3月, 2009 | 平和フォーラム
2009年03月29日
緊急討論集会「外国籍住民と入管法改定」
政府は3月に入って住基法改定案、外登法を廃止して「新たな在留管理制度」を導入する入管法改定案と入管特例法改定案を、国会に提出しました。この一連の改定案は、外国籍住民をこれまで以上に管理と監視の下に置くこと。難民申請者の多くと非正規滞在者は、「外国人台帳」からも排除されること。朝鮮籍住民が海外渡航し再入国する場合の保障がないこと。など、さまざまな人権侵害の危険性が指摘されていますが、法務省は当事者の声も聞かずに上程したものです。これに反対する当事者団体・支援の市民団体は1月に「『管理』ではなく『共生』のための制度を!NGO共同声明」を明らかにし、とりくみを進めています。
3月29日に韓国YMCAで開かれた緊急討論集会には約100人が参加。まずドキュメント「ブラジル人コミュニティ・2008年12月~09年2月」が上映された後、「在日ブラジル人の子どもたちは今」と題して、岐阜、群馬、神奈川で子どもたちの学校もたち行かず行けもしない状況などが報告されました。つづいて、「入管法・入管特例法・住基法改定案を検証する」として、自由人権協会の旗手明さんが「改定法案」の焦点について整理した上で、「排除と管理の制度ではなく共生のための制度を!」をテーマにパネルディスカッションを行いました。旗手さんに加えて、反住基ネット連絡会の西邑亨さんが「外国人住民票」の問題点、弁護士の難波満さんが難民申請者・非正規帯在者と人権について提起、参加した在日コリアンなど当事者をはじめ、活発な提起と意見交換が行われました。司会の佐藤信行さん(RAIK)さんから、日本人に外国人を監視させる制度と集約的に指摘された後、4月に衆議院法務委員会での審議入りとなることを見据えて、院内集会や国会議員などへの要請行動を行うことを確認しました。
2009年03月24日
日朝両政府の自制と「ピョンヤン宣言」に基づく関係回復への努力を求める声明
フォーラム平和・人権・環境事務局長 福 山 真 劫
朝鮮民主主義人民共和国(以下北朝鮮)は、試験通信衛星「光明星2号」の打ち上げのために、国際宇宙条約に加入し、関係国際機構に対して航空機・船舶の安全のための情報を発信したと伝えられました。中国・ロシアを始め各国は、北朝鮮政府に対して強く自制を促しています。北朝鮮政府の意図とは別に、打ち上げの強行は、東北アジアにおける緊張を高めることは必至であり、今後の 6カ国協議や日朝協議に対しても前向きの影響を与えるとは思えません。そうした立場から、平和フォーラムは、北朝鮮政府に対し、世界各国の声に耳を傾け、国際協調の視点に立って、今回のロケット発射を中止するよう強く要請します。
日本においては、連日のように「日本上空の通過は許さない、打ち落とすべき、戦争も辞さない」など、日本の政府首脳から強硬な主張が行われています。日本海には迎撃ミサイルSM3搭載艦の派遣を、秋田・岩手県内に地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)の配備を検討するなど、「北朝鮮脅威」の世論を煽っています。神奈川県ではこのような情勢を受けて、安全防災局危機管理対策課長名で「北朝鮮ミサイル発射への対応態勢について」なる文書が発出され、新聞報道の情報を鵜呑みにし、緊急体制を全県組織に要請する事態が引き起こされています。朝鮮籍の子どもたちも通う県立高校にも、同様の趣旨の文書が配布され、子どもたちの心情に配慮しない状況が招来しています。経済制裁などを基本にした日本政府の北朝鮮への敵視政策とも思える外交姿勢は、強制連行などで、しかたなく日本を生きる場にしてきた朝鮮半島出身の仲間やその子どもたちに対する言われなき差別を助長しています。2002年の「日朝ピョンヤン宣言」は、日朝間の国交正常化に向けてのスタートでした。過去の歴史的過ちを真摯に認め、その地平から相互理解と信頼をつくり出そうというのが、「日朝ピョンヤン宣言」で確認した姿勢であると確信します。しかし、この間の日朝関係は、相互の真摯な会話も、交流もないままに、冷戦状態とも思える状況が続いています。正常化への歩みは停滞したまま、相互不信がより増大しています。
