2011年、トップランク、集会等の報告
2011年12月17日
全国から850人が参加し「食とみどり、水を守る集会」を名古屋で開催
12月16日~17日、愛知県名古屋市で「名古屋からの発信 支えあおう!“食・みどり・水”そして暮らしと生命」をスローガンに、「第43回食とみどり、水を守る全国集会」が開催され、全都道府県の労働組合、農民・市民団体などから850人が参加しました(写真左)。
今集会の最大の課題は、3月の東日本大震災と福島原発事故の問題で、地震と津波等による農林漁業への被害と復旧・復興に向けた課題が話し合われました。一方、福島第1原発事故に対しては、特に、農地等の放射能汚染や、食品の安全対策の徹底、規制値のあり方などで、多方面から検討されました。
被災地の復旧・復興と農林水産業の再生へ
第1日目は全体集会が「ウィルあいち」(愛知女性総合センター)ホールを会場に開かれ、東日本大震災の犠牲者への黙祷を行った後、主催者あいさつに立った棚村博美全国集会実行委員長(全農林労組委員長)は「大震災の被災地の復旧・復興と農林水産業の再生に向けた運動を強化するとともに、環太平洋連携協定(TPP)交渉の参加問題を幅広く検討して対策を強化しよう。そして、国内の生産力を高め、食の安心・安全、環境の基盤を揺るがさない政策を求めていこう」と呼びかけました。また、藤好三知雄愛知県実行委員長(あいち平和フォーラム代表)が歓迎挨拶を行い、神野進連合愛知会長、大村秀章愛知県知事からも挨拶がありました。
情勢と運動の提起(基調報告)を藤岡一昭全国集会事務局長(平和フォーラム副事務局長)が行い、「東日本大震災の突き付けている諸問題と原発事故にともなう放射能汚染問題をすべての課題の共通テーマとしながら、食の安全と安定確保、農林業と食料政策、森林・水など環境政策を中心に議論を進める」ことを提起しました。
放射能の徹底した測定と公表、責任を問う
こうした提起を受け、「震災、原発事故と食料・農林漁業・環境問題」をテーマとした全体シンポジウムが行われました。関西を中心に食や環境問題で市民活動を進めている神田浩史さん(AMネット理事、泉京・垂井理事、西濃環境NPOネット副会長)をコーディネーターに、パネラーとして、被災地である東北大学教授の工藤昭彦さん(食・緑・水を創る宮城県民会議会長)が、大震災による農林漁業の被害と復旧の経過、被災農家の意向調査をもとに「参加型農業・農村改革による震災復興が大切だ」と強調しました。
一方、原発事故による放射線被曝問題について、安田節子さん(食政策センター・ビジョン21代表)は、「現在の飲食物の暫定基準値は安全値ではなく、がまん強要値だ。放射能対策は徹底した測定と公表、そして、東京電力や政府の責任を求めていくことが必要だ」と訴えました。
こうした意見に対し、愛知県選出衆議院議員で環境委員会筆頭理事の近藤昭一さん(前環境副大臣)は、「不幸な事故が起きてしまったが、日本には原発はあってはならないものだった。今後は除染対策をしっかりすることが必要。また、大震災を契機に政策を見直し、地産地消や自給率向上に向かおう。また、森林の再生も大事な課題だ」と述べました。
1日目の最後に、参加者全員で「交流・懇親会」も行われ、民主党、社民党の議員などが挨拶しました。
被災地の取り組み報告も含め活発な討論
第二日目は分科会討議が行われ、「生物多様性国際会議(COP10)の経緯と成果、今後の課題」、「食の安心・安全・安定」「食料・農業・農村政策」「水・森林を中心とした環境問題」を課題に、福島県内の給食センターの放射能汚染問題や、仙台市内での下水道の復旧対策など、被災地の取り組み報告も含め、活発な討論が行われました。
また、フィールドワーク分科会では、岐阜県垂井町において、中山道垂井宿の名残や、水に活かされる町作りの視察や学習を行いました(写真右)。また、愛知県半田市では日本唯一の酢の博物館などを訪ねるフィールドワークも行われました。
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