2月, 2008 | 平和フォーラム
2008年02月29日
被災54周年ビキニデー アピール
被災54周年ビキニデー集会参加者一同
ビキニ被災から54年。私たちは被災した第五福竜丸の母港のあった静岡に集い、あらためて核の被害について認識を新たにし、核廃絶・脱原発について確認しました。
ヒロシマ・ナガサキへの原爆投下やビキニでの核実験以降にも核兵器は増え続け、いまでも2万7000発に及ぶ核兵器が米ロをはじめ核大国を中心に存在し、いまだ人類は核の脅威から解放されていません。さらに世界は、米印原子力協力によって核不拡散体制そのものが核保有国の横暴によって崩壊されようとしています。あらためて、2000年のNPT再検討会議で核兵器国が約束した「核兵器廃絶にむけた明確な約束」を具体的に履行させることが必要です。核不拡散と具体的な核軍縮を迫る運動が私たちにも求められています。2010年に開催されるNPT再検討会議に向かって、停滞している核軍縮の動きに拍車をかけることが求められており、国内外でのあらたなる核兵器廃絶にむけた運動を強化していかなければなりません。
また、核被害の問題にも目を向けなければなりません。ヒロシマ・ナガサキ、ビキニでは多くのヒバクシャが生み出されましたが、さらに世界は核実験や原発事故など様々な核開発の過程によって多くのヒバクシャが生み出されました。チェルノブイリ原発事故、JCO臨界事故など忘れてはなりません。核被害者を二度と再びつくってはならないことは、ビキニで被災し・亡くなった久保山愛吉さんの想いではなかったでしょうか。
昨年7月に発生した中越沖地震は、柏崎刈羽原発を直撃し、幸い大事故にはいたりませんでしたが、震災と原発災害がかさなる「原発震災」の可能性が現実的なものであることがわかりました。この静岡の浜岡原発は、巨大地震が予想される東海地震の想定震源域の真ん中に建ち、原発震災が心配されています。原子炉の事故や破壊から多くの核被害が生み出されることは、なんとしても避けなければなりません。地震の直撃を受ける可能性の高い原発の運転停止は、命を守るために喫緊の課題です。
核被害者をつくらないことともに、核被害者への援護も重要な課題です。ヒロシマ・ナガサキの原爆被爆者の原爆症認定問題や在外被爆者問題、被爆二世・三世問題など残された課題の解決は、年々高齢化する被爆者であるからこそ、緊急の課題です。さらに核実験、原発事故などさまざまな核開発過程で生み出された核被害者への援護と連帯は、被爆国の私たちにとっての責務でもあります。核兵器廃絶ともに再びヒバクシャをつくらない決意をあらためて確認しましょう。
戦後63年が過ぎ、自衛隊の海外派兵、有事法制の制定、教育基本法の改悪、憲法9条の改憲への動きなど、平和と民主主義が危機に瀕していますが、昨年の参議院での与野党逆転など、あらたな動きがでてきました。好戦的な姿勢を転換させていくべきときでもあります。ビキニ被災54周年にあたり、反戦平和をあらためて確認し、具体的な行動をそれぞれの地域・職場からつくりあげていきましょう。
2008年02月29日
沖縄少女暴行事件、イージス艦による漁船衝突事件に抗議し、住民の生命と安全を守るための特別決議
被災54周年ビキニデー集会参加者一同
2月11日、沖縄本島において、またも米兵による少女暴行事件が発生した。米兵による凶悪事件は、米軍基地のある全ての地域で絶えることがない。特に、全国の米軍基地の75%を抱える沖縄では、米兵の犯罪は日常と育っても過言ではない。いまや米軍基地は、爆音などの騒音被害や米兵による日常的な交通事故や凶悪犯罪と、周辺住民の安全をそして生命と人権を脅かす存在以外の何者でもないといえる。犯罪が起きるたびに繰り返される「綱紀粛正」「再発防止」の声を、私たちは聞き飽きている。繰り返される事件は、米軍組織の体質的な問題ではないのか。沖縄県民の、そして日本国民の多くが「問題の解決は、基地の撤去しかない」と考えている。平和フォーラム・原水禁は、日米地位協定の改正は当然のこととして、米軍基地の「縮小・撤去」を求めてきた。口先だけの「再発防止」では、決して許されない。
