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エネルギー問題専門家のマイケル・シュナイダー報告会で明らかになった「原子力ルネッサンス」の実態

2010年10月13日

10月13日、参議院議員会館で開かれた報告会には、専門的な内容にも関わらず超党派の議員11人をふくめて、数十人の参加者で会議室はいっぱいになりました。ヨーロッパ各国の政府など公共機関の委託研究を多く手がけているシュナイダーさんの報告は、豊富な統計データを示しながら、世界のエネルギー需給に占める原子力の役割の低下を明らかにするものでした。

気候変動問題で重要視されるCO2排出の抑制を考慮しても、あまり変わらないことも明示。主にフランス、ドイツ、米国の例を挙げながら、特に経済性に焦点を当てると、スマートグリッドを伴った再生可能エネルギーへの役割交代が明白です。
喧伝される「原子力ルネッサンス」の終わりを告げるかのように、印象的だったのが、紹介されたワシントンポストの記事。米国の大手電力、コンステレーション・エナジーが、米国で30年ぶりだった原発の新規建設を凍結した、というもの。ブッシュ前政権に続いて、原発推進のはずの米国政府が、電力会社に与える債務保証の条件が合わないという理由。つまり、高いリスクの原発に対しては、債務保証にも高いコストがかかる──債務保証を受けるのに、政府から求められた8億8000万ドルは、電力会社の負担できる額ではなかったのです。
対するに、いまだに『官民一体になって』原発輸出を目指している日本へのシュナイダーさんの評価は、「日本の納税者は、信じ難いほど寛容」というものでした。高リスクの原発へ債務保証を税金でまかなっている日本の経済観念はどこに?
詳しい発表資料などはこちらに掲載しています。

以下は、事前の紹介文です


ヨーロッパのエネルギー問題専門家:マイケル・シュナイダー報告会

フランスとドイツのエネルギー政策の分析から学ぶこと
自然エネルギーと原子力 — 両立は可能か?

日時:2010年10月13日(水)12:00〜13:30

場所:参議院議員会館 102号会議室(同時通訳つき)

フランスとドイツのエネルギ政策を産業、環境、システム面から分析します。現在、原子力の将来、自然エネルギーの普及率向上など、エネルギー政策の基本的な方向性がヨーロッパで議論されています。大規模集中型または分散型システムのどちらを優先するかが問われています。スマート・グリッドが持つ可能性は大きく、ドイツの市民電力供給への投資が進む中、大手電力会社は過去維持してきた立場を保つため苦戦しています。
このような最新情報を元に、仏サルコジ政権と米オバマ政権などが求める「自然エネルギーと原子力を両方促進する」政策ははたして可能なのかを分析します。
この機会に是非、エネルギー政策に関心の高い市民のみなさんの参加をお願いします。

マイケル・シュナイダー Mycle Schneider
1983 年、WISE-Paris(エネルギー情報調査室)を設立。2003年まで代表。現在、Mycle Schneider Consulting (エネルギーと原子力政策に関する独立コンサルタント機関)の代表を務める。ドイツ連邦環境・自然保護・原子炉安全省の委託研究、「世界の原子?産業現状報告–経済性問題に焦点」を担当(2009年8月)。1997年以来、フランス及びドイツの環境省、ベルギーのエネルギー大臣、IAEA(国際原子力機関)、グリーンピース、核戦争防止国際医師会議、WWF、EC委員会、ヨーロッパ議会の科学技術選択査定パネル、フランスの放射線防護及び原子力安全性研究所等の依頼によって、原子力とエネルギー問題に関する研究・調査報告を提出している。1997年、高木仁三郎氏と共に、「もうひとつのノーベル賞」といわれるライト・ライブリフッド賞(Right Livelihood Award)(スウェーデン)を受賞。

共催:
グリーン・アクション
〒606-8203 京都市左京区田中関田町22-75-103
Tel: 075-701-7223  Fax: 075-702-1952
原子力資料情報室
〒162-0065 東京都新宿区住吉町8-5曙橋コーポ2階B
Tel: 03-3357-3800  Fax: 03-3357-3801
原水爆禁止日本国民会議
〒101-0062 東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館1F
Tel: 03-5289-8224 Fax: 03-5289-8223

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