11月, 2013 | 平和フォーラム
2013年11月30日
平和軍縮時評11月号 第68回国連総会第1委員会のハイライト:核兵器の不使用声明と3つの決議 金マリア
2013年11月4日、第68回国連総会第1委員会(軍縮・国際安全保障)が閉会した。13年の第1委員会は、10月7日にニューヨーク国連本部で開会し、16日まで「一般討論」、17日から25日まで「テーマ別討論」が行われ、53の決議が採択された。
本稿では、まず前半で、最も注目を集めた「核兵器の人道的影響に関する共同声明」を紹介する。後半では、2018年までの核軍縮国連ハイレベル会議の開催を決めた非同盟運動(NAM)の新決議を始めとして、国連公開作業部会(OEWG)の報告と今後に関する決議、そして、日本決議を取り上げ、核軍縮を前進させようとする新たな流れを中心に、第1委員会における議論を紹介する。
核兵器の不使用を求める「核兵器の人道的影響に関する共同声明」
ニュージーランドが主導した4回目の「核兵器の人道的影響に関する共同声明」は、非核兵器国を中心に賛同国を募った結果、すべての国連加盟国の約3分の2に当たる125か国にまで賛同が拡大した。日本も初めて賛同した。同声明は、12年5月2日、15年NPT再検討会議第1回準備委員会で、オーストリアなど16か国により初めて発表された。その後、同年10月22日、国連総会第1委員会でスイスなど35か国が2回目が、また13年4月24日、15年NPT再検討会議の第2回準備委員会では、南アフリカの主導で3回目が発表された。3月にオスロで開かれた「核兵器の人道的影響に関する国際会議」の成果を踏まえ80か国まで賛同が増えた。
今回の声明においても、最も重要な点は、「核兵器がいかなる状況下においても使用されないことに人類の生存」がかかっているという一文であった。核兵器の不使用を強く求める声明に、国連加盟国の3分の2が賛同したのである。非核保有国が、核兵器国を包囲する形が形成されつつあると言ってもいい。また声明は、「核兵器のもたらす凄惨な人道的結果はそれが最初に使用された瞬間から明白なものであり、その瞬間から人類はそうした脅威の存在しない世界を切望して」きたと述べた上で、「それがこの声明を発することにもつながって」いると強調した。
今回の声明には「人道的焦点」(Humanitarian focus)という表現が新しく登場した。これまでは、「核兵器の人道的な側面」と表現していたが、この問題が焦点化されたことを示し、更なる議論の促進を意図したものと見られる。声明は、「核兵器のもたらす人道的結果は長年核軍縮及び核不拡散の議論の中心には据えられてこなかった」ことを力説した後、「人道的な焦点がグローバル・アジェンダにおいて十分に確立されている」とした。「今日において人道的焦点への政治的支持が拡大していること」はまさに125か国((国連オブザーバー国のバチカンを含む))という賛同国の数が証明している。 しかし、今回の声明の一つの残念な大きな変化は、「法」についての言及がなくなったことである。過去3回の声明を見ると、1回目は、法的拘束力を持つ国際条約によって禁止されなければならないとの提案を伴うものであった。2回目は、10年NPT再検討会議最終合意文書の「行動勧告」が、「すべての加盟国がいかなる時も、適用可能な国際法を順守する必要性を再確認する」と述べたことを強調し、全ての国に対し、核兵器の使用の非合法化に努力する責任があると主張していた。3回目では、国際赤十字及び赤新月社運動代表者会議の11年決議6を挙げ、核兵器使用がもたらす人間の苦痛と国際人道法との関係に言及し、10年NPT再検討会議の行動勧告の完全な履行を強調することによって、核兵器使用の非合法化の基調を維持した。しかし、今回これらの記述はない。ニュージーランドら起草国は、より多くの賛同を確保するために、あえて削除したものと見られる。
賛成に転じた日本ともう一つの非人道性声明
日本は、1回目の声明から一貫して賛同を拒否してきたが、今回は声明に賛同する道を選んだ。日本が賛同を拒否してきた理由は、「いかなる状況下においても使用されない」という文言が、米国の拡大抑止に依存する日本の安全保障政策に整合しないというものであった。それ故に、委員会が開会する直前、日本が今回の声明に賛同する可能性があるという情報が流れた時、この表現が残るか否かに関心が集まった。結果的に、この表現は残され、日本が異議を唱えることはなかった。
このような変化をもたらした最大の理由は、被爆地を始めとする国内世論の圧力であった。10月22日、岸田文雄外務大臣は、談話を発表し、「我が国の安全保障政策や核軍縮アプローチとも整合的な内容に修正されたことをふまえ」参加することとしたと話した。特に、「核兵器による壊滅的な結末への認識が、核軍縮に向けた全てのアプローチ及び努力の下支えとなるべきであると確信している」との考えを「核兵器使用の悲惨さを最もよく知る我が国」として支持するとしている。これは、いかなる状況下でも核兵器は使用されてはならないことを強調したことになる。ただ、外務大臣談話では触れられていないが、同声明から、先述の国際法に関する記述がなくなったことが、日本が賛同する要因の1つであったと見られる。
国連公開作業部会(OEWG)決議「多国間核軍縮交渉を前進させる」
