イラク情勢Watch vol.51 07年4月16日 発行:フォーラム平和・人権・環境 編集:志葉 玲 Topics 1)イラク関連報道Pick up 2)来日中のカーシム氏、従兄弟の死を語る 3)2252体の遺体が“シーア派信徒”としてカルバラに葬られる 4)現地人権団体、イラク人女性死刑囚3人の執行停止を訴える 5)身体的・精神的な問題を抱えたままイラクに送られる米兵達 1)イラク関連報道Pick up 【07.4.14 CNN】アルカイダ系組織が犯行声明、イラク議会食堂の自爆テロ 【07.4.14 共同/東京新聞】イラク米軍の財政窮迫 大統領、早期予算成立訴え 【07.4.12 時事】イラク撤退「最適任はオバマ氏」=ヒラリー氏、5位に低迷−米団体調査 【07.4.12 経団連タイムズ】ハーシミー・イラク副大統領と懇談−日本企業進出呼び掛け 【07.4.09 朝日新聞】安倍首相、自衛隊派遣継続を伝達 日イラク首脳会談 【07.4.5 オーマイニュース】イラク派遣で名を上げた「ヒゲの隊長」佐藤正久氏、出版記念パーティーを開く 2)来日中のカーシム氏、従兄弟の死を語る 日本の民間イラク支援ネットワーク「イラクホープネットワーク」がイラク西部ラマディ市から招聘したイラク人ボランティア、カーシム・トゥルキ氏は、先月23日に来日して以来、東京、北海道、広島など各地で講演を行った。講演では、カーシム氏は、従兄弟の死も報告、会場の参加者もショックを受けていた。 カーシム氏の従兄弟はラマディ在住のまだ16歳の少年だったという。少年の家に、米兵が来て、少年以外の家族の男性を皆さらっていったのだという。米軍は少年がレジスタンスのメンバーだと疑っており、少年を出頭させるために、家族を拘束したのだという。少年は家族を解放させるため、イラク警察に出頭したが、少年は拷問の果てに殺害され、遺体はゴミ捨て場に放置されていたという。遺体は野犬に食い荒らされていたそうだ。 カーシム氏は、明日17日、東京で2回めの講演を行う。詳しくは以下参照。 ■■■■■■□□□□□□□□□□□□□■■■■■■ ■■■□□□ □□□■■■ ■ ■ 緊 急 開 催!! イ ラ ク 開 戦 か ら 4 年 戦 闘 地 域 ラ マ デ ィ か ら の 報 告 『 イ ラ ク の 空 に は 何 が 見 え る ? 』 〜 あるイラク青年の体験 〜 ■ ■ ■■■□□□ □□□■■■ ■■■■■■□□□□□□□□□□□□□■■■■■■ 4月17日(火)19:00開始 (開場18:30) 場所:ピースボートセンターとうきょう http://www.peaceboat.org/office/index.html (山手線・西武新宿線・東京メトロ東西線「高田馬場」駅 徒歩8分) TEL:03-3362-6307 FAX:03-3362-6309 ★参加無料/要予約(電話にてご予約ください) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ピースボート/NPO法人PEACE ON /イラクホープネットワーク/ファルージャ再建プロジェクト 共催 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 「テロとの戦い」の最大拠点と名指しされた イラク西部アンバール州ラマディ 先月22日 ラマディ上空に米軍の戦闘機が飛来 4軒の民家に爆撃 死者26名 負傷者多数 家屋は潰され 学校は占拠された 食料配給なし 医療配給なし 空が恐怖に染まって4年 増えていくのは民間人死者数とその遺族 そして 報復を誓う抵抗勢力 なぜ ラマディは「テロとの戦い」の 最大拠点となったのか? なぜ 彼は米軍に拘束されたのか? 世界中のメディアが近づけない戦闘地域ラマディから 1人の青年が自分の体験を語るために来日した ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◎ゲストプロフィール◎ カーシム・トゥルキ(30歳) 1976年11月27日生まれ。エイドワーカー。 イラク、アンバール州ラマディ在住。アンバール大学機械工学部卒業。 イラク戦争中は共和国防衛隊に所属。 イラク戦争直後4月28日にファルージャで起きた米兵によるデモ参加者 乱射事件をバグダッドのメディアに報せに来たことをきっかけに、フリーの ガイド兼通訳として米テレビCNN や日本人ジャーナリストに同行。 同年6月、日本人と同行取材中に米軍に不当逮捕され9日間拘束。 釈放後「イラク青年再建グループ」を主宰。 これまでに学校などの修繕工事、診療所開設、避難民への 緊急支援などを行っている。 2004年からは日本の民間支援「ファルージャ再建プロジェクト」と 協同し現場の指揮を執っている。 昨年はラマディの様子を英語で記したブログがアメリカを中心に 話題となるが、それを理由に再度米軍に拘束された。 □□□■■■■カーシムさんのブログ紹介■■■■□□□ Iraq Mail日本語版 < http://iraqmailj.exblog.jp/ > Iraq Mail英語版 < http://iraqmail.blogspot.com/ > カーシムさんはジャーナリストでも政治家でも医師でもない、 ごくふつうの青年です。その彼がインターネットで発信して いるイラクの様子は、とてもリアリティがあります。 倒れている人が米軍の戦車にひかれていくのを目撃したり、 怪我をした兄が病院へ向かう途中、米軍の検問を通してもら えずに亡くなったり、甥が不当に逮捕されたり、自分も拷問 を受けたり・・・。 