日弁連全国冤罪事件弁護団連絡協議会第15回交流会~大分・清川村強盗殺人事件

志布志、氷見、足利、布川と次々と冤罪事件が解明されてきたなか、6月2日、日弁連の全国冤罪事件弁護団連絡協議会は第15回交流会を東京弁護士会館クレオで約100人の参加者を得て開催しました。この交流会では、2010年2月23日に大分地方裁判所で無罪とされた大分県清川村(村名は当時)の強盗殺人事件をもとに、「間接事実の証明の程度と推認カ、自白の信用性評価について」と題して行われました。大分・清川村強盗殺人事件とは、2005年3月8日に、61歳の女性の住む家に家宅侵入して現金13万円を窃取し、さらに3月14日にも被害者方に侵入して物色中にその女性に発見されたときに、女性の頭部をコンクリート塊で多数回殴打し、頚部をひもで締めるなどして失血死させたうえ、自動車、お買い物券を強取したというもの。検察官は、賍品所持などの間接事実だけで被告人の犯人性が推認しうるとして自白の任意性、信用性も主張しました。判決は、間接事実に合理的な疑いを超えた証明を求めた上、その推認力を慎重に判断し、被害車両の所持を認定せず、お買い物券の所持から強盗殺人を推認しえないとしました。また、自白では、寝ころんだ相手を多数回殴打したとしているが、血痕の飛散状況から、立って移動しながら殴打されたとしていること。自白は、絶命まで自動車キーを握りしめていたとしているが、頚部の傷は被害者によるものとして信用性を否定しました。さらに、車両に被害者の血痕付着がないことから、殺人と自動車窃盗との結びつきも否定した事件です。加えて、この事件は、公判前整理手続に付して38回もの公判を経た事件であることなど、裁判員制度との関連で審理方式も実務的に注目されています。
交流会は、日弁連の篠塚力刑事弁護センター事務局長の開会あいさつにつづいて、全国冤罪事件弁護団連絡協議会の今村核座長が交流会の趣旨と進行を説明。その上で、事件を担当した国選弁護人の弁護団の佐藤拓郎・渡辺耕太・田中利武弁護士(いずれも大分県弁護士会所属)から報告を受けて質疑応答するとともに、間接事実の証明の程度と推認力に関する判断方法や自白の信用性の評価手法等について、研究者の視点から、中川孝博國學院大學法学部教授から報告と提起を受けました。
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