声明・申し入れ、2009年、東北アジア平和キャンペーン
2009年12月01日
日朝国交正常化に向けた私たちの提案
外務大臣 岡田克也 様
東北アジアに非核・平和の確立を!
日朝国交正常化を求める連絡会
共同代表 石坂浩一・清水澄子・福山真劫・
曺美樹・伊藤晃二・三原誠介・中村元気
日本の新政権に対して内外から、友愛と平和を具体化する新しい政策を実行することが期待されています。これは拉致問題解決のためにも、非核と平和のためにも、必要かつ重要なことです。特に来る2010年は朝鮮半島を植民地化した「韓国併合」から100年目にあたり、日朝関係にとってきわめて重要な年です。鳩山首相は国連総会の演説で、日朝平壌宣言に基づいて、諸懸案を解決し、日朝国交正常化をめざすとの決意を表明されました。私たちはその表明を支持します。
朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)との国交正常化交渉が始まってから18年、小泉訪朝、日朝平壌宣言からも7年の歳月がすぎています。隣国との国交正常化交渉が今に至るまでまったく前進しないということ、異常なことといわざるをえません。
安倍政権が拉致問題が日本にとっての最重要課題であると表明し、圧力を加えて北朝鮮を屈服させようとする政策をとったため話し合いの道もかえって閉ざされてしまったのです。貿易も船舶の往来もストップし、国家間接触が断絶した状態に立ち至っています。
しかし米国はクリントン元大統領の訪朝以後、北朝鮮を6者協議に復帰させるため北朝鮮との対話の道をさぐってきました。いよいよ実現するところに来ようとしています。韓国も玄貞恩現代グループ会長の訪朝以来、北朝鮮との交渉を再開しています。北朝鮮にこれ以上の核実験や核兵器生産を行なわないようにするためにも、日本も進んで北朝鮮との交渉を開始し、東北アジアの平和の枠組作りに貢献することが必要です。再開される六者協議のなかで十分な役割を果たすためにも、このことが望まれます。
私たちはこのような状況を踏まえ、鳩山政権に対し朝鮮政策の新たな決断を求めるものです。
- 拉致問題の解決を国交正常化の前提条件とする自民党内閣の原則を転換し、「日朝国交正常化の過程で拉致問題の解決をはかる」という日朝平壌宣言の原則に立ち返ることが必要です。
- 対話再開の糸口として、昨年6月の日朝実務者協議において合意した、日本人拉致問題の再調査と制裁の一部解除の同時実施という立場に戻り、それを実行に移すことが必要です。
- 東北アジアにおける核問題解決のため、北朝鮮の核廃棄に向けて日本が役割を果たすとともに、6者協議を再開させ非核と平和共存の枠組み作り、東北アジア非核地帯化をめざすべきです。
- 日朝平壌宣言に立脚し、日朝国交正常化交渉を再開することが必要です。その主題は国交樹立のための日朝基本条約に関して交渉することです。「併合」100年という機会を逃さず、植民地支配に対する謝罪と反省の立場を政府があらためて宣言などの形で明らかにし、姿勢を示すことは、南北朝鮮に対する信頼を構築する基礎となるはずです。
- 北朝鮮にいる広島・長崎の被爆者に対しては、国交正常化以前であっても支援措置が十分可能です。これを具体的に検討し実行することを求めます。
- 日朝交渉の進展と合わせて、食糧事情の改善が進まないと伝えられる北朝鮮への人道支援を再開すべきです。また、民間の支援事業を制約することのないよう配慮し、むしろ北朝鮮との交流を拡大することで懸案解決の糸口のヒントとすべきではないでしょうか。
- 在日朝鮮人に対する「法令厳密適用」という名のハラスメントを中止し、植民地支配によって日本に在住することになった人びととその子孫に対するしかるべき人権を保障すべきです。そのために、国際的人権に関わる諸条約、規約にのっとり、民族教育への支援などを具体的に検討すべきです。
以上のような私たちの提案を参考に、積極的な北朝鮮政策を進めていくことを強く要請します。