2020年、トップランク、沖縄コーナー
2020年06月26日
国を忖度する係争委に抗議 団体署名2528筆を提出
総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」(富越和厚元東京高裁長官)は6月19日、辺野古新基地建設にともなうサンゴの移植を巡って、沖縄県が申し立てていた審査請求を退ける判断を下しました。
大浦湾側のサンゴを移植するために江藤拓農林水産大臣が沖縄県に対して、サンゴの特別採捕の許可をせよという「是正の指示」を出したことに、沖縄県が国による違法な関与だとして係争委に申したてしていたものです。沖縄県は、移植によりサンゴが死滅すれば、元にもどすことができないため、必要性を厳格に判断しなければならない、4万群体のサンゴの移植には慎重な判断が必要、大浦湾の軟弱地盤の存在で、国が設計概要の変更を申請しており、事業の継続性が不透明などとする意見を述べていましたが、係争委はなんら考慮することなく、国の主張を一方的に認めたものとなりました。
そもそも国と地方自治体は対等平等の関係にあります。国の関与つまり国の権限行使にあたっても、その権限は法律で定義されています。そして権力的な関与も制限されるべきであるとされています。サンゴの採取を許可するしないは、沖縄県の「自治事務」であり、農林水産大臣の「是正の指示」という権力的な関与はできないということです。係争委の今回の判断は、法定受託事務の安易な拡大を抑制しようとした地方分権改革、地方自治の精神が崩壊することにもつながります。
また、辺野古新基地建設をめぐって沖縄県と国とで争われた「関与取消訴訟」では2020年3月26日、最高裁が忖度判決を出しました。ここでは沖縄防衛局は「私人」であるとみなされました。ところが今回のサンゴの採捕に関わっては、「私人」である沖縄防衛局が沖縄県にサンゴを移植するために採取することを申請したわけです。そして、国は「私人」の申請に関して、沖縄県に対して、「私人」=沖縄防衛局の申請を許可しろと口を出してきたわけです。法治主義が根底から崩壊していると言わざるを得ません。
6月26日、係争委の判断に抗議する行動が総務省前で行われました。主催したのは、「止めよう!辺野古埋立て」国会包囲実行委員会。当初は係争処理委員会に対して「公正中立」の立場に立って審理を尽くすことを要請する行動でしたが、係争処理委員会の判断が早々に出てしまったため、急きょ抗議行動に切り替え行われたものです。
抗議行動では、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会を代表して、勝島一博平和フォーラム共同代表が連帯あいさつを行ったほか、沖縄・一坪反戦地主会関東ブロックの青木初子共同代表、安保破棄中央実行委員会、平和フォーラム藤本泰成共同代表らが、それぞれ係争委の判断と国の一方的な辺野古新基地建設に抗議しました。
なお、抗議行動に先立ち、全国から集めた団体署名2528筆(うち平和フォーラム集約分は2007筆)を、係争委への抗議と共に総務省の係争委担当部署に提出しました。