10月, 2023 | 平和フォーラム
2023年10月31日
日本は「核の脅し」に加担するな 核兵器を搭載できる爆撃機を日米韓の戦闘機が護衛する合同空中訓練は中止せよ
渡辺洋介
はじめに
2023年10月22日、九州北西の日韓の防空識別圏が重なりあう空域で、核兵器を搭載できる米軍の戦略爆撃機B-52Hを日米韓3か国の戦闘機が護衛する合同訓練が初めて行われた。訓練には、米軍よりB-52HとF-16戦闘機が、韓国軍よりF-15K戦闘機が、航空自衛隊よりF-2 戦闘機が参加し、米軍のB-52H を先頭に日米韓の戦闘機が左右に3 機ずつ編隊を組み、B-52Hをエスコートした。その目的は、米空軍によると、各空軍間の相互運用性を高めるとともに日米韓3か国の関係の強さを示すことにあるという(注1)。
しかし、この訓練は北朝鮮に対して核の存在をちらつかせ、日米韓3か国が共同で圧力をかける行為に他ならない。なぜこのような事態に発展してしまったのだろうか。その淵源は、2022年5月に韓国で対北朝鮮強硬派の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が誕生したことにある。
尹政権の誕生と「核の脅し」のエスカレーション
尹政権の誕生以降、南北朝鮮は対立の度を深めている。2022年後半には、南北で次々と大規模な軍事演習が行われるようになり、2023年に入ると尹政権は「核には核で」対抗する姿勢を明確に打ち出すようになった。2023年1月2日、尹大統領は核戦力の「共同計画」や「共同演習」について米国政府と議論をしていると主張し、1月11日には北朝鮮の核の脅威が増大すれば、韓国は核武装する可能性があると発言した。翌日、韓国大統領府はこの発言の火消しに回る。韓国独自の核開発は否定し、北朝鮮の「脅威」に対しては米国の韓国に対する「拡大抑止」強化で対応するとした。その後、1月31日にはソウルで米韓国防相会談が開かれ、北朝鮮の核を念頭に「拡大抑止」強化や米韓合同軍事演習の規模拡大などで一致した。
また、同じ日に米国のB-1B戦略爆撃機を米韓の戦闘機が護衛する訓練を黄海上空で行った。B-1Bは1994年に核攻撃任務を外されるまでは核兵器搭載可能であった爆撃機である。韓国国防省は訓練の趣旨について「北朝鮮の核・ミサイルに対し、強力で信頼性のある拡大抑止を提供するという米国の意志と能力を見せる訓練だ」と説明した。
これに対して北朝鮮外務省は、2月2日、米韓などの敵対的な行動にはいちいち反応しないと断ったうえで、北朝鮮の側も米国に対して「核には核」「正面対決には正面対決」で対応するという従来の方針を改めて表明した。
その後、北朝鮮は2月18日にICBM火星15の発射訓練を実施した。翌日、それへの対抗措置として、米韓、日米はそれぞれB-1Bを護衛する合同訓練を実施。米韓両軍は3月3日にも同様の訓練を行った。
3日後、日米韓は北朝鮮に対する「核の脅し」をエスカレートさせる。3月6日、米韓は核兵器搭載可能な戦略爆撃機B-52Hを護衛する合同空中訓練を実施した。同じ日に日米も日本海上空で同様の訓練を行った。朝鮮半島周辺では韓国軍機が、日本周辺では自衛隊機が米軍のB-52Hを護衛する訓練を行ったのだろう。ここに至って日米韓3か国は、北朝鮮に対して、より露骨に「核の脅し」「核による圧力」をかけ始めたのである。
同日、北朝鮮外務省は、B-52Hが参加した合同訓練を行った米韓を非難し、改めて軍事的な敵対行為をやめるよう訴えた。
B-52Hが参加した合同訓練はその後も続く。3月30日には日米の間で、4月14日には米韓、日米の間で同様の訓練が行われた。
ワシントン宣言
