声明・申し入れ、2006年
2006年11月20日
「北朝鮮核問題を考える~東北アジアの平和をめぐって」集会アピール
シンポジウム参加者一同
10月9日、朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)は地下核実験を行った。ヒロシマ、ナガサキの体験をもつ私たちは、北朝鮮が行った核実験に大きな怒りを込めて抗議する。
しかし北朝鮮が行った核実験の責任を、米国もまた負わなくてはならない。アメリカ・ブッシュ政権は、クリントン政権が行った「米朝枠組み合意」を反故にし、強い軍事的圧力を加えた。こうした米国の対応が、北朝鮮を核実験へと動かしたといえる。
さらに核兵器の保有が戦争を抑止するという核保有国の論理が、北朝鮮をして核兵器保有へと決意させたともいえる。しかし「核抑止論」が幻想であることは、これまでの歴史が明らかにしている。
私たちは一刻も早い北朝鮮の核兵器計画の放棄を求める。近く再開される6カ国協議が継続され、05年9月19日の共同声明の内容にそって、具体的に論議が進展することを求める。米朝間では不信感が極度に高まっており、それをほぐすためにも米国、北朝鮮の協議を求める。日本政府がそのために積極的に発言することを求める。私たちは朝鮮半島の非核化を求める。安倍政権の下で語られる独自核武装論の無意味さを訴えなければならない。万一、朝鮮半島の核問題が現状のまま推移するなら、中東をはじめとして世界に核兵器が拡散する恐れがある。そのような世界を私たちは未来に残すことはできない。
被爆国である日本は、世界に対して核兵器被害の悲惨を訴え、核兵器廃絶社会へ向けた積極的な行動が可能である。とくに東北アジアの非核地帯化構想を共に考えるよう訴えていくことが可能であり、また必要である。
しかし日本は朝鮮半島に対する植民地支配や、アジアに対する加害を真摯に反省してこなかったため、東北アジア非核地帯化の必要性もまた全体で共有できなかった。
私たちは改めて戦後補償に真摯に対応するなかで、朝鮮半島非核化を求め、東北アジアの非核地帯化を実現していかなければならない。それはまた世界の核兵器廃絶への道である。
私たちは核兵器による被害はなにをもってもあがなえないことを確認しよう。ヒロシマ・ナガサキの被害者がいまもなお苦しみのなかにあるという事実が、それを示している。