2014年、集会等の報告
2014年10月05日
合成洗剤をなくそうと全国集会を福岡で開催
「きれいな水といのちを守るために合成洗剤をなくそう!」と、10月4~5日に福岡市で「合成洗剤追放第33回全国集会」が開かれました。これは平和フォーラムや消費者・市民団体などが作る合成洗剤追放全国連絡会が主催し、隔年で各地で開催されているものです。今年は、1974年に東京で開催した第1回全国集会から40年目となることから、これまでの運動を振り返りながら、環境汚染のない自然を取り戻す活動を広げていく事を確認しました。全国から市民団体代表など300人以上が参加しました(写真左が全体集会)。
第1日目の全体集会で、集会の福岡県実行委員長のえさきたかしさん(参議院議員)は「合成洗剤に反対した長い歴史の上に今日がある。今年3月に水循環基本法もできた。法を活用し水の公共性を守ろう」と訴えました。菅野博・実行委員会事務局長(全水道書記長)が基調報告を行い「運動が始まった40年前に比べれば合成洗剤による人体被害や環境汚染は減少しているように見えるが、国が公表している家庭からの有害化学物質の排出量の50%以上が合成洗剤の成分だ。この事実をもっと広めていこう」などとし、合成洗剤の表示制度も含めた運動を呼び掛けました。
その後、「環境汚染に国境はない─合成洗剤・水俣・放射能」と題してシンポジウムが行われ、「ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議」の立川涼代表は「20世紀は化学物質の時代とも言えた。そして環境ホルモン問題や子どもの発達障害が近年増加して、化学物質との関係が疑われている。21世紀はさらに多くの物質が作られ、ますます複雑な関係となる。消費者の権利・保護について議論が求められている」と述べました。
熊本県で水俣病問題に取り組んできた谷洋一さん(水俣病協働センター、被害者互助会)は、2013年に締結された国際的な「水銀の規制条約」(水俣条約)や水俣病の経験をもとに「合成洗剤など人体に影響がある物質を流し続ければ、水俣病同様に取り返しがつかなくなる。水銀も同じで、いまや全世界が汚染されている。まさに国境がない状態だ」と警鐘を鳴らしました。
韓国で環境運動を行っている金江烈さん(光州市・市民生活環境会議理事長)も特別参加し、韓国のイ・ミョンバク前政権や現在のパク・クネ政権における環境破壊の政策などを報告し、「韓国でも日本の市民団体の支援を受けながら石けんを使う運動が広がっている」などと報告しました。
福岡では学校給食の調理場で合成洗剤から石けんに切り替える取り組みが25年前から行なわれています。その報告を福岡市現業労働組合の山野みよ子さんが行い「最初は反対もあったが、より安全な給食を子ども達にの思いから粘り強く取り組み、市内全小学校(140校)で実現した。しかし、民間委託が進む中で今後は合成洗剤使用の危険性がある。地域の皆さんとともに運動を強めていきたい」と決意を語りました。
二日目は分科会が開かれ、「入門講座」では合成洗剤のCMのウソや「本物の石けん作り」の実演などでを学びました。「環境と化学物質」では2020年を目標とした国際的な化学物質規制の動きや福島原発事故による放射能問題も含めて議論しました。福岡県内の取り組みの分科会では、涵養林を守る取り組み、廃油回収しての石けん作り、川の水質調査活動などが報告されました。また、北九州市にある石けんメーカーの工場視察のフィールドワークも行われました(写真右が石けん工場視察)。最後に総括集会を行い、集会アピールを採択しました。
なお、全国連絡会の総会も開かれ、活動方針などを決定するとともに、事務局長が管野博さんから三戸一宏さんに替わりました。