その後、米韓両国は拡大抑止のさらなる強化を決定する。4月26日に米韓首脳が発表した「ワシントン宣言」は、朝鮮半島への米国の戦略兵器展開の拡大や、米韓が核抑止を議論する「核協議グループ」の設立などを盛り込んだ。前者には、核兵器搭載可能な戦略原潜や戦略爆撃機(B-52H)の朝鮮半島周辺への派遣が含まれる。後者に関連して、尹大統領は後日(5月7日)「核協議グループ」への日本の参加を排除しないことを示唆した。このように「ワシントン宣言」によって、北朝鮮の核兵器に対して米国の核兵器で対抗する態勢がさらに強化された。
米韓首脳会談後の記者会見では、米国が保有する圧倒的な核戦力を背景とした「脅し」ともとれる発言があった。バイデン大統領は「北朝鮮が核攻撃を行えば金正恩体制は終焉する」とあからさまに恫喝し、尹大統領も核抑止力の「圧倒的な力で優越することによって平和を達成することができる」と圧力をかけた。もちろん、ここでいう「平和」は「核の脅し」によって相手国に核攻撃を躊躇させることで達成されるものにすぎない。そうした「平和」は常に核戦争と隣り合わせであり、万が一、核戦争が勃発すれば、人類は破滅の危機に瀕することを忘れてはならない(注2)。
こうした米韓の姿勢に対し、北朝鮮は強く反発した。金与正朝鮮労働党副部長は、4月28日、「ワシントン宣言」は、北東アジアと世界の平和と安全を一層危険にさらすとしたうえで、「敵が核戦争演習に狂奔するほど、朝鮮半島地域により多くの核戦略資産を展開するほど、われわれの自衛権行使もそれに正比例して増大するであろう」と警告した。
ところが、その後も日米、米韓は、韓国軍あるいは自衛隊の戦闘機の護衛のもとB-52Hを飛行させて核のプレゼンスを誇示した。この訓練は、日米の間では6月28日と30日に、米韓の間では6月30日に行われた。
こうした状況の中、北朝鮮は7月12日に新型ICBM火星18号を発射した。同日に開かれた国連安保理の緊急会合で、北朝鮮の金星(キム・ソン)国連大使は、米国による核の威しなどを例に挙げて、朝鮮半島の緊張を高めているのは米国だと指摘。北朝鮮の核・ミサイル開発はそれに対する正当な自衛権の行使だと主張した。一方で日米など安保理理事国9か国および韓国は、会合後に北朝鮮を非難する共同声明を発表した。翌日、米韓は朝鮮半島上空にB-52Hを飛行させ、改めて核の存在をちらつかせた。米韓はさらに、7月18日にソウルで開かれた「核協議グループ」の初会合で、拡大抑止の強化を確認するとともに、米国の核作戦に対する韓国の支援方法および核兵器搭載可能なB-52Hや核ミサイル搭載可能な戦略原潜のプレゼンスをどのように誇示するかについて協議した。
キャンプ・デービッド首脳会談と3か国合同空中訓練
2023年8月18日、日米韓首脳は首都ワシントン郊外のキャンプ・デービッドで会談し、「日米同盟と米韓同盟の間の戦略的連携を強化し、日米韓の安全保障協力を新たな高みへと引き上げる」ことを確認した。この際に発表された3文書の1つ「キャンプデービッドの精神」には「3か国共同訓練を定期的に実施する」ことが明記された。
これに対し、金正恩総書記は、8月27日の海軍創設記念日の祝賀演説で、日米韓3か国による軍事力増強と合同軍事演習の定例化によって朝鮮半島周辺で核戦争の危機が高まっていると指摘し、海軍に戦争準備を整える必要性を説いた。また、9月26日から27日まで開かれた北朝鮮最高人民会議で、戦争を抑止する核兵器の開発を加速すると明記した条文を憲法第58条に追加した(注3)。同会議における演説で、金総書記は最近の日米韓の軍事力強化に言及したうえで、米国はかつて非核保有国であった北朝鮮に対して継続的に核の脅しを行ってきたという経緯から「帝国主義者の暴政の核(筆者注:米国の核)が地球上に存在する限り」核兵器を放棄しないというのが北朝鮮の戦略的判断だと述べた。
一方、尹大統領は9月26日の「国軍の日」に合わせて実施された軍事パレードで「北朝鮮が核兵器を使用すれば金正恩体制を終わらせる」と改めて警告した。同様の恫喝は10月4日の韓国国防省の声明にも確認できる。
