2010年、東北アジア平和キャンペーン、集会等の報告
2010年10月26日
日朝国交正常化連絡会訪朝団報告会
「東北アジアに非核・平和の確立を!日朝国交正常化を求める連絡会」(日朝国交正常化連絡会)は、9月29日から10月2日にかけて連絡会として初めての朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)への訪問団を派遣しました。訪朝団のメンバーは、連絡会の清水澄子共同代表(朝鮮女性と連帯する日本婦人連絡会代表・元社民党参院議員)、福山真劫共同代表(平和フォーラム代表)、和田春樹顧問(東京大名誉教授)、鈴井孝雄静岡県平和・国民運動センター事務局長の4人。その全員と約40人の参加者のもと、10月26日、東京・総評会館で報告会を開きました。
最初に団事務局長の福山代表が「訪朝団の日程と諸行動の概要」について報告。9月29日、平壌到着後、対外文化交流協会洪善玉副委員長、黄虎男局長らによる歓迎宴。9月30日、金日成総合大学電子図書館・水泳館訪問、軍縮平和研究所の崔進研究員らと面談、朝鮮赤十字中央委員会訪問、宋日昊日朝交渉大使らと面談、アリラン観覧。10月1日、大同江果樹園訪問、社会科学院経済研究所の李ギソン博士らと面談、同歴史研究所の曺喜勝所長らと面談、朝鮮被爆者協会・被爆者金明愛さんとの面談、対外文化交流協会に対する答礼宴。10月2日、平壌発帰日。以上の訪朝日程のもとで、入国について、10万円をこえる現金の持ち出しには、申告が必要。団として300万円前後持ち出したが、被爆者協会支援、赤十字への災害支援カンパと説明すれば、問題なく通官できたこと。主要意見交換会では、すべて録音について了解されたと報告しました。
軍縮・平和研究所との面談では、崔進研究員から、第1に、共和国の現状について、2012年強盛大国の大門を開こうとし、人民の生活向上に全力を注いでいること。平和のためには環境が必要であり、先軍政治で国防力を強めでいること。国力が弱いと抑止力がなく、アフガン、イラクのように3番目の被侵略国になる危険があること。北と南の統一は朝鮮民族の悲願であり、その流れのなかで、2000年6月15日の共同宣言があり、和解・協力が進むが、李明博政権誕生後、流れを逆流させていること。李明博は反民族・反統一であること。同じ民族を主敵とする敵視政策を進めていること。3月の哨戒艦「天安」事件をでっち上げ、米韓の合同演習も実施、原子力空母「ジョージワシントン」も参加させ、先制打撃論の動きもあるなど、李明博政権は吸収統一路線であること。6・15、10・24路線のなかに未来があるのであり、そこに向けて最近一部修正の動きもあるが、発展するかどうかは南の姿勢によること。第2に、平和体制の構築・非核化について、朝鮮半島の事態は、周期的に「せとぎわ」まで進行していること。この原因は戦争、平和でもない停戦状態によること。不信の悪循環は、軍事の悪循環になること。1日も早い「平和協定」締結を「米」に提起し続けていること。平和保障システムの構築が重要であり、そのなかで非核化を進めること。核兵器を廃棄すると米との対等の協定は難しいことなどが提起されました。
社会科学院経済研究所の李ギソン博士から、第1に、経済建設の成果と展望について、2006年には強盛大国への道が見え、2007年に2012年に大門明けるという構想を提起したこと。主要な分野は経済建設であること。第2に、当面の目標として最高生産年度の水準を上回ることとし、回復基調にあること。情報競争時代に即して、主体的、近代化、科学化を推進し、人民の生活に転嫁していくこと。第3に、今年の成果と目標として、生活改善向上が目標であり、そのため軽工業と農業の発展を重点にし、消費財の生産の増加と質の改善に努めていること。この背景に重工業の発展があること。第4に、2つの重点目標として、経済と科学分野で世界最先端を突破すること。宇宙技術と核技術は先端であること。CNC技術、バイオテクノロジー、繊維生産などを発展させ、足を地に世界を見ることが説明されました。
福山代表は、「在朝被爆者問題での交流」についてもつづけて報告。朝鮮被爆者協会は、1995年に結成され、a.被爆者の調査登録、b.政府・医療機関への要請、c.諸団体と連携行動している団体。2008年4月の実態調査で、確認された在朝被爆者は1911人、そのうち生存者は382人。課題は、急速な高齢化により死亡者が拡大し、生存者の健康状態も悪化していること。被爆2世の課題もあること。日本政府の責任で人道的措置にとりくむべきであることが報告されました。
和田顧問は、「労働党全国代表者会などの動きと訪朝団~宋日昊大使との面談など」について報告。宋大使が日朝関係の今後について「日本政府が過去の歴史をきれいに清算して政治的な善隣関係を結ぶこと。これは変わらない課題だ」と述べたこと。他方、拉致問題について、日本政府は過去の清算を回避するために拉致問題を利用していると指摘し、「日本政府は拉致問題に拉致されている状態だ」と話したこと。さらに、8月の菅首相談話に触れ、「村山談話の枠を出ていない。南朝鮮(韓国)だけを相手にしている」と述べ、「政権が代わっても対朝鮮政策は何も変わっていない」との認識を示したことなどが報告されました。
10月6日まで訪朝していた清水代表は、「垣間見たピョンヤン市民の暮らしから」と題して報告。日本のマスコミにより助長されている「朝鮮に対する偏見」、「事実とのギャップ」を指摘しながら、2012年強盛大国に向けている朝鮮の姿を現実としてしっかり捉え、訪朝の成果をもとに連絡会の運動をいっそう発展させていくべきと語りました。
静岡からかけつけた鈴井さんも初めての訪朝について感じたことについて語りました。