第46回護憲大会 閉会総会 特別提起        2009年11月03日
「未組織・非正規労働者の労働相談の現場から〜NPO法人ユニオンサポートセンターのとりくみ」
                         長野県・松本地区労働組合会議事務局長   荒 井 宏 行
 →特別提起資料
   おはようございます。私のほうからは、未組織労働者の相談や、非正規問題にかかわる現状やとりくんでいる課題、あるいは新しい政権ができましたので、期待をするという意味で少し報告させていただきたいと思います。
 松本地区労組会議というのは、長野県の中央部、松本市、安曇野市、東筑摩郡の2市6町村のエリアにある労働組合で組織される約5200人の地区労です。
 新しい政権ができました。それで、雇用問題、労働問題というのはまさに一番最大の問題だと思っています。もちろん平和・人権・環境の問題は当然いずれも重要ですが、最大の雇用の問題について考えていきたいと思います。お手元にA4判の資料をお配りしていますので、ご覧いただきたいと思います。
 NPO法人ユニオンサポートセンターを立ち上げたきっかけは、1986年ぐらいから労働相談はやっていたんですけれども、われわれの組織のなかのタクシー労働者が自殺をするということが起きました。わずか100万円の借金を返せずに、奈川渡ダムから身を投げるということがありまして、労働組合の組合員を守れなかったという反省から、労働相談だけではなくて、労働者個々人がかかえている悩み全般をはじめようということで、2002年に労組会議定期大会で、相談センター設立を決定して、略称ユニオンサポートセンター、市民生活・労働相談センターを正式名称として設立をして今日に至っています。現在とりくんでいるのは、弁護士、社会保険労務士、司法書士による月1回の定例相談の他、日常相談として毎日専任相談員をおいてとりくんでいます。労働組合の相談というのは垣根が高くて一般市民が相談に来にくいので、NPO法人という形にしました。
 現在は松本のところで労組会議といっしょに相談所をしていますが、松本市から労働相談の支援事業ということで、年間220万円の委託費用をいただいて、年間予算としては400万円ぐらいでとりくみをすすめています。NPO法人の事業についてはお手元に書いてありますが、まさに平和・人権・環境の事業を行うNPOとしてとりくんでいます。
 相談件数につきましては裏のほうに記載をしてございますけれども、非常に最近の特徴的なことは、司法書士会やいろんなところで多重債務などの相談をしているので、金銭関係は少なくなってきてたんですが、家庭関係、とくに離婚をめぐる相談が増えてきました。年間100件近い相談が寄せられるようになりました。これはやはり社会的な状況を反映しているのかなと思います。リストラにあって家庭環境がうまくいかなくなったという相談が圧倒的に多いわけです。労使関係についても2008年の11月から186件の新規相談がありますが、そのうち49件が解雇・雇い止めということで集中しています。長野県は愛知県に次いで2番目にいわゆる派遣切り労働者が多い地域です。自動車や電機関連が多いところで、相談が非常に多かったわけです。
 特徴的なとりくみとしては、時間がありませんので一つだけで報告しますが、このNPOの相談事業をきっかけにして、セブンイレブンではじめて労働組合をつくった管理監督者訴訟のとりくみです。全国には1万3000件の店舗がありますが、そのセブンイレブンではじめて労働組合ができました。いわゆるフランチャイズの店長や副店長が中心となって労働組合をつくりました。労働組合をつくっていろんな申し入れをしましたが、会社側は店長は管理監督者である、労基法41条に規定されている労働時間の適用を受けない労働者であるということにあくまでも固執して、組合員としても認めないという立場を貫きました。もちろん残業手当も支払わないということを貫きました。それで、やむをえずわれわれは残業手当が欲しかったわけではありませんが、労働者の団結権と、いわゆる名ばかり管理職に代表されるような長時間労働、人権無視の状況を打開するために長野地裁の松本支部に未払い賃金訴訟を起こしました。結果として、これは和解という形で終わりました。店長の労働者性を認めて、未払い賃金を支払わせたわけです。このたたかいは、ご承知の通り、いろんなところで、日本マグドナルド事件とか、コナカとか、全国のユニオンの労働組合がとくにがんばって社会的な運動になったわけです。セブンイレブンでこういうたたかいになりましたが、コンビニエンスストアだけではなくて、全国のいわゆる名ばかり正社員という形で管理職を含めて非常に厳しい環境で働いている労働者にとって大きな励みになったと思いますが、ただ局地的なたたかいであったことも事実であります。
 もう一つ申し上げるのは、派遣切れの問題です。長野県は自動車関係が多かったので、相談もありましたが、とくに雇用保険が切れていきなり生活保護を申請せざるをえない状況になることについて相談がありました。労働組合をつくって交渉しましたが、やはりセーフティネットが非常に不十分なんです。いろんなところに相談にいってもなかなかうまくいかない。市役所に行く、社会福祉協議会に行く、というような形で、路上生活になるという現状にあるのではないかと思います。現在私どもが相談のなかで感じているのはやはり雇用問題です。どうやって雇用を確保させていくのかということで、松本市等々と協議するというか、労働問題懇談会というのがあるので、いろんなところで提起をさせていただいていますが、松本市の市長が言っているのですが、たとえば、ふるさと雇用再生特別基金事業とか緊急雇用創出基金事業があって、松本市にも7億近い金が下りてきていますけれども、市長自らこの基金は使いにくい、まだ1億しか使いきれていない状況があります。つまり、緊急対策事業といっても雇用創出につながっていないという現在の問題が実はあるわけです。こういうような問題、あるいは緊急の失業対策事業をぜひしてほしいと現在申し入れていますが、これは国の事業ですので、やはり新政権になったわけですから、どのように私たちの雇用とくらしを守るための政策を実現していくのかについて、声を大きくあげていかなければならないときではないかと痛切に思っています。実は、失業になって昔であれば3カ月もすればだいたい新しい就職先がみつかったんです。ところが、いまは6カ月経ってもみつかりません。雇用保険が切れてしまう。就職訓練に行ってもほとんど就職口がありません。たとえば、派遣労働者がわれわれのところに相談に来た人もいるんですが、ヘルパーの資格を受けて、何とか20万円ぐらいの仕事がないかとさがしたが、やはり正社員の仕事がなくて、非正規、有期であったことで諦めるということが実は全国的に広がっているわけです。このような状況は、社会の安定の点からいっても大問題ですし、護憲の組織においても、雇用問題を憲法の生存権の問題としてぜひ考えていただきたいと思います。松本ではこれからもみなさんと連帯して働くものの相談の砦としてがんばってい期待ということを申し上げて、報告にさせていただきます。たいへんありがとうございました。

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