こうした対立が続く中、冒頭で述べた通り、10 月22 日にB-52Hを護衛する初の日米韓3か国合同空中訓練が実施された。この訓練は、キャンプ・デービットで合意された3か国共同訓練の定期開催を実行に移したものである。
合同訓練に対し、北朝鮮国営の朝鮮中央通信は「意図的に核戦争を挑発するもの」と非難するとともに、それを北朝鮮に対する「先制核攻撃にむけた重大な軍事行動」とみなすと警告した。
3か国合同空中訓練の定例化は許されない
核の存在をちらつかせる日米韓合同空中訓練は中止すべきである。なぜならこの訓練には少なくとも2つの重大な問題があるからである。第一に、合同訓練を継続的に実施すれば、北朝鮮はそれに対処せざるを得なくなり、結果的に同国をさらなる核軍拡に向かわせると予想されることである。こうした「核の脅し」を続ければ、日米韓がめざす「朝鮮半島の非核化」とは逆の方向に事態が進むだけでなく、核戦争の危機が常態化してしまう。
第二に、核兵器を含む「武力による威嚇」は、日本国憲法及び国連憲章で禁止されていることを指摘しなければならない。周知の通り、日本国憲法第9条は「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と規定する。同様に国連憲章第2条4項は「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を…慎まなければならない」と定めている。
日本政府によると、「『武力による威嚇』とは、一般に、現実にはまだ武力を行使しないが、自国の主張、要求を入れなければ国際法上違法な武力行使を行うとの意思、態度を示すことにより、相手国を威嚇すること」(注4)としている。「北朝鮮が核攻撃をすれば、金正恩体制は終焉する」という脅し文句とともに核兵器搭載可能なB-52Hを朝鮮半島周辺に飛行させ、それを日米韓の戦闘機が護衛するという行為は、「自らの主張、要求を入れなければ武力行使を行うとの意思、態度を示すことにより、相手国を威嚇している」と言えないだろうか。
日米韓3か国によるB-52H護衛の合同訓練は中止すべきである。忘れてならないのは、北朝鮮と日米韓3か国との間には経済的にも軍事的にも圧倒的な国力の差があり、北朝鮮指導部が冷静でありさえすれば、自ら戦端を開くはずはないという状況にあることである。そうした状況下で、戦争を防ぐために最も大切なことは北朝鮮指導部をみだりに挑発しないことだ。そうした点からも、核兵器を搭載できる爆撃機を日米韓3か国の戦闘機が護衛する合同空中訓練はやめるべきである。日本は「核の脅し」に加担すべきではない。
「核の脅し」で長期的で安定した平和は築けない。平和への道は、粘り強い対話を重ねることで信頼関係を築くことによってしか開けないことを忘れてはならない。
注1 米空軍HP(2023年10月22日)
https://www.safia.hq.af.mil/IA-News/Article/3570465/us-japan-republic-of-korea-conduct-trilateral-aerial-exercise/
注2 米ラトガース大などの研究チームのシミュレーションによると、インドとパキスタンで限定核戦争があった場合でも、核爆発に伴う膨大な微粒子の拡散で「核の冬」が訪れ、世界各地で飢饉が起こり、食料の輸出入が途絶え、日本では2年以内に7200万人が餓死すると予測されている。
https://www.nature.com/articles/s43016-022-00573-0
注3 『脱軍備・平和レポート』第24号、12頁。
注4 参議院議員小西洋之君提出米国の空母カール・ビンソン打撃群の派遣と国際連合憲章の関係等に関する質問に対する答弁書(2017年5月16日)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/193/touh/t193098.htm
2023年10月30日
トマホークいらない!10.26官邸前緊急行動が行われました
