声明・申し入れ、2012年
2012年07月23日
声明 原発依存、再稼働のシナリオを阻止しよう
2012年7月23日
声明 原発依存、再稼働のシナリオを阻止しよう
フォーラム平和・人権・環境
原水爆禁止日本国民会議
事務局長 藤本泰成
野田政権では、原発規制体制の強化の名のもとで、実は、原発依存をつづけようとする策動が進められている。
エネルギーの将来像について、国民から意見を聴くと言いながら、第2のシナリオ(15%)に誘導しようとする意図がはっきりみてとれる。
「生活のために必要」と大飯原発稼働を政治決断した野田首相が、この決断以降、原発依存脱却から明らかに後退し、原発依存の焼き直しをはかろうとする一連の動きを許すことはできない。
原子力規制委員会の事務局たる原子力規制庁が、その配属職員を再び出身官庁に戻せないという点だけで、規制行政の独立性が保ったと評するのは、あまりに粗末な論理だ。
原子力規制委員長の候補とされている田中俊一氏は、原子力損害賠償紛争審査会で、自主的避難者への賠償拡大に反対し、その際、「政府が避難の基準としている20mSV/年をゆるがすべきではない」と主張。住民の帰還基準を20mSv/年と主張してきた人物ではないか。原子力規制委員会は、そのトップに「原発ムラ」に属する人間を就任させるのか。
一方、大飯3、4号炉につづく原発の再稼働に向けた演出が着々と準備されている。
昨年9月、野田総理は所信表明で、「2030年までをにらんだエネルギー基本計画を白紙から見直し、来年の夏をめどに、新しい戦略と計画を打ち出す」と訴えた。しかし今、この「白紙からの見直し」が、エネルギー環境会議の3つのシナリオに矮小化され、史上稀に見る世論誘導がはかられようとしている。そもそも2030年を目標とするこの前提が、停止中の原発を再稼働させようとする意図に従属している。
福島第一原発事故が地震に因るのか津波に因るのか究明されていない中、再稼働のためのシナリオでよいはずはない。
だが、それでもエネルギー・環境会議が提起しているパブリックコメントと意見聴取会に背を向けてはならない。
提示されているシナリオの中では、2030年原発依存0%=「ゼロシナリオ」こそが、唯一の脱原発のシナリオだ。私たちは、2030年に拘らず、できる限り早い時期に原発依存ゼロを求めて意見を投じねばならない。8月12日期限までパブリックコメントに意見を集中しよう。意見聴取会における出席、発言についての民主化を求め、核サイクル存続と原発依存の意図を砕こう。
7月16日、さよなら原発10万人集会の成功は、あらたな脱原発運動の出発を予言している。
志賀原発、大飯原発直下の活断層についての新たな知見を糧に、そして、原発推進派が原発を「安全保障に資す」との本来の目的を吐露したことを「糧」に、再稼働反対のとりくみを強化しよう。