平和フォーラムは、日本政府に対して、正常な日朝関係をつくり出すために、今回の事態に対しては慎重を期し、国民の不安と不信を煽るような言動を強く自制することを要請します。自民党の拉致問題対策特命委員会は、4月13日に期限切れとなる制裁措置の延長問題に対して、輸出の全面禁止など、より強化するよう政府に求めるとしていますが、日朝間にある多くの政治的課題は、このような北朝鮮敵視ともとれる制裁措置で解決することはありません。平和フォーラムは、北朝鮮の国民生活に大きな影響を与えてきた経済制裁措置を即時に中止し、話し合いのテーブルをつくる努力を日本政府が行うことも重ねて要請します。
平和フォーラムは、東北アジアの非核と平和の醸成のために、これまでも制裁措置の発動に反対し、北朝鮮政府および朝鮮半島出身の多くの仲間と共通理解を求めてとりくんできました。日本国内において、朝鮮学園を支援する会などの活動や繰り返される差別と闘う仲間の連帯も広がりつつあります。 私たちは、今後も日朝国交正常化に向けて、取り組みを強化する必要があることを確認し、現在の不幸な関係を打開するために、過去の歴史の過ちの反省に立って、相互に信頼できる関係の構築に、いっそうの努力をつくします。
2009年03月20日
イラク・アフガン・パレスチナに平和を WORLD PEACE NOW 3.20
住民に多大な犠牲と被害をもたらしたイラク戦争が開戦して6年となる3月20日、イラクでは米軍撤退の動きが具体化する一方、 アフガンやパレスチナでつづく戦火。これに対して「イラク・アフガン・パレスチナに平和をWORLD PEACE NOW 3.20 武力で平和はつくれない」が、 東京・坂本町公園で行われ、約1000人が参加し、集会と日比谷公園までのデモを行いました。 集会は、学生時代に聞いたイラクの子どもたちの話が忘れられず、支援のボランティアに関わるようになったJlM-NET(日本イラク医療支援ネットワーク)スタッフが 大嶋愛さんの歌「人間をかえせ」(アメージップグレイスに峠三吉さんの詩をつけたもの)と 「青い空と白い鳩」(イラクの女の子が書いた詩をもとにしたもの)で開会。 パレスチナについて、ガザに光を!実行委員会から、パレスチナ子どものキャンペーン大河内秀人さんと JVC(日本国際ポランティアセンター・パレスチナ事業担当)の藤屋リカさん、 現地ガザを取材してきたフリージャーナリスト志葉玲さん。 アフガンについて、JVC(日本国際ボランティアセンター・アフガニスタン現地代表)の長谷部貴俊さん、 日本語で詩作しながら平和を訴える詩人のアーサー・ピナードさん、 横須賀原子力空母反対運動について小原慎一三浦半島地区労事務局長がスピーチを行いました。
→WORLD PEACE NOW
→写真リンク(ムキンポさん)
→Youtube(大嶋愛さん)
→Youtube(志葉玲さん)
2009年03月19日
原爆症認定広島第2次集団訴訟 広島地裁判決に関するアピール
2009年03月13日
「在留カードに異議あり!」NGO実行委員会/「入管法改悪に反対する」NGO緊急声明
日本政府は、3月3日「住民基本台帳法」(住基法)改定案を、また3月6 日「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改定案と「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法」(入管特例法 )改定案を閣議決定し、今国会に各法案を上程した。外国籍住民やマイノリティの人権保障に取り組んでいる私たちNGOは、国会審議において以下のことを求めたい。
- 国会は、審議にあたって、上記3法の改定案の当事者となる外国籍住民の意見を広く聴取する場を設けること。
- 国会は、外国籍住民に対する徹底した管理強化を図る「入管法改定案」において、外国籍住民のプライバシーおよび個人情報保護の要請に反し、また日本国籍者にはとうてい許されないデータマッチングを可能とする点を含め、多岐にわたる問題点を明らかにし、入管法改定案を廃案とすること(とりわけ、改定案第19条の4、第19条の16~18、第22条の4第7号、第23条、第61条の 8の2、第71条の2~3、第75条の2~3については、慎重な審議が望まれる)。