「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が呼びかけた「トマホークいらない!10.26官邸前緊急行動」が、10月26日、首相官邸前で開催され、約200人が参加しました。
「なぜ今、トマホークを前倒しして購入するのか、アメリカのために武器の購入にお金を使うよりも、日々の生活に困っている人たちがいることに目を向けるべきだ」と訴える主催者挨拶から始まりました。続いて立憲民主党、社会民主党、沖縄の風、日本共産党から連帯の挨拶。軍拡に反対し市民と市民と立憲野党の共闘を強めていくことが確認されました。
市民からの発言では、各地域で運動を展開している市民団体のほか、非核市民運動ヨコスカの新倉裕史さんが「パイロットの搭乗を必要としない巡航ミサイル・トマホークは戦争の歴史を変えた」と横須賀の空母とトマホークの関係についての歴史的背景を報告しました。また、40年前に反基地闘争に関わることになったきかっけがトマホークの配備反対闘争であったというNPO法人・ピースデポの湯浅一郎さんは「この臨時国会では、軍事費を倍増させていくことではなく、400発もトマホークを買うことをやめるという選択をすべき」だと訴えました。
最後に、首相官邸に向けて「アメリカの武器を爆買いするな!」「トマホークいらない!」とコールをあげ、憲法理念に基づいた平和外交を進めるべきであることを全体で確認して行動を終えました。
2023年10月24日
【平和フォーラム声明】パレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停止を求める
平和フォーラムは10月24日付で、以下の声明を発表しましたので、お知らせします。
パレスチナ自治区ガザでの戦闘の即時停止を求める
10月7日、イスラム組織ハマスは突然、数千発のロケット弾をイスラエルに向かって発射し、イスラエル国内に戦闘員を送った。イスラエル軍は、パレスチナ自治区ガザへの空爆を開始した。10月17日には、ガザ地区北部の避難場所とされていた病院が空爆を受けて500人以上が死亡したと報道されている。イスラエルとパレスチナ双方の死者は、22日には6000人を超えた。戦闘が始まってガザ地区は、水道や電気が止められ市民生活は窮地に陥っている。人道支援物資の搬入が21日から始まっているが、空爆は続き窮状は変わらない。イスラエル軍は攻撃強化の方針を発表し、地上侵攻を含む大規模な軍事行動の準備は整ったとしている。
ハマスの行為は許されないが、「天井なき監獄」と呼ばれるガザ地区に、将来への夢を抱くことも出来ずに暮らすパレスチナ人の絶望は計り知れない。一方で、差別と偏見の中で世界を放浪し、ナチスによるホロコーストをも経験したユダヤ人の歴史も、また悲劇であった。双方は、壊滅的な戦闘に突入してはならない。報復を繰り返すことなく、直ちに戦闘を停止し、恒常的な平和への対話を始めることを強く要請する。
国連安全保障理事会は、2日間延期されたブラジルの人道のための一時的な戦闘停止を求める決議案を、15カ国のうちロシアとイギリスが棄権したものの、日本を含む12カ国が賛成した。しかし、イスラエルの自衛権に言及がないとしてアメリカが拒否権を発動し否決された。その一方ウクライナに係わる決議ではロシアが拒否権を発動し和平への道を閉ざしている。パレスチナ問題が、歴史上どのようにして作り上げられてきたか、そして繰り返される武力衝突に国際社会はどのように対応してきたのか、戦闘で失われる命を軽く見てはならない。
国連中東和平担当のウェネスランド特使は、イスラエル軍とハマスの戦闘拡大のリスクは「非常に現実的で、極めて危険」と警告し、現状が「深く危険な深淵の瀬戸際」と表現している。上川陽子外相は「外交努力を通じ、事態の沈静化やガザの人道状況の改善に向けて積極的に取り組んでいく」と述べ、日本政府として様々な働きかけを続けているとしている。イスラエル・パレスチナどちらかの立場を重視することなく、人道の危機として対処していくことを希望する。
