【報告】広島第1分科会/平和と核軍縮1――学習編 アメリカの核戦略とNPT体制
2010年08月05日
会場:広島市・ホテル八丁堀シャンテ
参加人数:282人(35県)
初参加者:142人
講師:湯浅一郎さん(ピースデポ代表)
海外ゲスト:ポール・マーティンさん(米国・ピースアクション政策担当)
ロバート・グリーンさん(ニュージーランド軍縮・安全センター共同所長)
<討論の要点と特徴>
学習編ということで、基本的な事柄を含めて3人の講師から提起を受けてきた。
オバマ大統領による「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」とのプラハ宣言に代表されるようにアメリカでは核兵器廃絶に向けた動きが進んでいる。そうしたなかで開催された今年のNPT再検討会議では、核兵器禁止条約のような枠組みを作るための努力が必要といった全会一致の文書を採択することができた。何も合意できなかったブッシュ政権時の前回会議とは大きな変化。同時に、矛盾も発生している。2011年度予算では70億ドルもの新たな核兵器開発の研究費が計上された。これを5年間続けるという。また、保守化している米議会の状況を考えれば、新STARTによる核兵器削減のスピードが速まることはないだろう。背景には軍産複合体の利害の問題など、アメリカが抱える構造の問題があると考えられる。政権交代が起きてもこの構造は急には変えられない。
こうした現実の壁を突き崩すために日本が果たさなければならない役割は大きい。ひとつは、核兵器の非人道性を訴えることが求められている。NPTは、「非人道だから核兵器をなくそう」ということで作られた条約ではない。非人道性との視点を各国で共通認識とするためにも、唯一の被爆国として被曝者の証言を世界に訴えていくことが問われている。また、北朝鮮との外交を樹立することも必要。北朝鮮が保持していると言われる核兵器の目的は軍事面ではなく交渉の材料という政治的なもの。しかし、米朝でトラブルが発生すれば、戦場となるのは日本である。北朝鮮との問題は非常に重要となっている。
また、私たちの運動に求められていることは、(1)核兵器に依存しない政策を探る(2)北東アジアの非核兵器地帯を作ることなどがある。南半球では、非核兵器地帯が広がっている。核兵器を使用できない状況を広げ、保持していても意味がない環境をつくりあげなければならない。1987年には7万発と言われた核兵器も現在では2万3千発と明らかに減少している。これは運動の広がりと成果を意味するもの。楽観できる状況ではないが、現在の転換点を好機として活かす私たちの視点と力の蓄積が問われている。
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