そして同じ悲しみを抱えた多くのイラクの人達と同様に、 何度も“武力で抵抗する側”に走りそうになったといいます。 しかし彼は悩み苦しみながらも、 「結局、武力では何も解決しない」 「非暴力で平和を作り上げていかなくては」 と、戦禍のイラクのなかでそれを実践しています。 まさに“憲法9条”を体現している人です。 詳しくは彼のブログ(日/英)をぜひ読んでください。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆総合問合せ先◆ iraq_hope_net@yahoo.co.jp [イラクホープネットワーク] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 3)2252体の遺体が“シーア派信徒”としてカルバラに葬られる 匿名のイラク政府筋によれば、この数ヶ月間で少なくとも2252体の遺体が“シーア派信徒”として同派の聖地カルバラに葬られたという。5日付けの現地紙「アザマン」が報じた (http://www.azzaman.com/english/)。これらの遺体は遺体安置所に保管されていたものであり、なぜ、長期間保管された末にカルバラで葬られるのかは不明だという。同紙によれば、遺体安置所に遺体を引き取りに来た親族がその場で殺されるケースすらあるのだという。 本コーナー編集人が現地情報提供者に聞いたところ、遺体を遺族に返さず、カルバラに埋めるのは、「シーア派側の犠牲者数を多く見せるため」であり、イラク政府による宗派間の憎悪を煽るプロパガンダの一環なのだという。遺族は、遺体を取り戻すために高額の賄賂を支払わなくてはならず、仮に賄賂を贈ったとしても、遺体が戻る保証はないのだという。 4)現地人権団体、イラク人女性死刑囚3人の執行停止を訴える 現地人権団体「イラク人権監視ネット」は、イラク最高裁判所によって死刑が下されているイラク人女性3人の執行停止を訴える国連への公開書簡を同団体ブログで公開している(http://www.mhrinet.org/)。 現在、死刑囚とされている女性達は、ワッサン・タリーブさん(31)、ザイナブ・ファディルさん(25)、リカ・オマル・モハンマドさん(26)。彼女たちは反米・反イラク政府武装勢力を支援したとして、「公共の福祉」に反する罪で、死刑囚とされた。リカさんは獄中で出産し、ワッサンさんは3人の子どもの母親である。3人はバグダッドのカズミヤ地区の刑務所に拘束されているが、イラクの刑務所では、拘束されている女性達に対して、組織的な性的虐待が行われているのだという。 イラク人権監視ネットは、身元の判明した3人の女性の他、全ての被拘束者への死刑執行と、拷問や虐待の停止を呼びかけている。 5)身体的・精神的な問題を抱えたままイラクに送られる米兵達 独立系ニュースサイト「エレクトリック・イラク」(http://electroniciraq.net/)の9日付けの記事によると、多くの米兵達が身体的・精神的な問題を抱えたまま、イラクへ送られているのだという。同記事によれば、ジョージア州フォートベニング基地の第3歩兵師団では、ボディーアーマー(重装備の防弾チョッキ)を着られない程、負傷した兵士がイラク行きの兵員として配備されているという。また、負傷のため、攻撃を受けた際に3〜5秒以内に安全圏へ避難できない兵士達も配備されているという。さらにPTSDを患っている兵士達もイラクに向かうことを強要されているそうだ。 ●バックナンバー 第50号 2007年04月02日 第49号 2007年01月31日 第48号 2006年12月31日 第47号 2006年11月30日 第46号 2006年11月19日 第45号 2006年11月07日 第44号 2006年10月28日 第43号 2006年10月13日 第42号 2006年09月30日 第41号 2006年08月29日 第40号 2006年07月25日 第39号 2006年07月13日 第38号 2006年06月30日 第37号 2006年06月12日 第36号 2006年06月01日 第35号 2006年05月20日 第34号 2006年05月09日 第33号 2006年04月28日 第32号 2006年04月18日 第31号 2006年04月07日 第30号 2006年03月28日 第29号 2006年03月16日 第28号 2006年03月07日 第27号 2006年02月28日 第26号 2006年02月15日 第25号 2006年02月06日 第24号 2006年01月27日 第23号 2006年01月20日 第22号 2006年01月07日 第21号 2005年12月24日 第20号 2005年11月30日 第19号 2005年11月24日 第18号 2005年11月15日 第17号 2005年11月07日 第16号 2005年10月31日 第15号 2005年10月24日 第14号 2005年10月15日 第13号 2005年10月09日 第12号 2005年09月30日 第11号 2005年09月21日 第10号 2005年09月12日 第09号 2005年08月30日 第08号 2005年08月22日 第07号 2005年08月14日 第06号 2005年08月05日 第05号 2005年07月30日 第04号 2005年07月22日 第03号 2005年07月12日 第02号 2005年07月05日 第01号 2005年06月29日 |