2月19日早朝、イージス艦「あたご」が千葉県新勝浦市漁協所属の漁船「清徳丸」と衝突する事件が発生した。船体を二分された「清徳丸」の乗組員2人は、未だ発見されていない。イージス艦「あたご」の回避義務は明らかであり、船舶がひしめく海域にあって自動操舵であったことは常識では考えられず、「避けるべきは漁船側」との倣慢な姿勢が見て取れる。防衛省は守屋事務次官の汚職事件で国民の信頼を大きく裏切った。信頼の回復が直近の課題ではなかったか。しかし、事件後も、捜査当局である海上保安庁に何ら了解を得ず、「あたご」の航海士をヘリコプターで防衛省に呼び寄せて事情聴取を行うなど、証拠隠滅、捜査妨害ともいえる行為を、防衛大臣の同席のもとで行っていた。言語道断である。また、発表される情報も二転三転し、都合の悪い情報は隠蔽しようとする防衛省・自衛隊の組織的体質が現れている。またも国民の信頼を大きく裏切るこのような行為は決して許されない。
連続して起きた米軍そして自衛隊による事件は、偶然ではない。日本を守る責務を担うとされる両組織が、実は日本に住む私たちの生命を脅かす存在であるいうことを明確に証明した。少女暴行事件が起きた沖縄は、63年前住民を巻き込んだ戦争を経験した。「軍隊は沖縄県民の命を守らない!」このことは、沖縄の戦火から学んだ事実である。
平和フォーラム、原水禁は、「武力で平和はつくれない」を基本に、恒久平和の実現を掲げる日本国憲法の理念を追求し、全国の仲間と取り組みを進めてきた。平和を求める真摯な思いを踏みにじり、憲法の理念をないがしろにするこのような事件を、私たちは決して許さない。武力を行使して自らの安全を求めようとする「軍隊」の本質が、このような事件を引き起こしている。このことの本質的な解決は、憲法理念を基本に、シビリアン・コントロールの強化、自衛隊の縮小、米軍基地の縮小・撤去、日米安保条約の平和条約化を実現することにしかない。
私たちは、平和を希求する世界の仲間とともに、このような事件の再発を許さず、平和で心豊かな社会の実現に向けてさらに取り組みを強化することを確認する。
2008年02月29日
被災54周年ビキニデー集会(静岡勤労者総合会館)
2月29日、原水禁は東海ブロック、静岡県民会議とともに、被災54周年3・1ビキニ・デー全国集会を静岡市の勤労者総合会館で開催しました。 集会には約300名が参加しました。鈴井孝雄静岡県平和・国民運動センター会長の歓迎あいさつ、福山真劫原水禁事務局長の主催者あいさつにつづいて、 弁護士の海渡雄一さんが「原発列島を襲う大規模地震-中越沖地震、浜岡、六ヶ所」と題する講演と提起。 これを受けて、新潟原水禁の中村進事務局長、青森県反核実行委員会の逢坂重良事務局長、原子力空母横須賀母港化問題で三浦半島地区労の小原慎一事務局長 から報告が行われました。 →アピール →緊急特別決議
2008年02月25日
日豪FTA/EPA交渉及びWTO農業交渉に関する決議
日豪FTA交渉 農産物輸入関税引き下げ反対!生産者・消費者緊急行動
日本農業は、安全・安心で良質な食料の安定供給をはじめ、国土や環境の保全、地域経済の活性化など多面的機能の発揮に重要な役割を果たしている。しかし、日本の食料自給率はついに39%まで低下し、国民の間にも不安が拡がっている。こうしたなかで、農畜産物の貿易ルールを決めるにWTOの農業交渉や日豪FTA/EPA交渉が進められており、国内の農業や食料に大きな影響を与えることが危惧されている。
日豪FTA/EPA交渉は、本日から第4回交渉が東京で開かれ、農産物を含む具体的な関税削減が議論される見通しである。日本の農業の重要品目である米や小麦、乳製品、牛肉、砂糖などの関税が撤廃されれば、農業や関連産業に多大な打撃を与えることは必至である。
一方、WTO農業交渉は、同交渉のファルコナー議長が関税や補助金の削減ルールなどを定めるモダリティー案の改訂版を2月8日に示した。しかし、重要品目の数や関税引き下げ率などは依然として日本など輸入国に厳しい内容で、とうてい受け入れられない。
このため私たちは、日豪FTA/EPA交渉およびWTO農業交渉にあたって、各国の食料主権を尊重し、家族農業を基本とする環境保全的農業の発展を含む農業基盤の維持拡大によって食料自給率向上と食料安全保障の確保をはかるため、下記事項の実現を強く求めて運動を展開する。
記
- 日豪FTA/EPA交渉にあたっては、米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの重要品目を関税撤廃の対象から除外すること。万一、これが受け入れられない場合は、衆参農林水産委員会決議を踏まえ、交渉を中断するなど毅然たる態度で交渉にあたること。
- WTO農業交渉にあたっては、食料主権の確保及び農業基盤の維持発展と多面的機能の実現を基本とし、日本農業・農村の崩壊につながる上限関税の設定や大幅な関税引き下げ、重要品目の絞り込み、関税割当数量の拡大は絶対に阻止すること。
