声明・申し入れ、2009年

2009年09月15日

狭山事件の再審を求める市民集会アピール

狭山事件の再審を求める市民集会参加者一同

 この間、冤罪(えんざい)があいつぎ日本の司法を大きく揺るがしました。さる6月4日、足利事件で再審を請求していた菅家利和さんの無実がDNA鑑定によって判明し釈放されました。弁護団が求めていたDNA鑑定のやり直しで、犯人と菅家さんのDNA型が一致しないことがわかったのです。警察の間違った鑑定を裁判所が十分調べず、弁護側の訴えに耳をかたむけなかったために、誤った有罪判決・棄却決定によって、菅家さんは17年半も無実の獄に閉じ込められたのです。
 2年前には鹿児島・志布志で、選挙違反で起訴された市民13人が全員無罪となり、警察の人権を無視した違法な取り調べが明るみに出ました。富山・氷見事件では、真犯人が判明し、2年あまりも服役させられた柳原浩さんの無実が明らかとなりました。ウソの自白が強要され、公正な証拠調べと証拠開示がおこなわれないまま、誤った有罪判決が出されていました。これら冤罪の作られ方は狭山事件と同じです。志布志事件ででっちあげに巻き込まれた人たちや柳原さんは、冤罪の原因と責任を明らかにしたいと国家賠償請求の裁判を闘っています。
 そのような中で政権交代が実現しました。いまこそ、「冤罪をなくせ」の声を大きくし、志布志、氷見、足利の教訓や国連の勧告をふまえて、冤罪を生まないための司法改革、取調べの全過程の録画・録音と弁護側への全面証拠開示を実現する運動を強めなければなりません。
 再審・冤罪・国賠を闘う連帯の輪を広げ、新政権のもとで、あらゆる冤罪・人権侵害をなくすための司法改革、司法民主化をめざそう! 取り調べの全面可視化、再審・国賠もふくめた弁護側への証拠開示の保障を一日も早く実現しよう!
 イギリスやカナダなどのように、冤罪・誤判原因究明の委員会を設置し、冤罪をなくすための施策をすすめるよう政府にはたらきかけていこう!
 足利事件では、東京高裁がDNA再鑑定をおこなって、菅家さんの無実が判明しました。誤判から無実の人を救済するという再審の理念にたてば、事実調べと証拠開示は不可欠なのです。狭山事件でも、東京高裁は、証拠開示を保障し、一日も早く鑑定人尋問などの事実調べをおこなうべきです。
 狭山事件の第3次再審請求で、弁護団は石川さんの無実を示す新証拠を数多く提出し、事実調べを求め、検察庁に隠された証拠の開示を求めてきました。わたしたちは全国で100万人署名運動をすすめ、事実調べと証拠開示を訴えてきました。
 そして、さる9月10日、狭山事件の再審ではじめて三者協議がおこなわれたのです。
 証拠開示と事実調べの実現にむけて、狭山第3次再審は今後重要な局面を迎えます。さらに、公正・公平な裁判を求める世論を大きくしていかなければなりません。
 わたしたちは、東京高裁の門野博・裁判長が、100万筆を超える署名に示された市民の声を受けとめ、この間の冤罪の教訓もふまえて、証拠開示の勧告と鑑定人尋問などの事実調べをおこない、狭山事件の再審を開始するよう求めます。

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