コスタリカを含む18か国が提出した決議「多国間核軍縮交渉を前進させる」(A/C1/68/L.34)は、昨年の決議(A/RES/67/56)のフォローアップ決議に当たる。本決議は、賛成151、反対4、棄権21で採択された。米英ロ仏は反対、中国は棄権した。
昨年の決議で設置が決まったOEWGは、今年5月から8月の間にジュネーブで開かれ、核軍縮に関する率直かつ多様な議論が行われる場となった。核兵器の非人道性や多国間交渉の前進などが今回の第1委員会の議論で広く取り上げられた背景には、OEWGによる機運の醸成があった。しかし、米英仏の3か国は、前回とほぼ同じ観点から共同で反対理由を説明した。それは、ジュネーブ軍縮会議(CD)、国連軍縮委員会(UNDC)、そして国連総会第1委員会という討論の場が既に十分存在する、さらに核不拡散条約(NPT)ならびに2010年NPT行動計画との整合性に問題があるというものである。
決議は、OEWGの成果を評価し、国連に報告書を提出したと述べている。しかし、次回のOEWG開催に関しては、「必要な場合は、OEWGを通じたものを含め、多国間核軍縮交渉を前進させるためのさらなるオプションを追求する」(主文9節)と述べるにとどめている。そして「国連事務総長にOEWGの報告書をCDとUNDCでの検討に回付するよう要請」(5節)し、「全ての加盟国、国際機関及び市民社会に向け、OEWGの報告書とその提案を念頭に入れる」(6節)よう求め、国連軍縮機関や国際社会がOEWGの諸提案を活用し交渉の前進を図るよう呼びかけている。市民社会OEWGタスクフォースのアラン・ウェア氏によると、今後特別な進展がない場合、同決議の共同提案国が15年にOEWGの作業を再開するよう提案すると予想される。
非同盟運動(NAM)決議「核軍縮に関する2013年国連総会ハイレベル会合のフォローアップ」
NAMが提出した決議「核軍縮に関する2013年国連総会ハイレベル会合のフォローアップ」(A/C1/68/L.6/Rev.1)は、賛成129、反対28、棄権19で採択された。決議は冒頭で、「9月26日の国連総会ハイレベル会合(HLM)の開催を歓迎」し、「核兵器の完全廃棄という目標の前進に向けたその貢献を認識」すると述べた。さらに、「核軍縮と核兵器の完全廃棄こそが、核兵器の使用あるいは使用の威嚇を行わないための唯一の絶対的保証であることに確信を持」つとした。続いて、主文においては、HLMを継承する措置として主に次の3つを盛り込んだ。
- 「核兵器に関する包括的条約への広範な支持が示されたことに賛同の意」を表し、CDにおける早期交渉を求める(3節から5節)。
- 「18年までに、国連ハイレベル国際会議を開催し、核軍縮の進捗について検討する」(6節)。
- 「9月26日を「核兵器完全廃棄のための国際デー」」とし(7節)、国連を含む各界に向けて「あらゆる手段の教育活動や世論喚起活動を通じて、国際デーを記念し推進するよう求める」(9節)。
同決議は、今回もっとも論争となった決議の一つである。日本と韓国は棄権し、5核兵器国では、賛成は中国のみで、他の4か国は反対した。米英仏は、共同の投票説明で4つの反対理由を挙げた。まず、「HLMは、核軍縮と核不拡散をバランスよく扱っていない」とした上で、「ステップ・バイ・ステップ・アプローチの重要性」を強調した。そして、決議案には「NPTに関する言及が一回しかないこと」、「10年のNPT行動計画に言及していないこと」に不満を示した。また、「同行動計画が言及していない手段に関する交渉を求めている」とし、核兵器禁止条約の交渉に向けた働き掛けを批判した。さらに「18年に核軍縮を議論する会議を計画することは、15年NPT再検討会議に悪影響を与える」とした。
オランダなど21か国も共同で反対理由を説明した。ほとんどが核兵器依存国やNATO加盟国であるこの21か国は、「18年の会議の目的について懸念する」とし、「核兵器禁止条約を交渉する潜在的な手段として解釈される余地がある」と述べた。他方、アイルランドなど6か国とスイスがそれぞれ賛成理由を述べた。6か国は、「HLMを通して、圧倒的多数の国家が、核軍縮の緊急性とそれに対する新たな勢いの必要性を呼びかけた」と高く評価した。また、「NPT、特に、核軍縮に向けた効果的な措置の追求を求める第6条に整合する」とした上、「2010年のNPT行動計画にも整合する」と核保有3か国の批判に反論した。
日本決議「核兵器全面廃棄へ向けた団結した行動」
日本が94年から主導している決議「核兵器全面廃棄へ向けた団結した行動」(A/C1/68/L.43)は、米国を含む歴代最多の102の共同提案国により提出され、賛成164、反対1、棄権14で採択された。反対は北朝鮮、棄権はロシアと中国などを含む。今年の決議では、13年2月の北朝鮮による核実験を強く非難した上で、主文15節で、北朝鮮に対し、これ以上の核実験を行わず、6か国協議の9.19共同声明における努力及び関連する安保理決議への義務を完全に遵守するよう求めた。昨年までは、前文において北朝鮮に言及しているが、主文に関連要求を含めたのは初めてである。これに対し、01年以来賛成を続けてきたロシアは棄権に転じ、理由を次のように述べた。主文15節は「安保理決議2094の条項の形式と精神から外れている」とし、「9.19共同声明の義務は全ての関連国に課されるにもかかわらず、北朝鮮だけを取り上げている」と指摘したのである。