ウクライナ戦争が続く中で、パレスチナにおいて新たな戦争が引き起こされた。国際社会は、それぞれの政治的思惑を排除し、「命の尊厳」という視点から国際秩序の再構築にとりくまなくてはならない。対立の火種を対話から消していく努力を、利害の視点を排除して続けなくてはならない。平和フォーラムは、イスラエル軍が地上戦に踏み込むことなく、空爆の停止とパレスチナ社会との和平交渉のテーブルに着くこと、一方でハマスが戦闘を停止し一刻も早く人質を解放するよう要請する。そして、日本政府をはじめ国際社会がそのことを可能にする状況を作り上げるよう要請する。
2023年10月24日
フォーラム平和・人権・環境
代表 藤本泰成
2023年10月24日
ニュースペーパーNews Paper2023.10
10月号もくじ
ニュースペーパーNews Paper2023.10
表紙 オスプレイ配備問題
*基地公害問題 市民の力で汚染現状調査を
ジャーナリスト ジョン・ミッチェルさんに聞く
*今夏の原水禁世界大会をふりかえる
*「大増税」「ばら撒き」「大軍拡」で市民を苦しめる岸田政権
*[本の紹介]「ようきなやつら」
*「ふるさとに思う」—人生の終盤に思うこと
2023年10月10日
横須賀で米軍空母母港化50年に抗議する全国集会開かる
「米空母母港化50周年抗議!原子力空母ロナルド・レーガンの配備撤回を求める10.5全国集会」が10月5日、横須賀市のヴェルニー公園で開催されました。
主催者を代表して神奈川平和運動センター代表の福田護弁護士があいさつしたのち、フォーラム平和・人権・環境の藤本泰成代表が、この夏アメリカのキャンプデービッドで行われた日米韓首脳会議で、日米安保を越えて日米韓の軍事同盟ともいえる連携強化が打ち出されたことを批判し、東北アジアでの戦争回避のために憲法9条の平和主義を守り、自民党、日本維新の会などの改憲勢力に台頭を許さない取り組みの強化が必要だと訴えました。平和フォーラム関東ブロック連絡会議の中條貴仁代表(東京平和運動センター議長)は、全国の米軍基地から漏出した有機フッ素化合物の問題に触れ、飲料水の汚染は国が責任を持って早急に対応するように求めました。全国基地問題ネットワークからは代表委員の米村豊さん(長崎県平和運動センター議長)があいさつを行い、G7広島サミットにあわせて長崎県佐世保に入港した原子力空母ニミッツに抗議するとりくみを行ったことを紹介するとともに、九州および南西諸島での日米軍事強化の実態を報告しました。続いて社会民主党の福島みずほ党首が、空母母港化以来の基地被害の歴史を述べたほか、厚木基地爆音防止期成同盟の石郷岡忠男委員長は、艦載機の移駐後も自衛隊機を含め米国以外の戦闘機等の離着陸が増え、爆音の状況は変わらず、有機フッ素化合物による地下水等の汚染など生活を脅かす基地被害が続いていると述べました。また11月に結審する第5次厚木基地爆音訴訟への注目を訴えました。
市民団体からの連帯あいさつでは、非核市民運動ヨコスカの新倉裕史さんが、米空母の母港化に至った過程と湾岸戦争やイラク戦争などで米軍の出撃拠点となった横須賀基地の歴史を振り返りつつ、横須賀の米軍が自衛隊を戦う軍隊へと育て上げた日米軍事一体化の現状に警鐘を鳴らしました。在日米軍の動きを追跡している市民団体リムピースの星野潔さんは、米海兵隊が新たに進めている「海兵沿岸連隊」の輸送拠点として横浜ノースドックの基地機能強化が進められていることを説明し、横浜を戦争の拠点にさせない行動が必要だと訴えました。最後に反核平和の灯リレーに取り組む青年労働者からの決意表明を受け、集会アピールを採択しました。
その後750名の参加者は、デモ行進に移り、在日米海軍横須賀司令部前で抗議のシュプレヒコールをたたきつけ、横須賀市役所公園前まで行進しました。