【グアムからの報告】
リサ・ナティビダートさん(チャモロ・ネーション)


「在グアム米軍基地の現状」

米国の植民地として、グアム先住民チャモロは、再び、生き残るための闘いの真っ只中にあります。1898年以来、チャモロは米国に翻弄され、米国の大量消費主義と西洋の価値システムによって売られた多くを買わされる社会に生き続けています。このことは特に、現在連邦政府が進める、8,000人の米海兵隊を沖縄から移転させ、この島で軍事的プレゼンスを増強させようとする連邦政府の構想の只中にあって。グアムの活動家であり執筆家でもあるジュリアンは、この移転による島への流入人口を55,000人と予測しています(2006年)。この数は、現役軍人とその家族および軍事増強を支えるための追加労働者を合わせたものです。さらにアグオンは、海兵隊移転は約36%の島人口増加をもたらすとも報告しています。

経済問題の特効薬という触れ込みで、軍のプレゼンスの拡張は、地元経済を活性化させると期待されています。特に建設業での雇用促進や購買力の増加、また、地元の会社が拡張に関する契約を獲得することによって、連邦政府財源からの一筋の金が、軍用ゲートを経て、地元の人びとにいくことが期待されているのです。それにも関わらず、海兵隊移転準備の連邦契約のうち、少なくとも2つが、島以外の会社(サンディエゴを拠点とする会社とヴァージニアを拠点とする会社)に与えられました。

ドルとセントに基づかない部分は、しばしば経済方程式から除かれます。8,000人の海兵隊員移転が私たちの島にもたらす犠牲は、いかなる眉唾ものの利益よりもはるかに大きいのが現実です。騒音や交通の増加、賃貸料の値上げによって、チャモロは賃貸市場に手が届かなくなり、もはや住宅を都合することもできなくなるかもしれません。米国防総省は、グアムに米軍人のための学校と関連組織を持っているのです。これは、明らかに、質の良い教育へのアクセスの平等を許さない、教育における人種差別の例です。

2006年9月、米太平洋軍副司令官のダニエル・リーフ空軍中将は、海兵隊移転への憂慮を示すために集まったネーション・チャモロと女性グループと面会しました。リーフ氏は、海軍電信電話基幹局(NCTAMS)開発計画と現役軍人およびその家族のための3,500戸の住宅建設計画について話しました。基地外にもたらす経済利益の可能性に関する質問に対して、彼は非常にはっきりと、金は、基地整備と島の幹線道路である一号線(マリンドライブ)の改修に使われると答え、グアムで使われる金の大部分は、米軍基地のゲートの中で使われることを明確にしたのです。米軍の軍事行動で汚染された地域の浄化の取り組みについては、懸念を示す資料に関して、何もコメントすることができませんでした。島内唯一のごみ処理場などの民間インフラ整備や、悪化する医療制度や教育問題についても何も同様です。

どのように考えてみても、グアムにおける軍のプレゼンスの増大は、グアムとその人びとが、生活維持のために米国への依存度を高めることと同じです。アメリカの政治論評解説は頻繁にグアムを福祉国家―米国の国庫負担になった福祉国家―として言及します。しかし、チャモロは十分に賢明であり、212平方マイル(541平方km)の島に4つ以上の米軍基地を押し付けられたアメリカに対して私たちが払う犠牲は、これまで私たちが受け取ってきたいかなる助成金支援や地方補助金よりもずっと大きいことを知っているのです。米国は、借用費を払わずに世界のあらゆる場所へのアクセスを可能にする、理想的地理的位置を持ったグアムとその人びとを搾取してきたのです。

グアムとその人びとは、アメリカの国家安全保障の名の下に、多すぎるほどの対価を支払ってきました。グアムは、米軍のプレゼンスの結果としての害悪を経験しています。環境汚染物質は、人びとの間に重大な健康問題を引き起こしました。最近の検査では、高いレベルで枯葉剤や放射線が検出されました。また、アプラ湾とココラグーンでポリ塩化ビフュニルが見つかったことでもわかるように、島中で化学薬品がの違法投棄されていることも明らかになりました。さらにこの島は、1970年代のマーシャル諸島で放射線汚染の汚染除去場所としても使われました。こうした事実が、チャモロの間での癌をはじめとする病気の多発や短い平均寿命と関係しているのです。

グアムでの軍備増強は、6隻の原子力潜水艦、兵器備蓄庫、グアム諸島での軍事演習も含まれています。グアムが、中国と北朝鮮、そして、もしかするとイラクからの先制攻撃の標的になったことは議論の余地もありません。

最後に、ネーション・チャモロを代表して、沖縄からの8000人の海兵隊移転に反対するロビー活動によって私たちを支援してほしいと心からお願います。私たちは、沖縄から海兵隊が出て行くことの必要性を支持します。しかし一方で、グアムに基地を移転させる経費捻出のために、特に、日本の資源を使うことに反対する私たちの取り組みに皆さんの支援をお願いしたいのです。ネーション・チャモロは、アジア太平洋で、協働して反米軍基地の取り組みを行なうことに支持を表します。連帯すれば、私たちはより強くなり、きっとこの地域での安全を取り戻すことができます。


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