ニュースペーパー
2021年04月01日
日本の空にオスプレイはいらない!日本の空にオスプレイはいらない!
木更津暫定配備の現状と定期機体整備のゆくえ
護憲・原水禁君津、木更津地区実行委員会 原田 義康
2020年7月10日、陸上自衛隊のオスプレイV-22 1号機(機体番号1705)が陸上自衛隊木更津駐屯地(以下木更津基地という)に降り立った。そして16日には2機目(機体番号1701)もやって来た。これは2019年12月に渡辺芳邦木更津市長が5年間という期限を条件に配備に協力することを表明したためだ。その後4ヶ月が経過した11月、両機は基地内ホバリングと基地外への飛行を試みた。しかし1号機は基地外への飛行を行なおうとした際、油圧系統の警告ランプが点灯し、飛行を断念した。防衛省はこの警告ランプ点灯は軽微な「推奨」レベルのものだという。しかしなぜかさらに4ヶ月経過した現在も飛行していない。オスプレイと飛行訓練に反対する東日本連絡会(湯浅一郎代表)の防衛省への質問の回答では、定期点検中だという。
住宅密集地上空を飛行する陸自オスプレイ
そして2021年2月に陸自オスプレイの5機が岩国に陸揚げされ、2月24日に3機目(機体番号1704)が木更津基地に飛んできた。このときは晴天にもかかわらず、悪天候時に使用する君津市街地上空から君津市と木更津市境に広がる1万戸あまりの住宅密集地上空を経て基地に着陸する「計器飛行ルート」を飛んできた。さらにこの住宅密集地上空で固定翼から回転翼への飛行モードの転換を行なったと思われる。先の防衛省交渉でもこのことを質したが「パイロットの判断によるもので一概には言えない」という無責任な答えが返ってきた。2021年3月の木更津市議会本会議の一般質問でも田中紀子市議(きさらづ市民ネット)がこの問題を取り上げたが、市当局の回答は「防衛省に確認する」にとどまっている。今後陸自オスプレイがさらに14機木更津基地にやってくるわけで、厳しく監視していかなければならない。
「丁寧な説明」とは裏腹 防衛省の秘密主義
一方、2017年2月に始まった普天間基地の海兵隊オスプレイMV-22の定期機体整備は、当初の5年に一回程度、1機あたり4~5ヶ月で整備し、年5~10機整備するという説明から大きくかけ離れ、4年経過した現在でも3機しか終わっていない。そのため普天間基地のMV-22は配備から7~8年経過しているが、多くが定期整備できていないことになる。このことを防衛省に問うと、「必ずしも5年で整備するものではなく、飛行時間によって行なっている」という新たな答えが返ってきた。それでは整備する基準となる飛行時間は何時間かと質すと「答えられない」という。
また2020年5月に米軍が新たな定期機体整備企業の募集を行なうことが発表された。普天間から1000マイル以内の基地を対象にし、一度に7機整備し、2023年には米海軍オスプレイCMV-22の整備も行なう予定だという。防衛省は引き続き木更津基地で国内企業が行えるよう積極的に動き、木更津基地に新たに格納庫を2棟新設する計画も立てられた。7月には米軍による国際入札が行なわれ、秋には公表すると言っていたにもかかわらず、今日に至っても公表されていない。そのためSUBARUによる定期機体整備は2020年12月までとなっていたが、2021年の6月末まで延長された。
このようにオスプレイを巡る状況は、防衛省の秘密主義が一層顕著になっている。この3月からは陸自オスプレイの教育訓練等も開始されるとのことだが、防衛省は昨年全国から寄せられた34万筆ものオスプレイ暫定配備反対の署名の重みをどう受け止めているのか。そして市民、県民の暮らしと安全を守るべき自治体の対応も、森田県政ではオスプレイについても「他人事」の対応が目立ち、木更津市は防衛省交付金の増額が目的化し、オスプレイに対する対応も前のめりの感が否めない。これら自治体にもしっかりとした対応を求めていかなければならない。そのためにも私たちは「日本の空にオスプレイはいらない」という声と運動を一層強めていく必要がある。(はらだ よしやす)