第68回国連総会第1委員会のキーワードを2つ上げるとすれば、初めて実施されたOEWGとHLMの成果に支えられた「核軍縮交渉の前進に向けた新たな挑戦」、そして、ようやく「根付きつつある核兵器の非人道性」だったと言える。しかし、核兵器廃絶に非協力的な核保有国の姿勢は依然として変わらず、具体的に核軍縮を推進する新たな議論の枠組みが形成される見通しがついたわけでもない。「核兵器の不使用声明」に初めて賛同した日本が、非人道性を始め、核兵器に依存しない安全保障政策の選択を通じて核廃絶に主導的役割を果たしていくことが一層求められている。
2013年11月30日
仙台で「第45回食とみどり、水を守る全国集会」開かれる 全国から850人参加
震災復興をめざす杜の都からの発信! TPP反対で決議も
食の安全・安心や農林業の再生、森林や水などの環境保全などの政策と運動について討議するために、毎年各県持ち回りで開催されている「食とみどり、水を守る全国集会」は、今年45回目を迎え、11月29日~30日に仙台市内で開催され、全都道府県から850人が参加しました。
2011年3月11日に発生した東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県などの現状や、今後の復旧・復興に向けた取り組み、隣県の福島原発事故の問題や及ぼす影響など、現地の関係者を含めて多面的な討議が行われました。また、山場を迎えた環太平洋経済連携協定(TPP)に対しても、農業をはじめ食や生活全般に大きな影響を与えることから、国民合意のないTPPの妥結に強く反対することも確認されました。
第1日目は仙台国際センターを会場に全体集会が開かれ、主催者の棚村博美・集会実行委員長は「大震災からの再生には長い年月を要するが、多くの人達の智恵を経験を結集し、支援を続けよう」と呼びかけました。一方、TPP交渉では「秘密交渉の結果を受け入れる訳にはいかない。また、これと軌を一にして農業改革も進められようとしている。こうした課題をしっかり討議しよう」と集会の意義を訴えました。
宮城県実行委員会の佐藤修・副実行委員長や来賓の奥山恵美子・仙台市長、連合宮城の山崎透会長からは、震災に対する全国からの支援に対する謝意が述べられ、今後も続く復興への決意と支援・協力要請がありました。
「情勢と運動の提起」を道田哲朗・集会事務局長が行い、「大震災・原発事故問題」「TPPなど貿易自由化」「食の安全・安心と食料・農業・農村政策」「森林・水を中心とする環境問題」等に関する動きと課題について提起しました。
また、特別アピールとして、山浦康明・集会副実行委員長(日本消費者連盟代表)からTPP交渉をめぐる動きと問題点が説明され、「問題点が多く残されており、年末までの妥結ができるかはまだ不透明だ。しかし、アメリカは強引に交渉をまとめようとしており、日本の追随姿勢も問題だ」と分析をしました。こうした提起を受け、全体集会の最後に「TPPの妥結・参加に強く反対する決議」が提案され、採択されました。
採択された特別決議はこちら
震災復旧・復興への課題をさぐるシンポ
1日目の後半は「復興ビジョンの理念と現実的課題~復興から復幸に向かって今なすべきこと」と題した全体シンポジウムが開かれました(上写真)。シンポは宮城県実行委員長であり、東北大学教授の工藤昭彦さんをコーディネーターに、特に農業面での復旧・復興に焦点をあて、農業関係者や報道機関、自治体議員などから、震災当時の状況や復旧の現状、これからのありかたなどをめぐって論議が行われました。
有限会社として大規模な農業生産をする「耕谷アグリサービス」の佐藤富志雄代表は「津波により経営面積の9割が浸水したが、自己負担を覚悟し、周辺の農家を含めて早期の復旧をはかってきた。今後も地域農業を支えていきたい」と語りました。
農業団体の取り組みについて、仙台農協の渋谷奉弘・震災復興推進課長は被害状況を説明し、特に被害の大きい荒浜地区の再生に向け、「震災前の農業に戻すのではなく、次世代が農業を希望するような転換が必要」など、今後の展望を述べました。
報道機関として長期にわたり取材をしてきた、地元紙・河北新報の論説副委員長の佐々木恵寿さんは、同紙の「東北再生への提言」の一つである「仙台平野の先進的な農業再生」として、「都市近郊型の地域営農を促進するため効率的で持続可能な地域農業の展開が求められている。そのための集落コミュニティーをどう再生するか、復興まちづくりとのリンクなどが課題だ」と提起しました。
さらに、仙台市議会議員の相沢和紀さんからは自治体の役割や、国のタテ割り行政の問題点などが指摘されました。また、消費者との提携を続ける生産組織「大郷みどり会」の西塚敦子さんからは農業にかける思いとともに「震災復興に名を借りて、大規模な農業の工業化が進められている。そうした企業農業と共存できるか不安だ」と語りました。
集会参加者からも今後の農業のあり方などで活発な意見や質問が出され、最後に、コーディネーターの工藤さんから「復興はまず自力から始まり、複幸への希望を後押しする地域や行政、団体との連携が大事だ。また、今後の農業は多様な担い手が必要だ。農業は地域の絆を形成してきた。その社会的共通資本をどうするかが課題だ」とまとめられました。
