ニュースペーパー
2020年11月01日
木更津基地がオスプレイの一大拠点に
護憲・原水禁君津、木更津地区実行委員会 原田 義康
多くの反対の声を無視し「暫定配備」強行
本年7月10日、150名あまりが反対の声を上げる中、陸上自衛隊が導入したオスプレイの第1号機が陸上自衛隊木更津駐屯地に着陸した。2号機は16日に飛来。当初1号機は6日に飛来してくるとしていたが、悪天候でこの日となった。2号機も当初の10日が16日に変更された。風に弱いといわれるオスプレイを象徴するような初飛来となった。
そもそも防衛省は陸自オスプレイについては、佐賀空港への配備を予定していたが、有明海漁協等との話し合いが膠着状態になっていた。そこへ昨年12月25日、それまで「定期整備もままならないのに、配備など話しにならない」と言っていた渡辺芳邦木更津市長が防衛省に赴き、佐賀空港建設に5年を要したというだけの、全く根拠のない暫定配備期間を5年以内とするなどの条件を提示し、河野太郎前防衛大臣が「努力する」と答えたことで、一転配備への協力表明行うという助け船を出した。その前段の12月、木更津市議会では、5年以内の配備を求める意見書を防衛大臣に提出した。市議会でオスプレイに反対する議員は24名中4名のみで、多くの議員は暫定配備を早く受け入れ、特定防衛施設周辺整備調整交付金等を増額させようという、市民の暮らしの安全よりも金や物を取ることを優先する、あさましい思惑がある。
こうした動きを察知した地元でオスプレイ反対を訴える、「オスプレイ来るないらない住民の会」は他団体と共催で昨年12月1日に2000名あまりが結集し「オスプレイ暫定配備反対県民大集会」を開催した。また年開け以降4月からは首相、防衛大臣宛と木更津市長宛の署名運動を開始。首相、防衛大臣宛の署名は平和フォーラムの協力要請もあり、全国の労組、平和運動センターから32万筆を超える署名が短期間に集まった。住民の会では6月5日に1万筆、7月9日には24万筆の署名を携え、配備反対を求めて防衛省交渉を行った。しかし、防衛省は「オスプレイはCH-47と比べても速度は2倍、航続距離で3倍ある優れた飛行機だ。配備を見直すつもりはない」と言ってのけた。また木更津市も1万筆余りの署名を提出して行われた住民の会との交渉で「協力をやめるつもりはない」と臆面もなく答えた。コロナ禍で国民の多くが雇用、生活を脅かされ、あらゆる行動の自粛を求められている中、既定路線を強行する防衛省の姿勢は、沖縄の辺野古新基地建設に端的に示されているように、民意など一顧だにしない政府の姿勢、そしてそれに追随する自治体の対応に、憤りさえ覚える。
オスプレイの定期機体整備に新たな展開
一方、2017年2月から木更津駐屯地で始まった普天間基地オスプレイの定期整備は、当初の「1機あたりの整備期間は3、4か月」という説明に対し、1機目は25か月、2機目は19か月かかって終了した。現在2機が整備をしているが、整備が始まって3年8か月も経過しているにもかかわらず、未だ2機しか整備が終わっていないという状況にある。そこに本年5月に米軍から新たな整備計画が発表された。それは現在のSUBARUによる定期整備は2020年度までで、その後に整備する企業を本年7月に改めて公募する。公募の条件は普天間から1000マイル以内の基地で、一度に10機整備できるようにする。1機当たりの整備期間は1年4か月とし、2023年からは米空軍オスプレイCMV-22の整備も行うというものだ。これらは千葉県や木更津市には事前説明すらなかった。
11月以降陸自オスプレイの教育訓練が開始され、その後17機が配備されると、房総半島全域はもちろん、関東全域、日本全土で陸自オスプレイが飛び回ることが想定される。そこに米海兵隊、米海軍のオスプレイの定期整備が行われるとなれば、木更津基地が日米オスプレイの一大拠点と化してしまう。加えて、「5年の暫定配備」など防衛省にとって何ら拘束力はなく、安全保障環境が変わったなどと理由をつけて、恒久配備へとつなげていく懸念は大きい。
なぜオスプレイはこれほど嫌われるのか。それは紛れもなく安全性に欠く類いまれな構造的欠陥機であるからだ。県内でも木更津市以外の木更津基地周辺3市長を始め、飛行が予想される習志野駐屯地周辺の3市長が連名で、防衛省に説明や情報提供を求める要望書を提出している。私たちは、日米の軍事一体化を許さないとともに、何よりも人々の暮らしと安全を守るために、オスプレイの整備拠点廃止、陸上自衛隊オスプレイ導入中止に向けて、全国のオスプレイ反対、反基地の取り組みに学び、連帯して、一層取り組みを強めていかなければならない。(はらだ よしやす)