- 国会は、「入管特例法」の改定にあたって、その対象者である旧植民地出身者とその子孫の歴史的過程および在日二世・三世・四世が大半を占める現状を踏まえて、その地位と権利を明示すべきである。少なくとも、特別永住者証明書の7年ごとの更新を義務づける改定案第12条、同証明書の受領・携帯・提示義務を定める第17条および刑事罰条項を削除すること。
- 国会は、「住基法改定案」において、住民基本台帳が住民の基本的な情報を正確に把握し住民行政の基礎とするための制度であることに適合するように、入管法改定案による「新たな在留管理制度」との連動を排除すること(とりわけ、住基法改定案第30条の50、第39条については、慎重な審議が望まれる )。また「外国人住民票」に「国籍」以外の身分事項(在留資格、在留期間等 )を記載することは、市町村による行政サービスのために必要ではなく、住基法改定案から削除すること。
- 国会は、すべての在日外国人における、「住民」としての地位と権利、国際人権諸条約が定める「民族的マイノリティ」としての地位と権利を確立するため、「外国人・民族的少数者のための人権基本法」を制定すること。
2009年03月13日
原爆症認定訴訟、東京高裁控訴審判決についての3団体アピール
日本労働組合総連合会/原水爆禁止国民会議/核兵器禁止平和建設国民会議
- 3月12日、東京高等裁判所は、原爆症認定訴訟控訴審に関し、未認定原告2人について、認定処分取り消しを命じた1審・千葉地裁判決を支持し、国の控訴を棄却した。集団訴訟では2006年5月の大阪地裁判決以降、地裁、高裁合わせて国の14連続敗訴となった。
- 今回は、昨年4月に国が策定した新基準の疾病の対象外となる「肝機能障害」について、既に全国の地裁で21人が放射線起因性が認められ原告が勝訴しているが、高裁段階で初めて原爆症と認められたものである。
- 国は、従来の被爆線量を推計した方式による放射線起因性によるガン、白血病など5疾病を「積極認定」の対象としてきたが、判決では「放射線がごく微量でも確率的には障害が起こり得ることを直視すべきだ」とし、肝機能障害なども昨年4月から実施された新基準に明記されてなくても準じて考えることができると指摘した。
- 国は、今回の控訴審判決を真摯に受け止め、今次裁判の上告を断念するとともに、他の控訴審での控訴も取り下げ、認定方針の再度の見直しを直ちに行うべきである。その上で、原爆症認定訴訟の全面解決をはかることを強く求める。
連合・原水禁・核禁会議は、原告、関係者のご努力に敬意を表し、被爆者援護施策の強化とともに、世界の核兵器廃絶をめざし、力を合わせて取り組むことを決意しアピールとする。
以上
2009年03月12日
海上自衛隊のソマリア沖海賊対策への派遣決定に対する申し入れ
フォーラム平和・人権・環境事務局長 福 山 真 劫
防衛大臣 浜 田 靖 一 様
1月27日、麻生太郎首相は、浜田靖一防衛大臣に対して、海上警備行動発令を前提に海上自衛隊派遣準備を急ぐよう指示しました。私たちは、この派遣に対して反対の立場を明確にしてきましたが、防衛省は決定に従い、来る3月14日にも海上自衛隊呉基地所属の護衛艦「さざなみ」「さみだれ」の2隻に、SH60K哨戒ヘリコプター2機、小型高速艇2艇を積載して、ソマリア沖に向けて出航する予定と報道されています。
統一政府のない分裂・混乱したソマリア国家は、アフリカの最貧国に位置付けられ、若者は武装組織の民兵として働くしかない状況にあります。多くの理由からソマリア国民は、海賊としての収奪行為を余儀なくされていると考えられます。このような状況下では、海上自衛隊のソマリア沖派遣も効果が疑問視されます。平和フォーラムは、日本政府が、ソマリアの国民生活への経済支援および統一政府の樹立とソマリア国民の自治の回復のための努力を、直ちに実行することを求めます。ソマリアの海賊を武力で押さえるのではなく、その背景となっているソマリアの悲劇を解決することが、憲法の要請する国際貢献であり、実効ある海賊対策であると考えます。