分科会で原発問題や食・農林業、環境の討議
第2日目は、4つの課題に分かれての分科会討議と、仙台市内および石巻周辺の震災被災地のフィールドワークが行われました。
第1分科会の「原発事故被害の現状と環境エネルギー政策」では、郡山市民フォーラムの柳田向一さんが「福島原発事故の現状、行政の対応、今後の課題」について報告。いまなお、事故の収束の展望も見えない中で、除染した土の保管場所もなく住民間のトラブルもおきている状況や損害賠償の不備などが述べられました。また東北大学大学院の長谷川公一教授は「今後のエネルギー政策のあり方」で、原発を進めようとする動きなどを指摘し「原発ゼロ社会」への課題を訴えました。
「食のグローバル化と地産地消」をテーマとした第2分科会は、宮城県内で生協の共同購入運動を進める「あいコープみやぎ」顧問の吉武洋子さんが「グローバリズムは弱肉強食の代名詞だ。地産地消の意味を問い、グローバル化の対抗軸としたい」と述べました。一方、多角的な農業生産を展開する「有限会社伊豆沼農産」の代表の伊藤秀雄さんは、「国民の農業を見る目は冷たい。農業農村を守れではなく、国民の食料、環境を守ることを呼びかけるべきだ」と提起しました。
第3分科会は「問題だらけのTPPと食料・農林業・農村政策」について、TPP阻止国民会議事務局長で前衆院議員の首藤信彦さんが「TPPの目的は自由貿易拡大ではなく、各国の制度のアメリカ化だ」として、「国民運動の展開と各国との連携で交渉妥結を食い止めよう」と呼びかけた。また「TPPとの対抗軸としての地域自給圏構想」について、山形県長井市で農業を営み、「TPPに反対する人々の運動」共同代表の菅野芳秀さんが「TPP反対だけでなく、循環・自給・参加・自立を条件とした対案を出していこう」と訴えました。一方、農林水産省の官房政策課企画官の青山貴律さんから、経営所得安定対策など、今後の農業政策の説明があり、参加者から活発な意見が出されました。
「水・森林を中心とした環境資源の保全・活用」を主題に第4分科会では、福島県いわき市の震災時の状況について、いわき水道労組の吉田茂夫委員長が報告。不眠不休で水道の復旧に尽くした状況や、その後の福島原発事故の影響が語られました。また、石巻専修大学客員教授の矢部三雄さんは、津波に対する海岸防災林の効果や再生について説明し、森林と人間の関わりを歴史的の紐解きながら「日本は世界有数の森林国なのに、木材自給率が低い。そのコスト低減に努めながら、森林の維持を図ることが大切」と話しました。
被災地の復興・再生の状況をフィールドワーク
「被災地の復興・再生の現状と課題」をテーマに、2コースのフィールドワークが行われました。仙台市内沿岸部では津波に襲われた地域を中心に、仮設住宅やガレキ処分場、大規模な農業施設などを視察しました。(右)
また市街地の被害が大きかった石巻市周辺では、工業港の被害や復興の状況、再開された加工団地や市場、多くの子どもたちが犠牲になった学校などを視察し、参加者は改めて被害の大きさを実感しました。(左)
全国集会でのシンポジウムや主な講演、報告などを収録した記録集が来年2月初めに作成される予定。1部1000円(送料込み)で現在、購読申し込みを受付中です。問い合わせ・申し込みは平和フォーラムまで。
2013年11月29日
第45回食とみどり、水を守る全国集会特別決議 TPPの妥結・参加に強く反対する決議
TPPの妥結・参加に強く反対する決議
環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉はいま大きな山場を迎えています。 安倍晋三首相は今年3月に、「農産物5品目など「『国益』は強い交渉力で守る」として、多くの生産者・消費者・市民の反対や懸念を無視して交渉参加を表明し、7月から交渉会合の席に着きました。しかしその後、交渉内容はほとんど明らかにされないまま、10月8日の首脳会合で「年内妥結をめざす」ことが確認されています。
これに対し、4月の衆議院・参議院両院の農林水産委員会で、①農林水産物の重要品目は関税削減・撤廃対象から除外、②重要5品目の聖域が確保できない場合は交渉からの脱退も辞さない、③食の安全・安心、食料の安定生産を損なわない、④投資家・国家訴訟(ISD)条項に合意しない、⑤国会・国民に十分な情報を提供し、幅広い国民的議論を行う、などと決議をしています。
しかし、これらの決議が遵守されるとは、到底考えられません。TPP交渉は、国会決議を無視し、国民的な議論もないまま、秘密裡に一部の政府・官僚、経済界だけで進められています。
TPPは農産物などの「関税」をはじめ、21分野という多方面にわたって交渉が行われています。そこでは、関税撤廃はもとより、各国の独自の規制や基準の撤廃や均一化など、究極の自由化を求めるものであり、各国の社会・文化的特性や国民の安全・安心、地域や環境が脅かされる恐れがあります。
これは、平和に生き、暮らしていくための「生存権」が奪われることにつながるものです。
食とみどり、水を守る全国集会は集会の名のもとに、改めてTPPの妥結・参加に強く反対して運動を進めていくことを決議します。
2013年11月29日
第45回食とみどり、水を守る全国集会参加者一同
2013年11月26日