また、国家貿易体制の堅持、特別セーフガードの維持などの適正な国境措置及び「緑の政策」の要件緩和など、国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。 - WTO交渉、FTA/EPA交渉にあたっては、交渉経過等について徹底した情報開示と、農民・市民との意見交換を行うこと。
以上、決議する。
2008年02月25日
日豪FTA交渉農産物輸入関税引き下げ反対!生産者・消費者緊急行動(社会文化会館)
2月25日に、同日から外務省内で行われている、日本とオーストラリアとの貿易自由化(FTA)交渉に対し、農産物の関税引き下げに反対して、 平和フォーラムは生産者や消費者団体とともに、「日豪FTA交渉 農産物輸入関税引き下げ反対!生産者・消費者緊急行動」を行いました。 社会文化会館で開かれた集会に全国から200人が参加し、主催者あいさつで平和フォーラムの小林照明副代表は 「今日からの交渉で、牛肉、小麦、砂糖などの農産物の関税撤廃を豪州側は求めてくる。これを許せば、日本農業は壊滅的打撃を受ける。 食料の安定・安全のためにも、日豪FTA交渉から農産物を外すよう求めていこう」と訴えました。 民主党や社民党の代表の決意表明などを受け、集会決議を採択。 直ちに、デモ行進に移り、国会前で「日本の食料・農業を守ろう!」などとシュプレヒコールをあげ、政党への請願を行いました。 また、農水省や外務省への要請活動、農水省前での街頭アピール行動など、多彩な活動に取り組みました。 →集会決議
2008年02月15日
「フッ素洗口ガイドライン」の撤回を求める要請署名提出行動(厚労省・文科省)
日教組は昨年秋から、虫歯の予防のためと称したフッ化ナトリウム(工業用劇物)等で口のうがいをする「フッ素洗口」を各地の保育所・幼稚園・学校で行われていることに対し、厚生労働省作成の「フッ素洗口ガイドライン」の撤回を求めて署名運動を提起し、平和フォーラムも協力してきました。1月末で集約が行われ、41万5,466筆が集まりました。
2月15日に日教組はこの署名を持って、厚生労働省・文部科学省へ要請を行いました。厚生労働省は「フッ素洗口については強制も推奨もしていない。使う場合の指針としてガイドラインを出している」と回答。これは従来のフッ素洗口を強引に進める姿勢から後退したものであり、40万以上の署名の効果が出ています。日教組は今後も撤回に向けて取り組みを強化していくことにしています。 →子どもに「劇薬」を強制するな!「フッ素洗口」撤回署名
2008年02月15日
全頭検査打ち切り反対!米国産牛肉輸入緩和反対!消費者・生産者集会(衆議員会館)
自治体でと畜される牛への牛海綿状脳症(BSE)の検査に対し、厚生労働省は7月末で20ヶ月齢以下の牛についての補助を打ち切る方針です。しかし、いまだにBSEの発症メカニズムが解明されておらず、全頭検査の継続が必要です。また、米国は牛肉の輸入条件の緩和を求めて圧力を掛けています。しかし、米国のBSE対策は依然として不十分であり、輸入緩和に強く反対する必要があります。
平和フォーラムは、2月15日に衆議院第1議員会館で消費者・農民団体とともに集会を開き、国会議員を含めて130人が参加しました。講演で品川森一さん(元食品安全委員会プリオン専門調査会委員)は、さまざまなデータをもとに「全頭検査をいまやめるべきではない」などと述べました。集会に引き続き、厚生労働省・農林水産省と交渉を行い、米国でのBSE対策のずさんさなどを追求しました。なお、平和フォーラムは各都道府県組織を通じて各自治体に全頭検査の継続を要請してきましたが、ほとんどの自治体から「全頭検査継続」の回答を得ています。
→申し入れ(外部リンク)
2008年02月11日
戦争の歴史と「愛国心」-「建国記念の日」を考える2・11集会(自治労会館)
平和フォーラムは例年2月11日、戦前の「紀元節」を「建国記念の日」としていることに異議を唱え、集会を行っています。 昨年の参議院選挙後、超タカ派の安倍前首相を退陣させましたが、後継の福田内閣のもとでも、東アジアとの関係、とくに歴史認識について和解は進んではいません。 「軍の強制」を削除した沖縄戦記述の教科書検定など、歴史歪曲は根強く行われています。小泉内閣以来の「戦争をする国づくり」も続いています。 これらを踏まえて、「戦争の歴史と『愛国心』-『建国記念の日』を考える2・11集会」を名称に、会場の自治労会館に270人が参加して学習会を行いました。 江橋崇代表の主催者あいさつにつづいて、王敏・法政大学国際日本学センター教授の「中国と日本の愛国心について」、 上杉聰・日本の戦争責任資料センター事務局長の「日本人の歴史認識に問われるもの-沖縄戦教科書問題から」との2つの講演と提起を受けました。 提起では、国家主義ではない文化の重要性が強調されました。また、「思想信条の自由のとりくみ」として、日の丸・君が代問題について神奈川県高等学校教職員組合の佐々木克巳執行委員からこの間のとりくみについて報告を受けました。
