声明・申し入れ、2011年
2011年03月29日
日朝連絡会/声明 大地震を契機に東北アジアで核のない社会をめざし、対北朝鮮制裁解除を通じ平和に向けた話し合いを進めましょう
3月11日に東北地方をはじめ東日本を襲った大震災は、これまでにない甚大な被害をもたらしました。被災された外国人市民を含むすべての方がたに、謹んでお見舞い申し上げます。
すでに韓国・中国をはじめ世界各地で、日本を支援しよう、励まそうという募金や激励のコンサート、祈りなどが広がっています。韓国における元「従軍慰安婦」のハルモニたちの日本大使館前の水曜デモは、1992年1月8日に始まり今年1月に900回を超えましたが、阪神淡路大震災と東日本大震災に際しては、被災者を見舞う催しとされました。朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の朝鮮赤十字社からは10万ドルの義捐金が寄せられました。朝鮮学校も被災しましたが、地域で助け合いながら困難を乗り越えようとしています。東北アジアの人びとは、日本を励まし支援を惜しまない友愛の精神を行動で示しています。
しかし、福島原発の事故による放射能漏出はいまだに拡大しており、今後はアジアから世界へと汚染が拡散することが憂慮されます。日本に端を発した核のわざわいは、けっして日本だけの問題にはとどまらないでしょう。国際的にみれば、私たちは今後予想される放射能汚染に強い責任があります。北朝鮮政府も3月17日、韓国に対して白頭山噴火問題での協議を行なうよう提案しました。天災が引き起こす災害の被害を食い止めるため、国際協力が重要になっています。核をめぐる課題もやはり、国を超えた東北アジアレベルの協力が必要です。
2006年10月に北朝鮮の第1回核実験を契機に実施された日本政府の北朝鮮に対する独自制裁措置は、2009年5月の第2回核実験により追加制裁が加えられ、その後は繰り返し継続されています。核実験は平和の立場に反するものであるため、多くの市民はこれに強く抗議してきました。しかし、日本政府は制裁措置によって、かえって核をめぐる話し合いを行なう糸口を見失ったまま今日に至っています。そのうえ、日朝間の国交がないために在日朝鮮人と北朝鮮の人びととの往来はきわめて制限される結果となり、在日朝鮮人が本国の親族を助けたり、本国側から大災害時の在日親族の安否を確認したりすることさえ、困難な状況になっています。このままでは4月にまた、制裁措置が延長されてしまう可能性が高いといわざるをえません。
ところが、現在の状況ではむしろ、制裁措置が日朝関係を閉ざす理由づけになっているというべき状況です。これでは核廃絶も東北アジアの平和も、前進させることはむずかしいでしょう。私たちは地震が引き起こした災害により困難に直面するこのときであっても、日本政府ができる限り速やかに日朝交渉を再開し、災害への対応の協力をきっかけとして、核のない平和な東北アジア実現へと進むことが必要だと考えます。そして、東北アジアの人びとの真の信頼を得られるよう歴史に対する謙虚な姿勢を表明し、北朝鮮に対する制裁を解除して、国交正常化交渉のなかで日朝間の諸懸案を解決するよう日本政府に求めます。
また、東北アジアにおいて核のない真の平和をめざす市民社会の協力を強化していくことを日本社会に広くアピールしていきましょう。