声明/「特定秘密保護法案」の強行採決への抗議声明
2013年11月26日
「特定秘密保護法案」の強行採決への抗議声明
フォーラム平和・人権・環境
代表 福山 真劫
11月26日(火)11時15分、衆議院国家安全保障特別委員会において、与党は「特定秘密保護法案」を強行採決し、衆院本会議に上程、やみくもに可決させようとしている。
平和フォーラムは、満身の怒りを持って抗議する。
11月25日(月)に福島市で開催された公聴会においては、与野党推薦の公聴人すべてが反対を表明した。外国メディアからも、国連人権委員会特別報告者からも、この法案に懸念が示されている。国内においても、日本ペンクラブ、日本外国特派員協会、日本弁護士連合会、その他多くの団体・市民が反対をしている。
法案は曖昧で、憲法に抵触するという懸念が多くの専門家からも指摘され、慎重審議か廃案の意見が圧倒的である。与党が、一方的に審議を打ち切り、強行採決を急いだ意味は何なのか、全く理解できない。
安倍晋三政権は、有権者の声をかえりみることをしない。「情報は国民の財産」であり、知る権利は民主主義の根幹を形成する。数の力に拘泥することなく、冷静な対応が求められるのではないか。そのことが民主主義の基本である。多くの反対を押し切り、成立されようとするこの法案がもたらす社会は何か。戦争の遂行を目的に、軍機保護法や多くの自由を制約する法律の下で、物言えない社会を、憲兵と特高警察に怯えて暮らした社会ではないか。そのような社会を誰が望むだろうか。この法律が成立するなら、安倍晋三は将来の歴史に「民主主義の破壊者」として名を刻むに違いない。
平和フォーラムは、「一人ひとりの命に寄り添う政治と社会」を求めて、この間多くのとりくみを積み上げてきた。一人ひとりが安心して心豊かに暮らせる社会をつくりあげること、そのために憲法理念の実現を求めてきた。今、政府・与党は、国民の生活者としての声を封じ、意のままに社会を動かそうとしている。権力の横暴を決して許してはならない。
民主主義を破壊し、憲法を紙切れ同然にするであろう「特定秘密保護法」阻止のために、参議院の闘いを強化し、最後まで全力で闘い抜くことを表明する。
2013年11月21日
「STOP!『秘密保護法』11.21大集会」に1万人
11月21日、東京・日比谷野外音楽堂を会場に、「STOP!『秘密保護法』11.21大集会-『何が秘密?それは秘密!』それはイヤだ!」が開催され、平日にもかかわらず約1万人が参加して、特定秘密保護法案に反対の声をあげました。定員である3000人に達し、会場が締め切られた後も参加者が詰めかけ、会場の外もたくさんの人々で埋め尽くされました。この集会は、平和フォーラムも呼びかけ団体となっている、11.21集会実行委員会の主催で開催され、日本弁護士連合会(日弁連)も後援しました。集会で平和フォーラムの藤本泰成事務局長は、「わからないうちに都合の悪いものは捨ててしまえ、悪いことをしても他人に知られなければいいのだ。安倍晋三がやろうとしていることは、そういうことだ」と訴え、作家の落合恵子さんや日本弁護士連合会の秘密保全法制対策本部本部長代行の江藤洋一さんらが発言しました。 写真:今井明 動画(Ourplanet-TV)
集会アピール
10月25日、安倍自公政権が国会に提出した「特定秘密保護法案」は、市民の知る権利、取材・報道の自由、表現の自由を侵害し、市民の生命と安全を脅かす稀代の悪法です。「秘密保護法案」は直ちに廃案にすべきです。
世論は、秘密保護法に反対であり、問題法案の慎重審議を求めています。しかし、安倍自公政権は、今国会で同法案の成立をはかろうと衆議院特別委員会での採決を強行し、来週にも参議院に送ろうとしています。
この法案は、政府が安全保障上重要と考える、外交、防衛、スパイ活動の防止、テロ防止にかかわる情報を「特定秘密」とし、それをもらした公務員や、それを知ろうとアクセスしようとするジャーナリストや市民に厳罰を科し、情報を隠そうとするものです。その指定の判断が正しいかどうかをチェックする第三者機関はありません。同法案の核心は、「何が秘密!それは秘密」というところにあります。膨大な数の情報が「秘密」とされれば、何が「秘密」かわからず、市民は「見ざる、言わざる、聞かざる」という状況に追い込まれます。
秘密保護法案の危険性は、「秘密」を管理する公務員、民間人が、管理するのにふさわしい人物か否か生活、信条、思想等の「適性評価調査」が行われ、公務員の中に政府が信頼できる公務員等か否かの明確な分断と選別を持ち込み、内部告発の回路も狭め、行政の情報の徹底的な隠蔽をはかろうとしていることです。公務員の分断と厳罰で情報を市民の目から隠そうとするのが同法です。
さらにこの法案は、国権の最高機関である国会の立法権や国政調査権、裁判所の司法権、内閣の行政権という三権分立制を根本から破壊し、内閣の行政権の圧倒的優位を確保しようとするものです。市民から選ばれた国会議員が「秘密」を政府の許可がなければ知ることはできません。また司法も重大な危機に直面します。裁判で裁判官、弁護士は秘密保護法違反事件において、その「秘密」を知る困難に直面し、適正な裁判を行うことができなくなります。それは、戦前・戦中の事例で明らかです。