→王敏・法政大学国際日本学センター教授「中国と日本の愛国心について」レジュメ(pdf)
→上杉聰・日本の戦争責任資料センター事務局長「日本人の歴史認識に問われるもの-沖縄戦教科書問題から」レジュメ・資料(pdf)
→神奈川県高教組「思想信条の自由のとりくみ」レジュメ(pdf)
→チラシ(pdf)
2008年02月08日
外国人住民の地方参政権を求める2・8アピール
「韓国に続いて日本でも永住外国人の地方参政権を求める院内集会」参加者一同
いま日本には、208万人をこえる外国人住民が暮らしている。
日本は、すでに国際人権規約や人種差別撤廃条約に加入しているものの、国内法制度にこれらが十分に反映されていないために、日本で暮らす外国人住民には、国際人権条約で保障されている地域社会に参画する権利、教育への権利など、多くの権利が制限されている。
1993年、大阪府の岸和田市議会が外国人への地方参政権付与を求める「意見書」を採択し、その後、全国に広がった。95年2月、最高裁は「我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもって、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずることは、憲法上禁止されているものではない」という判断を示した。そして98年には、議員立法として「永住外国人への地方選挙権付与法案」が初めて国会に提出された。
2002年1月、滋賀県米原町は「住民投票条例」を制定し、そのなかで初めて、外国人住民に住民投票権を付与した。それから6年、外国人住民に投票権を認める住民投票条例を定めた自治体の数は、200以上にのぼる。また、定住外国人の地方参政権を求める意見書を採択した地方議会は、すでに半数近くになる。すなわち地域社会においては、「日本国民」対「外国人」という旧来の絶対的二分論を超えて、生活実感に基づく「住民としての率直な意思」が表明されているのである。
しかし、国会においては、外国人参政権法案はこの10年間、継続審議と廃案の繰り返しで、いまだ成立していない。
いっぽう韓国では、2004年、定住外国人の住民投票権を認める住民投票法を定め、06年には政府が「居住外国人支援指針」「居住外国人モデル条例案」を各自治体に示し、07年7月18日からは「在韓外国人処遇基本法」が実施された。
さらに2006年5月31日には、韓国に住む19歳以上の日本人を含む永住外国人が、地方選挙で初めて一票を投じた。これは、アジアでは初めての快挙である。
在韓日本人はこの日、在外邦人として日本の国政選挙権を、外国人住民として韓国の地方選挙権を、同時に行使することができるようになったわけである。ところが、日本で生まれ育った在日コリアンなど永住外国人は、日本での地方選挙権すら保障されていない。このような「非対称」は、早急に是正されなければならない。
在日コリアンなど旧植民地出身者とその子孫に対して地方参政権を保障することは、諸外国の先進的な例を参照するまでもなく、「戦後日本」が果たすべき責務としてある。
さらに、日本に暮らす外国人のうち、在日コリアンなど特別永住者44万人のほか、中国人やブラジル人など一般永住者が、すでに39万人となっている。今後もその数が急増していくことを考えるならば、これら永住外国人に対して地方参政権を保障していくことは、日本の未来にとっても、きわめて重要な課題なのである。
すなわちこの問題は、地域社会を構成する住民すべてによる「地方自治」と「民主主義」を実現するどうか、そして日本が、アジアと世界に向かって「和解」と「共生」というメッセージを送ることができるのかどうか、それを問うているのである。
さまざまな文化をもつ、日本に住むすべての人びとが、これからの日本、21世紀の世界を、地域社会から共に構想し、協働していく時、私たちは「多民族・多文化社会」の豊かさを、本当に獲得することができるだろう。そのための第一歩が、外国人住民の地方参政権の実現なのである。
私たちは、日本の国会においてそれが一日も早く実現することを願い、強く求める。