声明・申し入れ、2014年

2014年08月15日

「戦争犠牲者追悼、平和を誓う8.15集会」 誓いの言葉(福山真劫・平和フォーラム代表)

「戦争犠牲者追悼、平和を誓う8.15集会」 誓いの言葉

   フォーラム平和・人権・環境
        共同代表  福山真劫

 あれから69回目の夏をむかえます。
 私たちは今年もまたここ千鳥ヶ淵戦没者墓苑に、みなさんの御霊の追悼のため、また平和への誓いを固めるため、集いました。
 先の大戦で、日本軍国主義政府は、国民を総動員し、国を挙げて、朝鮮半島から、中国大陸、東アジアへの侵略戦争と植民地支配に突き進み、そして最終的に、1945年8月15日、米国を中心とする連合国に無条件降伏をしました。その過程で、自国民に310万人の犠牲者を生み出し、国の主要都市は焦土となりました。そして侵略した国々に2000万人を超える犠牲者を生み出しました。
 国外で亡くなられたみなさま方の塗炭の苦しみと怒り、また沖縄、広島、長崎などの惨状に思いをはせる時、日本軍国主義政府に対して、被害者としての悲しみと怒りが込み上げてきます。一方 朝鮮半島、中国大陸、東アジアでは日本軍国主義政府は侵略者であり、加害者でした。国民も共犯者であった責任を免れることはできません。どれだけおわびをしても、許されるものではありません。
 そして第1次世界大戦に続き、2度目の世界大戦を経験した世界は、平和の実現とその平和が永遠に続くことを願い、国連と国連憲章を作り出し、日本国憲法を作り出しました。  日本国憲法前文には、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」、9条では、「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は」「永久にこれを放棄する」「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と書き込んでいます。これが私たちの原点であり、出発点です。
 しかし冷戦時代、テロとの戦争といわれる時代の中で、米国政府と日本の自民党政権は、憲法の空洞化を推し進め、憲法9条を持つこの日本が、予算規模で世界第5位の軍事力を持ち、米軍基地を日本全国に展開させています。それでも憲法9条があるがゆえに、専守防衛、非核3原則、武器輸出3原則、など最低の歯止めはあり、米国の度重なる要請にもかかわらず、自衛隊は海外で武力行使・戦争、戦闘行動には直接参加していません。
 私たちは毎年この場に集い、みなさまがたの御霊を前に、「平和への誓い」を表明し続けてきました。しかし今年は本当に申し訳なく、つらいものがあります。
 それは、昨年から今年にかけて、安倍自公政権の「軍事大国化戦争する国へ」の暴走を止めることができていないからです。NSC法、特定秘密保護法、防衛大綱みなおし、国家安全保障戦略の策定、武器輸出3原則の見直し、沖縄名護市辺野古への米軍新基地建設強行、靖国神社公式参拝、貧困と格差社会の進行も放置したまま、エネルギー政策見直し、原発推進・原発再稼働へ動き出しています。
 そしてこの7月1日、自衛隊創立60周年のこの日、安倍政権は、立憲主義と平和主義を無視し、「集団的自衛権容認」の閣議決定を解釈改憲によって強行しました。米国の軍事戦略の下、中東から東アジアまでを視野に戦争する体制をつくりあげようとしているのです。
 いまだ戦争に対する謝罪も補償もできていないにも関わらず、新しい戦前が始まりました。東アジアで平和確立のための努力が求められているにもかかわらず、偏狭なナショナリズムをあおり、政治的・軍事的緊張を高めています。
 このまま安倍自公政権が続けば、日本の平和と民主主義はおろか日本が崩壊してしまいそうな恐怖すら感じます。
「そこまでわかっていながら、お前たちはいったい何をしているのだ」という皆様の悲しみと怒りの叫びが聞こえてきます。
 しかし私たちも嘆きとお詫びばかりでは、ありません。
 まだ間に合います。鹿児島県川内原発でも再稼動はまだ始まっていません。沖縄県名護市でもキャンプシュワブのゲート前に沖縄の仲間たちが座り込み建設を止めています。集団的自衛権行使課題も、その具体化のための、日米ガイドライン、関連法案の制定もまだです。
 そして安倍自公政権のこうした政策に対して、世論は支持をしていません。滋賀の県知事選挙では、与党候補が敗北しました。続く福島、沖縄の知事選挙でも与党の勝利の展望はありません。野党や労働団体、平和団体、人権団体、多くの市民や市民団体も安倍自公政権と対決すべく動き出しています。全国各地から、さようなら原発1000万人アクション、戦争をさせない1000人委員会運動など広範な平和・民主主義・脱原発、そして何よりも憲法理念を実現するのだという大きな流れが湧き上がっています。政治の潮目は確実に変わりつつあります。私たちのこれからの闘い方によって、安倍の暴走を止め、政策転換、退陣に追い込むことが可能な展望が見えてきています。
 私たちもそうした運動の一翼を担って、全力で奮闘する決意です。それが今を生きている私たちの責任です。私たちの闘いぶりをぜひ見つめ続けてください。
 

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