戦争は秘密からはじまります。事実、秘密保護法案は、安全保障会議(日本版NSC)設置法と一体のものとして提出されています。米日の軍事情報の共有とその「秘密」化、内閣の「大本営」化、安倍政権の集団的自衛権の追求というながれをみれば、同法が戦争準備法であることは疑いありません。
私たちは、憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の保障という三大原理を否定し、知る権利、メディアの取材・報道の自由、表現の自由を侵害し、市民の生命、安全を脅かし、戦争を準備する秘密保護法の制定に反対します。同法案の廃案のために全力をつくすことを宣言します。
2013年11月21日
STOP!「秘密保護法」11.21大集会参加者一同
2013年11月21日
「『労働者も秘密保護法に反対』行動」に平和フォーラムも参加
2013年11月05日
「沖縄から問う『平和、人権、いのち』-核も基地も戦争もない世界を!憲法理念の実現をめざす第50回大会(護憲大会)」開く
憲法理念の実現に向けて全国でももっとも切実なとりくみを続けてきた沖縄県の那覇市の地で、「沖縄から問う『平和、人権、いのち』-核も基地も戦争もない世界を!憲法理念の実現をめざす第50回大会(護憲大会)」正式名称に、那覇市民会館大ホールをメイン会場として11月3日から5日までの日程で開催され、3日間で全国・沖縄ののべ2000人以上が参加しました。全国47都道府県持ち回りで行われる護憲大会の、沖縄県での開催は、1979年の第16回大会、1999年の第36回大会につづいて3回目です。
今回の大会は、昨年末の総選挙の結果、第2次安倍内閣が誕生し、東アジア諸国との関係を悪化させ、偏狭なナショナリズムを煽り、軍事力増強や集団的自衛権の行使を是とし、憲法理念の破棄と平和国家の変更を露骨に意図しています。また、何を秘密するのかすら秘密にする特定秘密保護法の制定をもくろみ、戦前の物言えぬ社会の再生を狙う状況という、憲法施行66年の歴史で最大の危機を迎えているなかでの開催となりました。こうした状況を打開し、50回の節目の大会を、憲法のもっとも重要な基調を守り、「命の尊厳」を基本に決意を新たにしたとりくみをすすめるための大会でした。
→大会呼びかけ文と開催要綱 ポスター
晩秋とはいえ南国沖縄の地の暑さで汗ばむほどの気候のなか、11月3日の開会総会は、会場の那覇市民会館大ホールに全国から1,000人の参加者を得て行われました。前段のオープニングは、歌を通して沖縄を表現し平和の尊さを訴えている海勢頭豊さんのコンサート。1974年、米軍による県道104号越え実弾砲撃演習を、米軍演習場に入り、演習を止めた行動で、当時の沖縄原水禁の活動家が逮捕されました。そのときの不当逮捕抗議集会では即興で披露した支援の歌「喜瀬武原」や、1995年に製作し、全国で上映活動した沖縄戦の実相を描いた映画「GAMA月桃の花」の主題歌「月桃」、コザ暴動をテーマに「立ち上がれ」と民衆に呼びかける歌などを、海勢頭豊さんのギター、海勢頭愛さんのバイオリン、島田路沙さんのボーカルで演奏しました。
開会総会は、総合司会の小山芳彦・自治労中央執行委員と、沖縄県実行委員会の本橋亜希子さんのもとで進行。最初に、福山真劫・実行委員長の主催者あいさつ、つづいて、高良鉄美・沖縄県実行委員長の地元あいさつ、 南部美智代・連合副事務局長、吉田忠智・社会民主党党首、近藤昭一・民主党衆議院議員、辻元清美・立憲フォーラム幹事長、糸数慶子・沖縄社会大衆党委員長、奥平一夫・沖縄県議会会派県民ネット県議会議員の連帯あいさつ、また、大会への連帯メッセージが衆議院議員8人と参議院議員11人、さらに翁長雄志・那覇市長からよせられていることが報告されました。
このうち、福山実行委員長は、安倍政権がもくろむ集団的自衛権行使容認について「集団的自衛権行使合憲化とは自衛隊が米国の指令の下で戦うこと。実質的に憲法9条を投げ捨てることになる」と強調。その上で、安倍首相は国民投票で過半数の賛成を要する明文改憲ではなく、憲法解釈変更と国家安全保障基本法案制定などを通じてこれを強行しようとしているとし、「平和や憲法9条を守る勢力が結集しなければ絶対に勝てない。自衛隊を米軍の弾よけにさせない、辺野古に米軍の基地を造らせない、格差社会、原発再稼働を許さないよう、何をすべきか見定めよう」とあいさつ。琉球大学法科大学院教授の高良県実行委員長は、大会が掲げる「平和、人権、いのち」に触れ「まさに沖縄が求めていたもの。この3つを合わせるとたった一言、平和的生存権になる。これを求めて私たちは平和憲法の下に復帰した」と述べた上で、42年間を経て「憲法を動かさせない法律」ばかりができる中、「何のために復帰したのか分からない出来事がたくさん起きている。沖縄は憲法の理念から最も遠いところにあるが、弁護士を目指す学生たちに理念を大事にすることを問うてきた。護憲大会が沖縄で開催されることに感謝したい」とし、「憲法を生かす、よみがえらせる大会にしよう」と呼びかけました。次々登壇した国会議員からは、集団的自衛権行使の問題とともに、特定秘密保護法案について相次いで批判し、「憲法の精神をないがしろにする動きを止めよう」と訴えました。吉田党首は「沖縄ほど憲法理念がないがしろにされている地域はない。あらためて憲法の意義、理念をかみしめ、この沖縄の地から憲法を守り生かす闘いを進めよう」、特定秘密保護法案などに言及して「国会を取り巻く世論の状況を、(危険な)流れをくい止めるための動きをつくっていかなければならない」と決意表明。糸数委員長は、辺野古新基地建設阻止の闘いに関連して、来年1月の名護市長選で「(建設反対の)稲嶺市長の再選を勝ち取っていきたい」と訴えるとともに、仲井真知事の姿勢について「(政府の)埋め立て申請に対してはっきりノーという答えを出していただきたい」と述べました。また、奥平県議会議員は、辺野古・高江での新基地建設反対の闘いの報告を行いました。
