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【報告】長崎第4分科会/ヒバクシャ2-学習編-韓国併合から100年~強制連行と被爆を考える

2010年08月08日

会場:長崎県教育文化会館2F大会議室
参加人数:84名(内、初参加約70名)

 朝鮮人は、なぜ被爆しなければならなかったのか。現代の歴史上でほとんど語られることはないが、吉田松陰、福沢諭吉らは、アジア全域への明確な侵略思想をもっていた。この流れを受け、朝鮮半島への侵略により不当なかたちでの併合条約の締結が行われた。強制連行により、日本へ連れてこられた人々も当然ながら、土地を奪われた朝鮮人らは、やむなく広島や長崎へ渡り、低賃金で重労働を余儀なくされた。国を奪われ、土地を奪われ、名前を変えさせられ、朝鮮民族という誇りを奪われ、人格まで否定された当時の人々の苦しみは筆舌に尽くしがたい。韓国併合100年を機に、「保護条約」も「韓国併合」も当初から不法・無効と宣言すべきである。これこそ今日本政府に求められている政治決断であると言える。
 また、在外被爆者への援護などの面からも、日本政府の対応についての批判が出た。被爆者健康手帳の効力を、日本国内のみに限定した1974年7月の厚生省「402号通達」は、在外被爆者を排除する内容であることは明らかである。また、原爆症の認定に関しては、いまだに来日が必要であるという点も、今後争っていくべき課題である。いづれにしても、高齢化していく被爆者にとって、何事も時間をかけ裁判で争うしか方法がないということは、在外被爆者の辛さである。アメリカによる原爆投下への謝罪以前に、日本による朝鮮半島侵略・強制連行・従軍慰安婦問題などに対する謝罪が行われるべきである。
 参加者からは、在外被爆者への医療費援護に対する具体的な質問が多く出された。日本の被爆者と在外被爆者の差別の実態はどうか。日本の被爆者は医療費の助成に上限が無いのに対し、在外被爆者は年間16万5千円に制限されている。また、被爆直後の在日朝鮮人に対する初期医療について、朝鮮人だと判ると手当をされない、強制労働により自分たちが掘った地下壕に入れてもらえなかったという証言が多数存在するという報告がされた。長崎市による軍艦島の観光資源化に関連し、島にまつわる強制連行の事実などがクローズアップされないとういう事に対する憤りが参加者から発言された。
 韓国国内においても、被爆2世、3世の問題は大きい。この問題を解決するためには、日韓の連携や議論が必要であるが、在外被爆者に対する差別は現在の日本政府にも続いており、このような姿勢は恥ずかしい事である。「朝鮮人はなぜ被爆しなければならなかったのか」という所から、もう一度日本の犯した過ちについて考え直し、そこから我々の運動を構築することが必要である。

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講師の高實康稔さん(岡まさはる記念館理事長・長崎大学名誉教授)

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ゲストの郭貴勲(カク・キフン)さんは元韓国原爆被害者協会会長

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