自衛隊法82条に規定する海上警備行動は、警察活動として日本国沿岸の警備行動を想定するもので、ソマリア沖での海上警備行動は、平和主義を規定した日本国憲法及びその下に規定された専守防衛を基本とする自衛隊法の理念を、大きく越えるものです。武器使用についても、あらゆる状況が想定される中で、正当防衛・緊急避難との制限を超えることが懸念され、戦後初めての「任務遂行のための武器使用」となりかねません。ソマリアの首都モガディシオでは、ソマリア暫定政府を支援するアフリカ連合ソマリア基地に対する自爆テロも発生し、反政府活動が活発化しています。そのような情勢の中では、海賊と反政府組織の区別もつきづらく、憲法の禁ずる「武力行使」をもまねきかねません。海賊との戦闘行為に発展した場合は、人質を殺傷する懸念もあります。これまでのソマリアの海賊は、捕縛した船員に危害を加えたことはありませんが、戦闘行為に発展するなどした場合は、捕縛された船員に危害が及ぶことも想定されます。
平和フォーラムは、各国の諸行動に負けじと同じ地平に立って行動するのではなく、日本国憲法およびソマリア国民が要請するところの、武力によらない平和な国際貢献を模索されることを強く要請し、防衛省に対し以下を申し入れます。
一、海上自衛隊のソマリア沖派遣を再考し、中止すること。
一、海上自衛隊の派遣が必至な場合においても、武器使用については慎重を期し、海賊との戦闘行為はあくまでも回避すること。
一、海上自衛隊の派遣については、長期化及び常態化させないこと。
2009年03月10日
歴史にのこる公正な判決を!東京大空襲訴訟2周年 人間回復めざす大集会アピール
今日は3月10日です。64年前の今日、午前0時8分から2時間半にわたって、米軍のB29爆撃機が325機、東京の下町に無数の焼夷弾を落とし、火焔地獄をつくりだし、死者は10万人、被災者は100万人にのぼりました。
この日からはじまった無差別皆殺し爆撃で、計130回にも及ぶ米軍機の東京空襲によって出た被害は、死者約11万5000人以上、負傷者15万人、損害を受けた家屋約85万戸、羅災者約310万人と推定されます。その実数、実態は未だ不明です。
市民が酷く殺されました。肉親を葬ることさえできなかった遺族、学童疎開中に家族が殺され家が焼かれて戦争孤児になった子ども、負傷して傷害者となった人、生き残った人びとの人生も大きく狂わされました。いまも物心両面にわたって癒えぬ深い傷と悲しみが続いています。
戦後60余年、空襲死者の実数や実態、名前も不明であり、追跡調査もされず、国立の戦災追悼碑も資料館もなく、遺族や被災者への補償・援護は一切ありません。一方、国は旧軍人と遺族、軍属には年8000億円も援護しています。国の起こした戦争で殺されたにもかかわらず、人間としての人格も生活も国から棄てられてしまったのです。
戦後62年目の3月10日を前に、2007年3月9日、東京空襲による被害者112名が、空襲死者を追悼し戦争被災者の人権を守るために、国を相手に「謝罪と補償」を求めて、東京地裁に集団提訴しました。次いで2008年3月10日に、20名が第2次提訴しました。原告たちの「戦後はまだ終わっていません」。孤児となって差別されてきた人、傷害を負った姉を今も介護し続ける人、最高齢90歳・平均年齢76歳の原告たちは、60年余りの長い苦難の歳月を生き抜き、抱え込んで来た思いを法廷で語りました。裁判の結果を待たずに二人の原告が亡くなりました。国は、「戦争被害ないし戦争損害は、国の存亡にかかわる非常事態のもとでは、国民のひとしく受忍しなければならないところ」という最高裁の判例を引用して、原告の主張に答弁せず、拒否しています云これほど冷たい仕打ちがあるでしょうか。
東京大空襲訴訟の東京地裁判決は、この夏以降と予想されています。
私たちの国が、太平洋戦争の戦後処理をきちんとせず、歴史を歪め戦争責任をあいまいにしたまま、「戦争をする国」になることは断じて許せません。いま、政府・与党は、ソマリア沖の海賊対策を口実にした海上自衛隊派兵と新法案を準備して、解釈改憲を先行させようとしています。また憲法九条を改悪するための国民投票法が来年5月には施行されます。
こうしたとき、今日、私たちは、「歴史にのこる公正な判決を」求めて、集いました。空襲死者を追悼し、戦争被災者の人権を守るために、政府に太平洋戦争の後始末をきちんとさせる判決を求めていこうではありませんか。
そのために、a.100万筆をめざす署名のとりくみをいっそうすすめましょう。b.裁判のたたかいをすすめる活動を保障するための募金のとりくみをつよめましょう。c.「支援する会」の会員をさらにひろげましょう。
2009年03月09日
世界社会フォーラム2009-ブラジル・ベレン参加報告会