2020年、基地問題コーナー
2020年12月17日
「馬毛島基地問題」に揺れる西之表市
防衛省は、馬毛島への軍事施設建設のための海上ボーリング調査に必要な許可申請書を11月9日、塩田鹿児島県知事に提出しました。
申請には、八板西之表市長の反対意見書と西之表漁協組合の賛成意見書が付帯されましたが、塩田知事は、11月27日に「法令に従い精査したところ、申請書に問題がなかった」として許可することを、県議会で報告しました。しかし、防衛省は法律に従っていません。県は、元の所有者タストンエァポート社が行った森林伐採の違法性を知りながら現地調査を行ってこなかった行政の責任には一切触れずに許可したのです。 また、種子島漁協の投票で組合員175人のうち反対13人と棄権した40人が実際に馬毛島近海で漁をしていて、残り122人は基地ができても全く影響を受けない組合員だということが分かりました。
種子島の高速船トッピーが着岸する西之表港の対岸奥では、大型クレーンを装備した自走式大型台船上で調査に必要な機材の積み込みが行われ、その横で調査船(スパット台船・写真中央)の1号機の、更に反対側の新港では、2号機の組み立てが行われ準備が着々と進んでいます。12月10日の夕方、中種町に近い立山公民館で行われた八板西之表市長との意見交換会では、参加者30人から「基地建設が観光に与える影響は」「防衛省の説明では、肝心な所が抜けている」「税金が安くなるとか、交付金が市民全員に配られるとか、様々な情報が飛び交い何を信じていいかわからない」などの意見がでました。その中で、埼玉から移住してきた方から「移住者は、基地がないからこの種子島に移ってきた。基地ができればネットで繋がっている「移住を希望している全国の人たちの相談にのれない。基地が出来れば、移転を考えますよ。移住者全員の意見を聞く場を作るべきです」と、市長に訴えました。ここにきて移住者が反対の声を上げ、集会に参加しはじめたことは大変意義があります。また、実際に馬毛島で漁をしている漁師との意見交換では、11日に防衛省に「調査差し止めを求める」仮処分を東京地裁に申請、18日には塩田知事を相手に同様の行政訴訟を鹿児島地裁に起こし、憲法で保障されている漁業権を争点に、特に知事に対しては、種子島漁協の理事会の手続きに不備があることを、訴えていくとしています。
反対派は11日の午後から、機材搬入作業が続く西之表港近くで、市民60人参加して抗議集会を行いました。馬毛島の問題は、鹿児島県のみならず全国の問題です。基地による海洋汚染が進めば、黒潮で恩恵を受けている漁協関係者に影響が及ぶからです。全国の皆さん、馬毛島の米軍施設建設に反対してください。(写真は12月9日・西之表港での機材搬入)
馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会が、