声明・申し入れ、2013年

2013年10月29日

集会アピール/秘密保護法案と立憲主義否定の国づくりに反対する10.29集会

集会アピール

 市民の「知る権利」を制限することから、集団的自衛権の体制づくりが始まろうとしています。
国政に参加する市民の権利に暗幕をおろし、国が歩もうとする方向の、最も大切な情報を隠して、これから政府は何を始めようと言うのでしょうか。

 10月25日、政府は特定秘密保護法案を閣議決定し、今臨時国会に提出しました。
 そもそも、法案の中心である秘密の内容が、これほどあいまいな法案は前例がありません。
 「なにが秘密か、秘密」。これがこの法律の特徴であり、本性です。
 「知る権利」や「報道の自由」といった言葉が、法案に挿入されたとしても、努力義務どまりであり、市民は、どのような知る権利が奪われたのか知る術もありません。

 いずれの国の戦争も、その国に住む人への情報操作によって進められてきました。日本が行った先の戦争も、国民に対し、巨大な情報操作と、情報操作を土台とする幾重もの謀略で進められてきました。「軍機」、「極秘」と印が捺(お)されれば、大多数の人が知ることのない事態がひとり歩きし、国の中の「国」が、大多数の人を引きずって、立ち戻ることのできない所まで国を運んでしまったのではないでしょうか。

 特定秘密保護法案は、国会の国政調査権に制限が加えられる可能性をもち、国会が最高機関であることを薄め、シビリアンコントロール(文民統制)を損なうものです。
 また、特定秘密の指定は、第三者のチェックを受けることなく、時々の行政の長による恣意的な運用を許してしまいます。有識者会議を設置しても個々の秘密指定の妥当性をチェックする権限は与えられていません。
さらにこの法案は、厳罰化によって公務員を萎縮させ、想定以上の「知る権利」の侵害が進行します。秘密を取得した者、漏えいを教唆した者も処罰され、報道機関の取材活動だけでなく、行政を監視する市民運動も罪に問われかねません。
 またこの法案は、「防衛」、「外交」、「特定有害活動(スパイ)防止」、「テロ対策」の4分野を対象としていますが、特定有害活動防止など基準と概念があいまいで、国民監視につながるおそれをもっています。さらに、特定秘密を取り扱う人への調査は、際限のないプライバシー侵害です。

 これまで、戦後憲法のなかにあっても、多くの秘密を国は生み出してきました。しかし、今回この法案がめざそうとしているのは集団的自衛権の体制づくりと密接に結びつき、秘密の「塊」を生み出し、立憲主義と憲法の平和原則を崩そうとしている点に最大の問題があります。
 私たちは、市民の「知る権利」の侵害が、民主主義の侵害、憲法の侵害、平和への侵害の道の扉になろうとしていることに最大の注意をはらいます。
 特定秘密保護法案を許してはなりません。「同盟国」首相への盗聴を許して、市民に情報統制を強いる社会を許してはなりません。

2013年10月29日
秘密保護法案と立憲主義否定の国づくりに反対する10.29集会
参加者一同

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