2023年、集会等の報告
2023年11月17日
平和への誓い 憲法でまもる 私たちの未来 第60回護憲大会を新潟で開催
11月11日から13日にかけ、「平和への誓い 憲法でまもる 私たちの未来 憲法理念の実現をめざす第60回大会」(第60回護憲大会)を新潟県・新潟市にて開催し、11日の開会総会には約1400人が参加したほか、3日間の日程のなかで分科会・ひろばやフィールドワーク、閉会総会などを通じて、憲法をとりまくきびしい状況を再確認しつつも、私たち自身が憲法の理念を実現し、私たちのめざす未来へと活かしていくために奮闘していく決意を固めました。
11日の開会総会は、新潟ろうあ万代太鼓「豊龍会」の演奏と「にいがた総おどり」による演舞が行われ、幕を開けました。藤本泰成・実行委員長(平和フォーラム代表)から開会あいさつ、齋藤悦男・副実行委員長(新潟県平和運動センター議長)が開催地からの歓迎あいさつを行いました。続いて、則松佳子さん(連合副事務局長)、西村智奈美さん(立憲民主党代表代行)、福島みずほさん(社会民主党党首)から連帯あいさつがありました。そして、大会基調案を染裕之・事務局長が提案しました。
本大会メイン企画は「憲法審査会の現実と今後の私たちのとりくみ」をテーマにシンポジウムを行いました。コーディネーターに飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)、パネリストに新垣邦男さん(衆議院憲法審査会委員)、打越さく良さん(参議院憲法審査会委員)、杉尾秀哉さん(前・参議院憲法審査会幹事)、吉田晴美さん(衆議院憲法審査会委員)を迎え、衆参の憲法審査会をめぐる状況を確認し、改憲発議への危機感を共有しました。
12日午前は「現下の改憲情勢」「軍拡・基地」「ジェンダー平等」「歴史認識」「憲法を学ぶ」の5つの分科会を開催し、それぞれのテーマでの問題提起と質疑応答が行われました(→分科会報告はこちらをご覧ください)。また、新潟水俣病を学ぶフィールドワークも実施されました。午後は「脱原発型社会を構想する(シンポジウム)」「基地問題交流会」を行いました。
13日は閉会総会を行いました。さいしょにパレスチナに何度も訪れ現地情勢にも詳しい清末愛砂さん(室蘭工業大学教授)によるビデオ報告が上映され、続いて特別報告として沖縄・辺野古新基地建設強行をめぐる現状、福島原発の汚染水海洋放出問題、山口・上関への使用済み核燃料中間貯蔵施設建設の動きについてそれぞれ報告されました。染事務局長からは3日間全体の内容についてのまとめ報告を行いました。また、遠藤三郎賞の授賞が行われました。本年は新潟で活動する「新潟水俣病共闘会議」「灯の会」「シネ・ウインド」の三団体に授与されました。次回の第61回大会開催予定地が岡山県であることが発表され、岡山より決意表明がありました。大会アピール案が提案され、全体の拍手で確認しました。
以下は閉会総会で採択された大会アピールです。引き続き、改憲発議阻止・憲法理念実現に向け、平和フォーラムはとりくみをすすめていく決意です。全国の皆さん、ともにがんばりましょう!
平和への誓い 憲法でまもる 私たちの未来
憲法理念の実現をめざす第60回大会アピール
私たちは新潟県・新潟市に集い、3日間にわたって開催された本大会のなかで、私たちと憲法をとりまく状況を学び、また各地におけるさまざまな実践に触れ、あらためて日本国憲法の理念を実現し、私たちのめざす未来へと活かしていく決意を確認しました。
たしかに、私たちをとりまく現実は、たいへん困難なものがあります。本来、誰よりも憲法を遵守する義務を負う国会議員、とりわけ首相が改憲を叫び立てる異常事態が、この間ずっと続いてきました。
そのことを反映しているのが、憲法審査会の現況です。現在中心的な議題になっているのは緊急事態における国会議員の任期延長ですが、これまで野党による国会開催要求を散々無視してきた与党が、国会の重要性をここぞとばかり主張しており、言語道断というべきです。空疎な改憲談議の時間を積み重ねただけで具体的条文案作成へとなだれ込むことは、決して許されません。
私たちが求めるのは、憲法に基づき、平和といのちと人権を大切にする政治であり、社会です。しかし、いま岸田政権によってすすめられている大軍拡路線や、日米韓にとどまらないNATO諸国なども巻き込んだ軍事一体化。そして辺野古新基地の建設強行と南西諸島の軍備強化は、まったく憲法の平和主義と相容れないばかりか、沖縄県民の民意を踏みにじるものでしかありません。また、原発利用政策への回帰や放射能汚染水の海洋放出強行は、原発事故で大きな被害を被った福島県民はいうまでもなく、私たちの生存権を侵害するものです。
さらに問われなくてはならないのは、これらの重大な問題をまともに議論することなく、国会における多数をいいことに強行してきたということです。岸田政権は、安倍政権や菅政権同様に、民主主義破壊をすすめていることを厳しく非難されるべきです。
いっぽうで、憲法の理念を握りしめ、不屈にたたかう人びとがいます。バックラッシュの動きにも立ち向かいながら、ジェンダー平等の実現に向けて一歩ずつ前進をかちとっています。同性婚をはじめ性的少数者の権利拡大においても、勝利的な判決も出てきています。入管法改悪は強行されましたが、多文化共生に向けた地域におけるとりくみも広まっています。「ノーモア・ミナマタ」訴訟における大阪地裁での勝利をひとつの足がかりに、すべての水俣病被害者の救済をめざしたたかいは続いています。
私たちはこうしたがんばりに学び、力づけられながら、憲法がさし示す私たちの未来へと踏み出していかなくてはなりません。
ロシア・ウクライナ戦争の戦火は、いまなお止んではいません。さらにはイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区に対する封鎖と攻撃が、日々たくさんの犠牲を生んでいます。しかし、絶望やあきらめこそ、もっとも避けるべき態度です。世界で立ち上がる人びとともに、現下の民衆虐殺を止めるべく声をあげましょう。
そして、日本政府がアメリカにただただ追従するのではなく、憲法に基づく平和外交に努めるよう、強く要求していかなくてはなりません。私たちが果たすべき役割は、たくさんあります。引き続き、ともにがんばりましょう。
2023年11月13日
憲法理念の実現をめざす第60回大会
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