラリアの要求にやすやすとは従わないからだ。

 オーストラリアとインドネシアの関係は常に「不機嫌」なものだ。だが、西パプアの独立を支持しないことに調印したのである。この協定はロンボク協定とよばれ、ほんの数日前に結ばれた。

 オーストラリアは常に北朝鮮を非難する構えにあり、また偽善的にもアメリカの核計画には沈黙を保ったままで、また我々の水域に明白に核を搭載した米艦船が入ることを認めながら、北朝鮮の核計画への一斉非難に加わっている。北朝鮮はオーストラリアに大使館をもっている。

 ましてや恐るべきは、オーストラリアが公海上の「北朝鮮船舶航行の禁止」を奨励していることだ。この問題についてのコンファレンスがブリスベンでもたれ、そして米豪海軍は二〇〇五年の「タリスマン・サーベル」で、航行禁止を想定した作戦演習を敢行した。

 

近日と今後の活動

 二〇〇五年一二月、数人の人がパイン・ギャップの基地に侵入し、一つのビルの屋上に座り込んだ。その結果起きた裁判と諸行動が、基地への関心を一定喚起した。

 「タリスマン・サーベル二〇〇七」と呼ばれる米豪大規模演習にたいする多くの平和、環境活動グループの大規模な抗議が起こっている。

 

結論

 我々は、オーストラリアがアメリカの軍事機械の歯車にならないことを承知している。

 オルタナティブはある。まさにそれはわが国を守るうえで実現可能で、かつ誠実にそれに寄与するものだ。独立、軍事支出の削減のためのオーストラリア自身の政策、また独立のための国家主権を尊重すること、対等性と自己決定は地域的な平和と安定の要求に最も寄与する。

 我々は新しい世界のセキュリティ秩序を求める。この新しいアプローチには以下のものが含まれる。

 

・オーストラリア領土の米軍基地を閉鎖し、ANZUS条約を破棄すること。アメリカのミサイル防衛計画に関与しないこと。オーストラリア政府が独自の外交政策を採ること。

・オーストラリアの防衛政策を変更し、他国の領域への侵攻を放棄し、自領域内の防衛に軍事能力を限定すること。軍民共用活動装備を重点化すること(例えば沿岸警備や迎撃に加えて森林火災の消火に使えるような航空機)。

・大幅な軍事予算のカット。軍事関連産業を社会的に有益なもの、また雇用増大につながる環境的に持続可能な生産へと転換すること。

・非核のオーストラリアを守ること。アジア太平洋地域の非核地域化に努力すること。

・外国の軍艦や軍事航空機がオーストラリアの港や空域に入ることを、またオーストラリア領土を通過するのを禁止すること。

・地域的軍拡競争の制限に努力し、透明性や信頼性の構築に努力すること。

 

世界の人びとは戦争遂行の痛手を被っている。平和のための闘いが挫折することによって、グローバルな独裁や人類的な悲惨、環境破壊のみならず、人類や惑星規模の絶滅の可能性をももたらすのである。

 アメリカ合衆国は万能なわけではなく、「平和のスーパーパワー」からの挑戦を受けている。近年の平和運動の台頭は、世界の舞台に空前の勢力を登場させた。二〇〇三年二月には一〇〇〇万人以上の人びとが世界中で街頭に、シドニーではほぼ一〇〇万人の人びとが躍り出たのだ。

 公正で平和的な世界は可能である。オーストラリアの民衆はアメリカ帝国主義を押さえ込むうえで、役割を果たせるし、そうしなければならないのだ。


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