これらを受けて、藤本泰成実行委員会事務局長が基調提案。秘密保護法案などについて「社会全体が戦争遂行を目的とした戦前のモノ言えぬ暗い社会を明確に想起させるもの」と指摘。さらに、1日から陸海空3自衛隊約3・4万人を動員して始まった、沖大東島を舞台に離島奪還訓練などを行なう統合演習に敗れ、尖閣問題を意識したものであることは明らかであり、いたずらに軍事的緊張を高めるものだと強く批判し、「私たちは闘うことで憲法を改憲派から奪い取らなければならない」とし、最後に「平和憲法への復帰を求めた沖縄は、復帰から40年以上たっても基地の重圧の下に置かれている。憲法理念の実現に向けて切実な取り組みをしてきた沖縄から市民革命を実現しよう」と改憲阻止を呼びかけました。
→藤本事務局長の大会基調提案 →大会基調全文
開会総会に引き続いて開かれた「沖縄から問う『平和、人権、いのち』-憲法と沖縄」と題したシンポジウムは、は、沖縄県実行委員長を務める高良鉄美・琉球大学法科大学院教授をコーディネータに、島袋純・琉球大学教授、与那嶺路代・琉球新報記者、報道写真家で元琉球新報編集部写真部編集委員の國吉和夫さんの3人をパネリストとして、憲法や米軍基地の問題について討論しました。
國吉さんは沖縄の復帰前から現在までの様子を写真で紹介し「40年余り基地取材を続けているが、基地機能や日米同盟はかえって強化されている。米軍が沖縄を占領している状況は復帰から42年が経った今も変わらない」と指摘しました。
与那嶺記者は2010年から約1年間、特派員として米ワシントンで取材を重ねた経験を振り返り、日米政府の姿塾の違いや問題点を指摘するとともに、「米国にも沖縄の基地問題に強い関心を寄せ、合理的・良心的な考えを持つ多くの識者や市民がいることを知った」と強調しました。
島袋教授は、米国が国内と国外に二重基準を持ちへ日本国憲法が日米同盟の下位に置かれている状況、沖縄が様々な負担を負わされてきた歴史と現状について指摘し、沖縄の復帰について「天賦人権に基づいた憲法の支配が行われると思っていたが、復帰前と変わらず米軍の基地使用を国が保証してきた」とし、「日本は戦後一貫して米軍の特権が上にあり、憲法が下に置かれている。日本の統治に対する諦めから、主権を取り戻して自分たちの政府をつくろうという動きが沖縄で強まっている」と憲法や立憲主義が否定されている状況を批判。「人民の自己決定権を確立し、安全保障や外交も地元が拒否できる権限を主張してもいいのでは」と提起しました。
第2日の11月4日は、午前から「非核・平和・安全保障-基地のない沖縄を」、「地球環境-脱原発に向けて」、「歴史認識と戦後補償」、「教育と子どもの権利」、「人権確立」、「地方の自立・市民政治」、「憲法」の7分科会、「歴史認識と沖縄戦ツアー(南部戦跡を中心)」と「日米安保と沖縄-米軍基地から見えるものツアー(普天間・嘉手納・辺野古)」の2つのコースのフィールドワーク、午後には「男女共同参画-女性と人権」、「オスプレイ沖縄配備撤回と低空飛行訓練反対の全国運動の構築を!」、「映画『ひまわり』上映会」の3つの「ひろば」、特別分科会「運動交流」が行われました。
このうち、「非核・平和・安全保障」分科会では、東京新聞論説兼編集委員の半田滋さんが「安倍首相は、法案や国家安全保障会議(NSC)で、一握りの為政者が国の安全保障や外交問題を左右できる形を作ろうとしている」と問題提起。特定秘密保護法案とNSCが、2006年からの第1次安倍内閣で準備されていた経緯を説明。「集団的自衛権行使や海外での武力行使をしやすくするための総仕上げをしている」としました。
「憲法」の分科会では、政治外交問題について提言するシンクタンク「新外交イニシアティブ」インターンの神谷めぐみさんが、特定秘密保護法案の憲法上の問題点の数々を指摘しました。「知る権利」や「報道・取材の自由」について「罰則で取材対象者を萎縮させる。メディア活動が制限されれば、国民は正しい情報に基づく判断ができなくなる」と強調。「情報の自由市場の崩壊は、民主主義や立憲主義の弱体化につながる」としました。特定秘密を取り扱う公務員を対象にした適性評価についても「個人の信用や飲酒の節度、家族にも調査が及ぶ。プライバシー侵害だ」と問題視。また、高良鉄美・琉大法科大学院教授は、「違憲が疑われても、具体的な事件や裁判にならないと裁判所は判断しない」と指摘。神谷さんは、住民運動、労働運動について「特定秘密の指定範囲があいまいで、際限なく広がる可能性がある。政府から圧力をかけられる恐れがある」と話しました。
