声明・申し入れ、2009年
2009年08月09日
被爆64周年原水爆禁止世界大会・大会宣言
被爆64周年原水爆禁止世界大会
1945年8月6日午前8時15分、8月9日午前11時2分。原爆が投下されたヒロシマは14万人、ナガサキは7万人もの尊い命が原子雲の下で即死、あるいは数日後に失われました。それから64年、放射能による被害は、いまなお多くの被爆者に容赦なく苦痛を強い、二世・三世も健康に不安をかかえて生活しています。生きとし生けるものに未曾有の惨害をもたらした日を、人類はけっして忘れてはなりません。私たちは広島大会、長崎大会の討議を通じて次のことを確認しました。
世界は、いまだ2万2,000発とも言われる核兵器が存在し、核兵器保有国は米・ロ・英・仏・中の5ヵ国から、インドやパキスタン、イスラエルへと拡がり、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の核実験やイランの核開発疑惑など核拡散の動きが止まっていません。
一方で希望も拓きはじめました。本年4月、プラハ演説でオバマ米新大統領は、「核兵器を使用した唯一の国として行動する道義的責任がある」とし、「米国は核兵器のない世界をめざす」と決意表明しました。その後、米・ロ間の新たな核軍縮条約の枠組み合意やG8サミット首脳会議声明など、具体的方策に多くのハードルはあるものの、世界は確実に核廃絶へと歩み出しました。
被爆国日本は、核廃絶に大きな役割を果たす立場にあります。核兵器保有国の核大幅削減や包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効など、2010年NPT再検討会議を実りあるものとするため、平和市長会議の「2020ビジョン」の実現を求める「核兵器廃絶1000万署名」のとりくみを成功させましょう。
米国の核先制不使用は東北アジアの非核化に大きな意味を持ちます。日本政府は、米国の核の傘のもと、核の「先制使用」を容認し、非核三原則に反する核兵器持ち込み黙認の密約も明らかにされました。原子力空母横須賀母港化の強行や、沖縄をはじめ全国ですすめられる米軍再編とそれに連動したミサイル防衛(MD)などの軍事力を強化してきました。これは、北朝鮮の核実験やミサイル発射を招く要因の一つになっています。私たちは、北朝鮮に対する核開発の放棄と6ヵ国協議への復帰を求めるとともに、日本政府に対して平和的対話への転換を強く求めます。非核三原則の法制化と東北アジア非核地帯確立に向けてとりくみを強化しましょう。
ヒバクシャをめぐる課題は、いまも、原爆症認定、在外被爆者、被爆二世・三世、被爆体験者など残されたままです。被爆者が高齢化するなかで根本的な解決は急務です。原爆症認定では、政府の基準で救済されない被爆者が司法の場で19回の勝利を重ねました。8月6日、ようやく政府は被爆者団体と集団訴訟原告の救済を合意しました。しかし、未だに認定を待つ8,000人をはじめ、支援を求める多くの被爆者が残されており、全面的解決へむけて早期に政治的決断をすべきです。手帳さえ持たない在韓被爆者は多数存在し、国交のない在朝被爆者はまったく放置されたままです。被爆二世・三世や被爆体験者については、支援の充実とあわせて、被爆者援護法の対象とすること、日本の戦争責任と戦後補償の問題として国家補償を明記する改正を求めましょう。
2007年7月、柏崎・刈羽原子力発電所を襲った中越沖地震は、日本における原子力防災の困難性を明らかにしました。世界は再生可能なエネルギーに向かっているなかで、日本は、未だに原子力依存政策を積極的に推進し、原発の新設や、再処理・もんじゅ・プルサーマルなどのプルトニウム利用政策を継続しています。核拡散につながり、きわめて危険性の高いプルトニウム利用政策は絶対に中止すべきです。「エネルギー政策の転換を求める10・3全国集会(NO NUKES FESTA 2009)」に全国の仲間を結集しましょう。
麻生自公連立政権は、米ブッシュ政権への追随と、自ら推進してきた新自由主義・新保守主義の矛盾のなかでその終えんを迎えようとしています。私たちがめざすものは競争社会ではなく協力社会であり、憲法にもとづいた平和と共生の世界です。政権交代による新しい時代の幕が開こうとしています。8月30日総選挙における野党の勝利をめざして全力でがんばりましょう。
私たちは、核被害を根絶するため、世界のヒバクシャと連帯し「核と人類は共存できない」ことを明らかにするとともに、暴力と殺りくが繰り返される世界を変え、対話と共存を基本にした「核も戦争もない21世紀」を実現し、子どもたちに贈るとりくみを全力ですすめます。被爆64周年の大会に参加した私たちの総意として、あらためて内外に宣言します。
ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・チェルノブイリ、ノーモア・ウォー!