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2014年10月21日
TPP交渉に反対し米価暴落対策を求め農民団体が行動
環太平洋経済連携協定(TPP)交渉は、オバマ米大統領が11月の大筋合意をめざしていることから、大きなヤマ場にさしかかっています。10月25日からオーストラリアのシドニーで閣僚会合が開かれ、さらに、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)に前後して、首脳会合が開かれることも予想されています。交渉の妥結を狙う安倍内閣は、すでに米国に対して農産物の大幅な譲歩案を示していると見られ、全面自由化の危険性があります。
一方、今年の生産者米価は大幅に下落しており、農家はコスト割れで経営が成り立たない状態です。さらに、民主党政権下で作られた米価に対する固定支払金が今年から半減し、さらに米価下落分を補う変動交付金も廃止されました。安倍政権による農業政策の改悪により、農家は大きな打撃を受けています。これは食料の安定・安全にも大きな影響を与えるものです。
このため、全日農や北海道農民連盟などで構成する「全国農民組織連絡会議」は、TPP交渉に反対するとともに、米価対策を求めて、10月21日に緊急行動を行いました。平和フォーラムも参加・協力して、全国から農民など80人が参加、集会や要請行動を行いました。
全日農の斎藤孝一会長や北海道農民連盟の山田富士雄委員長は「安倍内閣が農家の所得倍増を掲げながら、米価下落で農家所得が落ち込んでいる。規制改革会議などで現場を知らない者が農業施策を動かしている」と批判し、「地方創生を言うなら農業を重視すべきだ」と訴えました。
また、参加・協力団体として、平和フォーラムの原子秀夫副代表が「TPP交渉は秘密裡に行われており、内容が分からない。こうして中で合意を図ることに反対していく」と強調。日本消費者連盟の大野和興共同代表や、「TPPに反対する人々の運動」世話人の近藤康男さんも「TPPは農業だけでなく、グローバル化を進める巨大多国籍企業のためのものだ。国内外で連携して合意に反対していこう」と呼び掛けました。
これに対して、各党・議員からは、民主党ネクストキャビネット農林水産大臣の篠原孝衆議院議員や同農林水産副大臣の徳永エリ参議院議員、社会民主党の吉田忠智党首が出席し、国会内でも追求していく決意を表明しました。
これらを踏まえ、TPP交渉からの撤退や交渉内容の情報開示、米価問題では緊急の需給調整対策や生産費を補う直接支払いを求めることを確認。集会終了後、内閣府のTPP政府対策本部や農水省への要請行動を行いました。
しかし、TPP交渉については、守秘義務を楯に、内容が明らかにされず「国会の決議に従って、最善を尽くす」(TPP対策本部渋谷和久審議官)と述べるに留まりました。また、米価でも「今年度に限り、収入減少影響緩和対策の特別措置を講じる」(農水省)としましたが、補填金額も不十分なことから、農民からは前の民主党政権下での制度並みの対策を求める声が上がりました。
(写真は農水省前でシュプレヒコールをする農民)