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2017年12月05日
イージス・アショアの配備に関して防衛省に要請行動
政府が導入しようとしている陸上配備型イージスシステム(イージス・アショア)の候補地として、秋田市と山口県萩市があがっている問題で、平和フォーラムは5日、秋田県平和センターおよび山口県平和運動フォーラムの代表団とともに、内閣総理大臣と防衛大臣あてに要請書を手渡すとともに、防衛省と交渉を行った。
交渉の中で防衛省は、「新規アセット(イージス・アショア)の整備に着手することを8月末の概算要求で「事項要求」したところだが、配備計画そのものは決定していない」と繰り返し主張するにとどまった。候補地を検討していることも否定した形だが、仮に計画が進み候補地が決まることとなれば、「地元に丁寧に説明し、理解を求める」と述べた。交渉団の追及に対して、「地元の理解は必須」とも発言した。今後の配備計画の進展の中で、配備阻止のために候補地地元での闘いが重要となる。
また、計画の整備を2017年12月末までに行い、その後に候補地があがってくるとしたが、具体的な日程については明言を避けた。防衛省の言い分によれば、報道にあった候補地を名指しした閣議決定はないとみられるが、引き続き政府の動きをけん制するため、秋田、山口両県では、抗議行動や署名活動などの運動を展開することにしている。
イージス・アショアに配備するとみられる日米で共同開発中の迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の性能について防衛省は、「日本で行われた4回の発射実験中3回成功し、アメリカでは31回のうち25回成功しており、8割以上の成功率で信頼性は高い」と豪語している。いっぽうイージスシステムが発する強力な電磁波による周辺住民の健康への影響などについては、「運用にあたっては、総務省所管の電波防護指針に準ずる」と述べるにとどまり、既に米国製の陸上配備型イージスシステムを導入しているルーマニアの実態などについては答えを避けている。
その他運用にあたっての日米の連携や運用の基準などについて質問をしたが、防衛省は、新日米ガイドライン(2014年4月)にある「米国との情報共有」が進んだことを述べるに留まった。
また、北朝鮮が米国に向け弾道ミサイルを発射し、日本上空を通過する場合の日本の対応について、防衛省は、8月10日の衆議院安全保障委員会での小野寺五典防衛相の答弁を繰り返す内容であった。すなわち、米国のグアムが北朝鮮のミサイルに攻撃された場合、集団的自衛権が行使できる「存立危機事態」に相当するかどうかの問題で、「武力行使の三要件に合致すれば対応できる」として迎撃可能としたことだ。
イージス・アショアの配備は東アジアの緊張を増強させる効果しかもたらさない。今後も配備阻止に向けたとりくみの継続が必要だ。
要請書はこちら 内閣総理大臣あて(PDF) 防衛大臣あて(PDF)