最終日の閉会総会は、会場を琉球新報ホールに移して約750人の参加者のもと行われました。最初に、「震災・原発事故被災地からの訴えととりくみ」について福島県平和フォーラム代表の五十嵐史郎さん、「憲法をめぐるとりくみ」について北海道平和運動フォーラム事務局長の長田秀樹さん、オスプレイを使った防災訓練が台風で中止となったものの「オスプレイ低空飛行訓練に対するとりくみ」について高知県平和運動センター議長の山崎秀一さん、「オスプレイ阻止をはじめとした沖縄のとりくみ」について沖縄平和運動センター議長の山城博治さんの4人の特別提起を受けました。このうち、五十嵐代表は、現状報告とともに2014年3月8日の「原発のない福島を!県民大集会」への全国からの参加を呼びかけ、山城議長は、オスプレイの訓練に全国で反対することが沖縄への連帯にもつながることを訴えました。
次に、「大会のまとめ」を藤本事務局長が提案。大会議論の詳細に触れるとともに、岐阜で開催する第51回大会まで1年間、全力で安倍内閣の憲法無視の政治を許さず、憲法理念の実現をめざそうと訴えました。
→藤本事務局長の大会のまとめ
大会は、平和・護憲運動の功労者を表彰する「遠藤三郎賞」として、弁護士で宮城県護憲平和センター理事長の清藤恭雄さん、沖縄県議会議員で沖縄平和運動センター顧問(前議長)の二人を表彰しました。その後、「憲法改悪を断じて阻止する」とした大会アピールを比嘉京子沖縄県副実行委員長が読み上げて提案、参加者全体の拍手で採択しました。つづいて、来年の開催地岐阜の大矢浩・フォーラム岐阜会長から決意が述べられ、最後に沖縄県実行委員会の高良鉄美実行委員長が平和の礎である憲法をさざ波のように全国に広げようと訴え、「ちばらなや~! みるくゆまでぃん(頑張りましょう!平和な世界ができるまで)」と締めくくった閉会あいさつで3日間の日程を終了しました。
→大会アピール
2013年11月05日
沖縄から問う「平和、人権、いのち」-核も基地も戦争もない世界を!憲法理念の実現をめざす第50回大会(護憲大会)アピール
憲法施行66年の歴史で最大の危機を迎えているなか、私たちは、憲法理念の実現に向けて全国でももっとも切実なとりくみを続けてきた沖縄県の那覇市に集い、50回目の節目の大会を開催し、憲法のもっとも重要な基調を守るために決意を新たにしました。
1945年の敗戦まで、長きにわたって日本は、アジア・太平洋地域に対し植民地支配と侵略戦争によって、多大な被害をもたらしました。国内においても沖縄での地上戦をはじめ広島・長崎での原爆被爆や各地の空襲などで多数の犠牲者を生み出しました。私たちはこの歴史をけっして忘れてはなりません。その反省のもとに、日本国憲法は、前文で「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのない」ように、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意」しました。
私たちは、侵略と支配の歴史から、平和国家をめざし、以来68年にわたって他国民に銃を向けることなく、平和を愛する諸国民の信頼を醸成してきました。
しかし、昨年末誕生した第2次安倍内閣は、東アジア諸国との関係を悪化させ、偏狭なナショナリズムを煽り、軍事力増強や集団的自衛権の行使を是とし、憲法理念の破棄と平和国家の変更を意図しています。また、何を秘密するのかすら秘密にする特定秘密保護法の制定をもくろみ、戦前の物言えぬ社会の再生を狙っています。こうした動きを、けっして許してはなりません。
今年5月に示された、国連社会権規約委員会および拷問禁止委員会の総括所見では、日本社会の人権状況に対する懸念や勧告が示されましたが、日本政府は「法的拘束力はない」と一顧だにしない姿勢を示しています。アジア諸国をはじめ国際社会からも受け入れられないアジア蔑視の差別的な歴史観とはびこるヘイトスピーチに象徴される排外主義を払拭し、私たちは、多民族・多文化共生社会をめざし人権確立のとりくみをすすめなくてはなりません。アジアに生きる私たちは、そのことを基本に政府の責任による謝罪・反省・補償からなる「過去の清算」を実現し、アジア諸国との新しい友好と協力の関係を構築し、地域統合を基本に共通の安全保障によるアジアの平和実現へ努力を重ねていかなくてはなりません。
2011年の東日本大震災、福島原発事故以降、私たちは「一人ひとりの命に寄り添う政治と社会」を求めてとりくみを展開してきました。沖縄の基地問題、福島原発事故は、国策の中で引き起こされる人権侵害、一人ひとりの命をないがしろにする国家権力の犯罪と言ってよいものです。沖縄は、戦時には本土決戦のための捨て石とされ、戦後は米国の東アジア政策の橋頭堡とされ、長きにわたって米軍政下に置かれてきました。復帰後も、日米安保体制の中で米軍基地の74%を押しつけられてきました。そしていま、基地撤去と平和な生活を求める声は、全県にこだましています。
沖縄から、今この時間から、東アジアや世界、日本各地の平和・人権・環境の運動をすすめる人々、「立憲フォーラム」をはじめ国会院内リベラル勢力と連帯する大きなネットワークを築きましょう。立憲主義を貫き、集団的自衛権行使や96条などの憲法改悪を断じて阻止しましょう。
「命の尊厳」を基本に、将来の明るい社会を想像し、心豊かな社会の創造へ邁進することを誓い、50回の沖縄大会のアピールとします。
2013年11月03日
沖縄から問う「平和、人権、いのち」-核も基地も戦争もない世界を!憲法理念の実現をめざす第50回大会基調 藤本事務局長提案