声明・申し入れ、2010年、東北アジア平和キャンペーン

2010年02月27日

東京大空襲65周年朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウム「アピール」「特別決議」

ア ピ ー ル

 「日韓強制併合」100年にあたる2010年、本日私たちは江東区文化センターで朝鮮半島からの友人とともに東京大空襲65周年朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウムを開催しました。。

 東京大空襲では1万人以上と推定される朝鮮人が犠牲となりました。国に謝罪と賠償を求めた「東京大空襲訴訟団」は、第1審判決(‘09.12.24)を承服せず東京高裁に控訴しました。東京大空襲問題は勝れて今日的な問題です。。

 1995年8月15日日本政府は「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」(村山談話)としました。
 しかし、日本の国権の最高機関である国会での決議は上げておらず、追及されると政府は村山見解を繰り返すだけで、一貫して日本政府は歴史の総括に及び腰です。
 したがって、これまで以上の「真実」究明は、心ある民間の人々によって行われてきました。例えば、私たちの提起から始まった06年の行政の「連行調査」も不十分で、東京都は東京都慰霊堂に「遺骨」が存在するにもかかわらず「なし」と報告していました。「なし」とした理由の大きなものは、犯罪的に行われた「創氏改名」による日本名強制で本名が失われていることへの思いが及ばず、意識の中で「朝鮮人」の存在を消し去っていたことではないでしょうか。今でも日本の行政には担当部署すらなく、私たちの作業そして指摘しか真実を明らかにできない現状です。
 押しつけられた日本名を本名に戻し、確かに存在した人たちの遺骨を故郷や家族に礼を尽くして奉還すること、これも私たちに課せられた重要な任務です。。

 朝鮮半島から遠く、故郷から離れ家族との絆を断たれ東京に連行された人々のほとんどは、65年前の東京大空襲によって、まさにこの場所-東京下町で犠牲になりました。この場所の「空間の記憶」の中にそれらの人たちは今も存在しています。
 それらの人たちの痛烈な願いは、自らの存在の事実証明、意図的に消され続けている自己への認識、歴史への復権です。現在に生きる私たちが求められているのは、同じ歴史上に存在し、笑いそして悲しんだ人間がいたとの諷織です。65年も経った今もそれがなされない人々の怒りすら聞こえます。

 本日の国際シンポジウムで明らかになったように、こうした人々の思いを実現するには、日本列島に住む者と朝鮮半島に住む者との固い連帯と認識の統一が欠かせません。私たちは、遅ればせながら本日その一歩を踏みだしたものと確信しています。
 また、日本政府および強制連行を利用した企業は、未だ責任を明らかにせず、その償いを行っていません。依然として事実の解明と責任追及、謝罪、補償は解決されていない大きな課題です。
 本日を契機にして、私たちはより多くの人々と連帯し、課題解決のために邁進しましょう。現在に生きる者の責務として連帯の輪をいっそう広げましょう。

東京大空襲65周年朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウム

 

すべての高校生に高校授業料実質無償化制度適用を求める要請書

内閣総理大臣 鳩山由紀夫 様

  すべての高校生に高校授業料実質無償化制度適用を求める要請書

 厳しい状況で職務専念の様子に敬意を表します。
 さて、2010年2月21日以降の報道によると、高校授業料実質無償化制度の対象から朝鮮「高校」に通う子どもたちを外す動きが政府内で起こっているとのことです。
 私たちはこれらの報道に、大きな驚きと強い憤りを感じています。
 朝鮮半島が植民地統治を受けていた時代、皇国臣民化を図る当時の日本政府によって民族教育を許されなかった在日朝鮮人らは1945年植民地支配から解放されるやいなや、失いかけた自民族の言葉や文化を継承させようと日本各地に朝鮮学校を設立しました。
 奪われた民族性を取り戻す在日朝鮮人らの営為に対し、日本政府は当然それを保障すべき立場にあります。それは、植民地支配の清算は謝罪や賠償(補償)などとともに原状回復義務が挙げられるからです。
 しかし日本政府は、朝鮮学校は日本社会において「積極的意義を有さない」(1965.12.28文部事務次官通達)として教育施設として一切の地位を与えようとしない態度をとるなど、戦前の同化政策の発想から抜け出せないままの対応を、長きにわたり取り続けてきました。
 そんな中でも、日本社会における朝鮮学校への理解は、徐々に広がりを見せることになり、高校体育連盟(高体連)主催のスポーツ大会の全国大会参加の道が開かれ、また、ほとんどの大学においてその朝鮮学校高級部卒業生の受験を認められるに至るなど、多くの分野で「学校」としての扱いを受けることとなっています。
 また、朝鮮学校に学ぶ子どもたちの国籍は、韓国、共和国、日本など多様です。
 歴史的政権交代により民主党中心の新政権が発足、「何人も」学ぶ権利があるという国際人権規約に掲げる精神に則り、高校無償化施策を講ずるという鳩山首相の所信表明、そこには朝鮮学校を含めて外国人学校も含めるとするその方針に、多くの朝鮮学校関係者らが喜び、期待に胸をふくらませました。
 ところが、法案が国会に上程されたこの時期にきて、その方針を翻す動きと首相がそれに理解を示したという報道がされています。これに対し、私たちは不安、そして不信感を募らせています。
 子どもの学ぶ権利は神聖不可侵であり、民族教育は国際人権規約や子どもの権利条約また人種差別撤廃条約で保障された権利です。国家間の政治的思惑などでその権利が左右されるようなことは言語道断であり、そのことは憎悪の連鎖をまき起こす行為であり、鳩山首相が唱える友愛精神を自ら踏みにじる行為に他なりません。
 私たちは鳩山新政権が政権発足当初の方針通り、朝鮮「高校」に通う子どもたちを含むすべての外国人「高校」の子どもたちに高校授業料実質無償化制度を適用することを強く求めます。

東京大空襲65周年朝鮮人犠牲者追悼国際シンポジウム参加者一同

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