憲法審査会レポート、2024年
2024年05月17日
憲法審査会レポート No.38
2024年5月15日(水) 第213回国会(常会)
第3回 参議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.webtv.sangiin.go.jp/webtv/detail.php?sid=7953
【会議録】
※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)
【マスコミ報道から】
参院憲法審査会 憲法が規定する「緊急集会」めぐり各党が意見
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240515/k10014450171000.html
“参議院憲法審査会が開かれ、大規模災害などの緊急事態の際に憲法が開催を規定している参議院の緊急集会をめぐり各党が意見を述べました。”
緊急集会、自民意見集約求める 立民、BCP策定を提案―参院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051501020&g=pol
“参院憲法審査会は15日、憲法が定める参院の「緊急集会」をテーマに討議を行った。自民党は、これまでの各会派による議論を踏まえ、速やかな意見集約を要請。立憲民主党は、緊急集会開催に必要な、いわゆる業務継続計画(BCP)策定に向けた議論を提案した。”
緊急時の議員任期、自公の主張割れる 参院憲法審
https://digital.asahi.com/articles/DA3S15934792.html
“大規模災害などの緊急時に国会機能を維持するには、緊急集会で十分なのか、それとも、憲法改正による衆院議員の任期延長が必要なのか。各党の主張は割れた。”
「衆参で温度差」 参院自民が憲法審で論点整理提案
https://www.sankei.com/article/20240515-EYN5SU7MPZNUTP22G7EAZYWCMI/
“参院憲法審の与党筆頭幹事の佐藤正久氏(自民)は「衆参の憲法審ではかなり温度差がある。まずは参院の緊急集会の方が充実すべき論点があるとの方向が大方の意見だ」と記者団に説明した。”
【傍聴者の感想】
きょうの参議院憲法審査会では、憲法54条に規定された「参議院緊急集会」に関する意見交換が行われました。
はじめに参議院法制局長と憲法審査会事務局長から「緊急集会」の趣旨や憲法制定の審議過程での説明内容、現行法制で定められた位置づけ、実際に行われた例とその流れなどについて説明があり、その後各委員から意見表明や法制局長や事務局長への質問が行われました。
災害時などの緊急事態対応として「緊急集会」は不十分などとして(改憲のための)議論を前に進めることを求める自民党の委員に対し、「緊急集会」を相当程度整備された制度として認め、選挙困難事態の「任期延長」には否定的な公明党の委員の間に、かなりの温度差を感じました。また、衆議院の任期満了時に「緊急集会」を開催できるか否かについても意見が分かれていました。
与党内の温度差に加え、「衆参の温度差」(佐藤正久・参院憲法審与党筆頭幹事の言)も否定できないのが現実です。これで条文案の起草作業を始めようなどというのは、おかしな話です。
「沖縄の風」の高良鉄美委員が「5月15日」に言及していましたが、平和憲法の下に復帰したはずの沖縄の厳しい現状に対して、改憲のためにする議論に終始する改憲会派の委員は、すこしでも思いを致すことがあるのでしょうか。
2024年5月16日(木) 第213回国会(常会)
第6回 衆議院憲法審査会
【アーカイブ動画】
https://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=55235
※「はじめから再生」をクリックしてください
【会議録】
※公開され次第追加します(おおむね2週間後になります)
【マスコミ報道から】
大規模災害など緊急事態での国会機能維持めぐり 各党が意見
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240516/k10014451171000.html
“衆議院憲法審査会が開かれ、大規模災害など緊急事態での国会機能の維持をめぐり、自民党が条文案のもとになる要綱を作成し議論することを提案したのに対し、立憲民主党は、今の憲法で対応するための方策を検討すべきだと主張しました。”
自民、憲法審で要綱案提示を主張 緊急事態時の議員任期延長を巡り
https://nordot.app/1163677812086784537
“衆院憲法審査会が16日開かれ、自民党の船田元氏は緊急事態時の国会議員の任期延長を巡り、憲法改正の条文要綱案を提示して議論を進めるよう主張した。公明党と日本維新の会も賛同した。”
自民、条文起草作業呼び掛け 議員任期延長、立民は慎重―衆院憲法審
https://www.jiji.com/jc/article?k=2024051600552&g=pol
“立憲民主党の逢坂誠二代表代行は「丁寧な協議」を求めて慎重姿勢を崩さなかった。”
大規模災害時の議員任期延長、改憲巡り溝埋まらず 「立民排除論」も 衆院審査会
https://www.sankei.com/article/20240516-E4XZASVYLVNXPETQ2AFWPMNDNM/
“かねて任期延長の必要性を提唱してきた公明党の北側一雄氏は、発災後に想定される復旧・復興に向けた議員立法や予算審議などを念頭に「被災地選出の議員がいない状況が長期間続くのは良いとはとても思えない」と強調した。”
【傍聴者の感想】
衆議院憲法審査会を半年ぶりくらいに傍聴しました。取材が全国紙、地方紙、通信社含め今までになく多く感じました。傍聴は40人くらい、昨年よりは少なく感じました。
今回も自由討議でしたが、総じて、自民党の委員は各分野で改憲を進めたいとしながらも、すでに議論が重ねられている緊急事態条項について早々に起草を始め、具体的な手続きを進めたいという考えを強調していました。
一つの事例ができればあとは容易に続いて進められることは想像に難くありません。議論されてきたことはいずれも現在の憲法の解釈によって対応が可能ということはこれまでの議論からも明らかです。憲法改正という手段を目的とするのではなく、共通の目的であるはずの社会をよくすることをめざして議論を交わし深めてほしいです。
公明党・北側委員は大規模災害などで被災地の議員が不在となることはよくないと述べつつ、1年を上限とする議員任期延長の必要性を主張していました。少なからず近年の被災地に親しい方々が多くいる身としては、気にかかります。
国民民主党・玉木委員が「首相が憲法改正を論じるのは憲法99条の憲法擁護義務違反か否か」の法制局の見解を問い、法制局長が2017年の審査会で参考人の2人の教授が反しないと述べたと回答し、それを受けて玉木委員が憲法擁護義務違反ではないと断じたことです。それだけを根拠に憲法違反でないとすることは、まったく軽率と感じます。